艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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219話 新種のシスター(3)

「部下の命を軽く見てしまった」

 

「そう」

 

教会の真ん中で、シスター・マリッジが上目遣いでヴィンセントの言葉に耳を傾ける

 

「言う事を聞かない部下に対し、帰って来なければ…と…艦長らしからぬ感情です」

 

「膝を落として下さい」

 

言われるがまま、ヴィンセントは膝を落とした

 

シスター・マリッジはそんなヴィンセントの頭に手を伸ばし、そっと抱き締め、腹部に耳を当てさせた

 

「トックン…トックン…聞こえますか⁇」

 

「はい…」

 

「これが命の音…」

 

シスター・マリッジとか言う名だが、勿論妊娠なんてしていない

 

しかし、シスター・マリッジと呼ばれる理由はこの行為にある

 

シスター・マリッジは、普通の人より心臓が少しだけ下にある

 

その為、腹部に耳を当てると、まるで胎児の心音の様に聞こえて来る

 

抱き締められた相手はこの上なく安堵し、柔らかく良い匂いのするシスター・マリッジに落ちる

 

「貴方の祈りは確と届いています。また道を踏み外しそうになったら、いらして下さい」

 

「ありがとうございます。シスター・マリッジ」

 

ヴィンセントはシスター・マリッジから離れ、祈りと一礼をした後、教会から出て行った…

 

 

 

 

「終わりました」

 

シスター・マリッジが帰って来た

 

「ありがとう。貴方も食べなさい」

 

「…貴方達もしたいの⁇」

 

ジト目で俺達を見るシスター・マリッジ

 

「「「俺達は空母のネーチャンがいるからいい」」」

 

俺、アレン、親父の三意見が揃う

 

全員嫁はいるが、最悪イントレピッドに頼めば同じ事をしてくれる

 

「…ひどっ」

 

シスター・マリッジは何故か俺をジト目で見た後、マカロンを食べ始めた

 

「パパとはいつから知り合いで⁇」

 

座ったシスター・マリッジに、アレンはすぐに声を掛けた

 

「君とお嫁さんが居なくなってすぐ」

 

「結構長い付き合いで⁇」

 

「まぁ…貴方達二人はベルリンの院。私はのサンフランシスコの院だったから。同じ宗派でも場所が違うわ⁇」

 

「そういう事か…」

 

「確か、リチャードもヴィンセントも同じサンフランシスコ出身…それに、ヴィンセントは元から信仰心が強いの。だから知ってる」

 

「まっ、信仰は大事だ。なぁ⁇マーカス⁇」

 

「へ〜へ〜」

 

親父の言葉を物ともせず、マカロンを口に放り込む

 

「何にせよ、これからお世話になるわ。宜しく」

 

「シスター二人を頼む」

 

「サボってたら叱ってくれて構わないから」

 

「分かった」

 

ようやくシスター・マリッジが微笑んでくれた

 

「貴方達、結構面白い」

 

「マーカス君もアレン君も、アホの塊なのよ⁇」

 

「行く先々で問題行動でし‼︎」

 

シスター・グリーンもシスター・ヌードルもケラケラ笑う

 

「さ、帰ろうかアレン君‼︎」

 

「アホの塊とか言われたしな‼︎」

 

「また来てね⁇」

 

「気が向いたらな⁇」

 

「アレン君の好きなマフィンでも作って待ってるでし‼︎」

 

「それは楽しみだ」

 

神は信じないが、考えを改めたこの二人は好きだ

 

マトモにしてれば、面倒見の良い小さな姉の様な存在だ

 

「よしっ‼︎行くか‼︎」

 

親父がシスター・ヌードルを膝から降ろし、立ち上がった

 

「…寿司に千円だ」

 

「…うどんに千円だ」

 

どちらも大して変わらないが、取り敢えず互いに賭け、生唾を飲む

 

寿司か‼︎

 

うどんか‼︎

 

どっちだ‼︎

 

「ジェミニに言われたんだ。新しく出来た弁当屋の視察を二人に任すように頼まれてるんだ。じゃあね〜‼︎シスター達‼︎」

 

「また来てね⁇」

 

「歓迎するでし‼︎」

 

「またね」

 

ニコニコ笑顔でシスター達に手を振る親父の背後で、開いた口が塞がらない俺とアレン

 

「弁当…だと…」

 

「寿司じゃない…だと…」

 

互いに千円渡し合い、イーブンに終わった…

 

「さっ、行こうか‼︎」

 

親父に連れられ、教会を出た…

 

 

 

 

 

「あの二人、いつか信者にする…ふふ…」

 

 

 

 

シスター・マリッジこと、岸波が教会に来ました‼︎




シスター・マリッジ…お腹ポッコリちゃん

シスター二人と同じ宗教を信仰する新種のシスター

グリーンとヌードルが居たのがベルリンの教会

マリッジが居たのはサンフランシスコの教会

グリーンとヌードルがレイとアレンにスパイ技術を叩き込んだりしたのと違い、マリッジはようやっと来たマトモなシスター

心臓の位置が普通より少しだけ下に位置し、お腹に耳を当てると胎児の心音の様に聞こえ、とても安らぐと一部で有名

ビックリする程足が速い。凄いね
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