「基地に着いたら検査して貰って、身元の確認するから。ちゃんとして、待ってたらご飯食べような」
「うん、ちゅじょー」
「私はヴィンセント。ヴィンセントだ」
「びんせんと」
「そうだ。君は⁇」
「わかんない。おなまえない」
「身元が分かったら名前も分かるさっ」
バスを乗り継ぎ、ヴィンセントと少女は海軍基地に着いた
基地に着き、検問で身分証を見せる
「ヴィンセント・マクレガーだ」
「ヴィンセント中将ですね。畏まりました、お通り下さい」
「さ、行こう」
少女を抱き上げ、ヴィンセントは基地の中に入ろうとした
「中将。その子は」
「私の娘だ。見学させてやろうと思ってな。ウロチョロしないな⁇」
「うろちょろしない」
「畏まりました」
いざ海軍基地の中に入る…
「わぁ」
サンフランシスコ基地は元は造船所
その名残が今でも残っている為、造船、または修理の為に来港する艦がそこにはいた
「おふね。おっきいおふね」
「私はあんな艦に乗ってるんだ」
強化ガラス越しにでも十二分に伝わる、その存在感
アメリカも、あの戦争の影響で大量の艦を失った
その影響が未だに続いている
「ヴィンセント中将。此方へ」
「分かった。この子の検査を頼みたい。それと、身元の確認も」
「畏まりました」
少女を係員に抱かせる
「んっ、んっ」
少女はヴィンセントと離れたくないのか、ヴィンセントに手を伸ばした
「大丈夫。すぐに帰る。食べたい物を決めておきなさい」
「ん…」
「さ、行きましょう」
ヴィンセントは襟元を直し、呼ばれた場所へと歩みを進める
顔も艦長の顔へと戻る…
職員に預けられた少女は、職員に抱かれた肩から顔を出し、ヴィンセントを見つめている
その視線を、ヴィンセントはしっかりと受け止めていた…
「よく来てくれたな、マクレガー中将」
「アドミラルレクター。どの様なご用件で⁇」
ヴィンセント、リチャード達をまとめているアメリカ海軍提督、レクターさん
結構な爺さんだが、ここまでこの二人含めウィリアムやエドガーを一時期指揮していたのも彼である
「表に出たまえ。見せたい物がある」
「はっ」
レクターの言うがまま、ヴィンセントも執務室から出る
歩きながらレクターは口を開いた
「ヴィンセント。君は今まで何隻の艦に乗って来た」
「はっ。先の戦争の前は駆逐艦一隻、護衛空母一隻。開戦当初は航空母艦に。そして現在はガンビアに乗船しております」
「生粋の母艦乗りだな」
「お褒めに預かり光栄です」
話している最中にレクターが足を止め、体を左に向けた
ヴィンセントも同じ様に体を其方に向ける
「これは…」
「見た事ないかね」
「イントレピッドDau…」
強化ガラスの向こうに見えた、イントレピッドDau
「彼女は改装を終えたんだがな…彼女を指揮する人間がおらん」
「以前、横須賀に来港した時に男性の方がおられたと耳にしましたが…」
「彼は別の艦に乗っている。母艦よりもっと小型だが、中々上手くやっておる」
イントレピッドDauは良い艦だ
頑丈で、艦載数も多く、防空能力にも優れている
「それとなヴィンセント。改装後のイントレピッドDauには、アレンの考えたエンジンが載っとる」
「アレンのですか」
アレンのエンジンが載っているとなると、かなり立派に改装されたと考えて良い
「イントレピッドが彼女を降りた今、頼れるのはお前しかおらん」
「つまり…私にこのままアメリカに残れ…と⁇」
レクターとヴィンセントは、無言のまま目を見合う