艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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228話 夢のカタチ(3)

数日後…

 

「タマモ。MeはIowa‼︎覚えてくれた⁉︎」

 

”あいちゃん”

 

「Good‼︎」

 

今度はアイちゃんがPCの前に座っている

 

”父上”

 

「Papa‼︎タマモが呼んでる‼︎」

 

「どうしたタマモ」

 

”タマモは 役目を 思い出しました”

 

「いいんだタマモ」

 

”タマモの 役目は 父上の 補助を する事”

 

本来のタマモの役目は、本人の言う通りアレンの補助をする事

 

色々な事を調べたり、計算をしたり、データを引き出したりと…

 

名前に恥じない働きをするのがタマモの役目のはずだった

 

「タマモの好きにしてご覧」

 

”タマモの 好きに⁇”

 

「そっ。タマモはどんな事をしたり、されてみたい⁇」

 

”タマモは…”

 

タマモは悩んでいた

 

非常に珍しい光景だ

 

「Iowaみたいに、Papaにギューして貰う⁇」

 

アイちゃんはPCに見える様にアレンに抱き付いた

 

”タマモも それがしたい”

 

「なるほどなっ」

 

「タマモの夢は素敵な夢ね‼︎」

 

照れているのか、タマモは黙っている

 

ここ数日でタマモの感情表現は格段に増えている

 

音声システムでも造ってやろうかと思っていた矢先に、遠回しではあるがタマモは体を持ちたいと言った

 

「ここは権威を呼ぼう」

 

ネルソンの一言で”アイツ”に頼る事に対して抵抗が無くなった

 

 

 

 

「なるほどな…」

 

一時間もすれば、横須賀にいたレイときそちゃんがすっ飛んで来た

 

きそちゃんはアイちゃんと一緒に遊び、俺とアレンはPCの前に居た

 

「一番詳しいからな」

 

事の事情を説明し始めると、レイは真面目な顔になった

 

「タマモちゃんか⁇」

 

”貴方の お名前は⁇”

 

「俺はマーカス・スティングレイ。君のお父さんの友達さ」

 

”よろしく お願い します”

 

レイはタマモと話しながら、何かのプログラムを組み込んでいる

 

「それは何だ⁇」

 

「お前と造った音声システムさ。横須賀から引っ張り出して来た」

 

「よく残ってたな⁉︎」

 

「お前の手が掛かると質が良いからな。よし、出来た‼︎」

 

作業をしながら、レイもネルソンと同じ褒め方をした

 

二人の何気無い一言がコイツと張り合うのでは無く、手を取り合えと語り掛けて来る

 

「さっ、タマモ。君の初めてのお仕事だ‼︎君はどんな声が良いか、自分で選ぶんだ‼︎」

 

”声”

 

タマモの前に、音声システムと話し方の癖等の情報が並べられる

 

レイは真剣な目でタマモの動きを見ているが、顔は綻んでいる

 

まるで、自分の子供の成長を間近で見るような…そんな目をしている

 

”父上”

 

「ん⁇どうした⁇」

 

”タマモが どんな声でも 抱き締めて くれますか⁇”

 

「勿論さ‼︎」

 

”よかった”

 

レイは何も言わず、俺達の顔を見て微笑んでいた

 

”では これに します”

 

タマモはシステムを二つ選んだ

 

「オーケー。今からそれを君に組み込むから、ジッとしてるんだ」

 

”畏まりました”

 

タマモにシステムが組み込まれ始める

 

膨大なデータが着床するまでしばらく時間がかかる為、俺とレイは部屋を出てコーヒーを飲む事にした

 

「済まぬな、急に呼び出して」

 

「気にするな。子供の夢を運ぶ仕事ならいつだって飛んで来るさ」

 

キッチンにいたネルソンにコーヒーを淹れて貰い、俺達はそれを飲みながら時間を待った

 

「…張り合う必要なんてなかったんだな」

 

「ねぇよんなモン。お前はお前にしか出来ん事がある。現に見ろ。俺はお産に関してはからっきし。精々痛み止め作って貴子さんと千代田にポイされるのが関の山さ。お前はどうよ⁇」

 

「助産師の免許がある」

 

確かに愛宕のお産を処置したのは俺だ

 

アイちゃんを最初に抱き上げたのも俺だ

 

「シールド中和装置の根幹思い付いたのは⁇」

 

「俺だ」

 

「皆が幸せになるエンジン造ったのは⁇」

 

「…俺だ」

 

レイの言葉を聞き、体が震えて来る

 

何を張り合っていたんだ、俺は…

 

「俺には出来ない仕事さ。お前は出来る」

 

「ありがとう、レイ」

 

「気にすんな。お互い様だろ」

 

コイツに頼って良かった…

 

コイツが親友で良かった…

 

コイツが本気でぶつかれる奴で良かった…

 

今はそれしか出て来なかった

 

「まっ。今度誰かの出産の時は頼むわ。貴子さんも忙しいからなっ」

 

「いつでも頼ってくれ」

 

イタズラに口角を上げるレイに対し、俺も口角を上げ返す

 

タマモのデータ着床までもう少し…

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