今回のお話は、とある艦娘の謎が明らかになります
言われてみれば最初からいて、今の今まで正体が掴めなかった一人の艦娘
果たして誰なのか
そして、結構悲しいお話になります
横須賀、電子の海…
「これは…」
クラウディアとなった親潮がバグ取りをしていた最中、一つのファイルを見つけた
「何でしょう…」
クラウディアはそのファイルに手を伸ばした…
「あいたっ‼︎」
クラウディアの手を弾き返すかの様に、そのファイルは厳重にロックされていた
「貴重な資料の様ですね。やめておきましょう」
バグ取りを終えたクラウディアが親潮へと戻る…
「おかえり。ありがとね」
「定期的にバグ取りはした方が宜しいかと思いまして。メインコンピューターは綺麗にしておきました」
「じゃっ、お昼にしましょう‼︎」
「はいっ、ジェミニ様‼︎」
横須賀とお昼ご飯を食べる為、繁華街へと向かう
「おいしい⁇」
「はいっ‼︎美味しいですっ‼︎」
「んっ、良かったっ‼︎」
横須賀と親潮は鳳翔に来ていた
お刺身の舟盛りが提供される事を知り、横須賀と共に食べに来たのだ
横須賀も親潮も、ほっぺたに大根のつまを付けている所を見ると、美味しく頂いている様子だ
「いらっしゃいませ。あらっ、マーカスさん」
「よっ。おっ‼︎いたいた‼︎」
「創造主様‼︎」
レイが来た
たまたまではなく、どうも二人を探していたみたいだ
「あらレイ‼︎アンタも食べる⁇」
「軽くでいい。鳳翔さん、アルコールのないビールと唐揚げを」
「畏まりました」
「ちょっと私トイレ行くわ。レイ、頼んだわよ」
「ん」
横須賀が席を立ち、すぐに親潮が口を開いた
「心拍数が上昇しています」
「え⁉︎あぁ‼︎ほら、あれだ。横須賀といると、色んな意味で血圧上がるからなっ‼︎」
「いつもとは違いますが…」
「ははは‼︎親潮には敵わんな‼︎」
「親潮、何かいけない事を…」
親潮には分かっていた
レイの異様な心拍数上昇は、恐らく自分が何かしたからだと
「…あのデータに触れただろ⁇」
「あの…その…気になってしまって…」
「怪我してないか⁇」
「いえ、親潮は大丈夫ですが…申し訳ありません…」
「なら良かった…」
そのタイミングでノンアルコールビールと唐揚げが置かれ、親潮は自然と栓を抜き、レイのグラスにビールを注いだ
「ありがとう。横須賀に習ったのか⁇」
「あ、いえっ‼︎時々早霜様のジュースを開ける際に学びました‼︎」
「あっはっはっは‼︎そうかそうか‼︎てっきり横須賀にやらされてるかと‼︎」
「ふふ。あの、創造主様。あのファイルは一体…」
数秒前まで笑っていたレイの顔が、真面目な顔に変わった
「あれは”眠り姫”の心臓なんだ」
「眠り姫…」
「俺が一番最初に造った”成功したAI”がアイリスだ」
「眠り姫様は失敗した…と⁇」
「失敗じゃないさ。ただ、ちょっと凶暴過ぎるんだ」
「タナトス様よりも、ですか⁇」
「タナトスの数倍は凶暴だ」
「なるほど…通信です」
親潮のタブレットに通信が入る
《親潮‼︎タナトスはそんなに凶暴じゃないでち‼︎》
タナトスの中にいるであろう、ゴーヤの顔がドアップでタブレットに写る
「あわわわわ‼︎ごめんなさいタナトス様‼︎強い、と言う意味で申し上げたのです‼︎」
《なら許してやるでち‼︎》
一言文句を申した後、ゴーヤはすぐに通信を切った
「あいつは地獄耳だからな…」
「タナトス様以上…ですか」
「そっ。まぁ、俺から言えるのは、眠り姫を叩き起こすなって事だけだ」
「ジェミニ様はこの事をご存知で⁇」
「あいつがここに置いてくれてるんだ。最初から、ずっとな」
「な〜んの話してんのかしら⁉︎」
戻って来た横須賀は親潮の横に座って、またお刺身を食べ始めた
「横須賀は美人だって話さ。な⁇親潮⁇」
一瞬だけ、親潮にウインクを送る
「えぇ。ジェミニ様の昔話を聞いていました。今も昔も可愛くて美人だと」
「ふふん⁇親潮も分かってるじゃない‼︎」
久々に褒められて、大変ご満悦な横須賀
食欲に更に拍車が掛かる
「俺は別件があるから、先に出る」
「気を付けてね」
「行ってらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
三人に見送られ、レイは鳳翔を出た
工廠の角にある俺専用のPCの前に座り、PCを付け、インカムを付ける
「アイリス、いるか⁇」
《はいっ、マーカス様》
AIの名前表示に”Iris”と出た
「”ヒュプノス”の様子を観てくれ」
《畏まりました》
そう言うとアイリスはすぐにヒュプノスのデータを引っ張り出し、画面に表示した
《心拍数及び感情の変化は特にありません》
「なら良かった」
《時折気になさるのですね》
「余程の事が無い限りは触れないさ。ただ、久々にその名を聞いたから、気になってな」
《一応、ロックを掛け直しておきます》
「頼んだ」
アイリスが離れ、俺もPCの電源を落とした
これが間違いだったとは、すぐに気付かされる事になる…