艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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特別編 貴方に恋した一週間(2)

イギリス…

 

粗方合わせたであろう、母さんが14の頃の時代…

 

その時代のとある街の中に俺は行き着いた

 

「やっぱイギリスか…」

 

見渡す限り、田舎の街

 

ゲームにでも出て来そうな、極々ありふれた、海沿いの街だ

 

どうやら母さんはここで育ったみたいだ

 

そういや母さんは貴族の産まれ

 

いれば一発で分かるはずだ

 

それにしても、随分賑やかな街だ

 

人が明るいのか

 

「いだっ‼︎」

 

走って来た誰かとぶつかった

 

俺は時代を遡ると、必ず誰かにぶつかられる

 

目立つのか、邪魔な位置に送られたのか…

 

「あーれー‼︎」

 

ぶつかった人が抱えていたバスケットから落ちるオレンジ、リンゴ、ブドウ

 

俺にぶつかってひっくり返したみたいだ

 

「Sorry‼︎前見てなかったの‼︎」

 

「お互い様さっ」

 

ぶつかったのは金髪の女の子

 

綺麗な顔立ちをしていて、身を包んでいる物もドレスに近い

 

二人共前屈みになって地面に散らばった果物を集め、バスケットに戻す

 

「随分変わった格好ね⁇」

 

相変わらず俺はジーパンに革ジャン

 

元の時代は冬場なので革ジャンの下には長袖を着ている

 

散々グラーフに言われたので、最近着始めた

 

だが、そろそろ長袖は脱いでいいみたいだ

 

少し暑いな…

 

「あぁ…ははは。別の国から来たんだ」

 

「この街は初めて⁇」

 

「あぁ。まぁなっ」

 

俺の生まれ故郷である、イギリスのこの小さな街

 

生まれたは良いが、記憶が無いので初めて来たのと何ら変わり無い

 

「なら私が案内してあげるわ‼︎来て‼︎Stand up‼︎」

 

彼女が俺の左手を引いて立ち上がらせた

 

「案内する代わりに、貴方バスケット持ちね‼︎」

 

「オーケー‼︎」

 

フルーツを入れたバスケットを持ち、彼女に街を案内して貰う

 

「ここはFishを買う所‼︎」

 

「ある程度のFruitはここで揃うわ‼︎」

 

「お食事をしたいならここがオススメ‼︎美味しくて安いの‼︎」

 

彼女は街一式を案内してくれた

 

市場を散策し、今で言う大衆食堂の様なレストランまで教えてくれた

 

「ありがとう、助かったよ」

 

「いいのいいの‼︎そう言えば、貴方お名前は⁇」

 

「リヒターだ」

 

「リヒターね。私は”ゲルダ”‼︎」

 

ここでようやく聞く事が出来た

 

「その身嗜み…結構お嬢様なのか⁇」

 

その問いに対しゲルダは答えを返さず、微笑みを返した

 

そして、そのまま自分の話に切り替えた

 

「リヒターはどうしてこの街に⁇」

 

「探し人がいるんだ。この街にいるはずなんだが…」

 

粗方歩いたはずだが、母さんらしき人物は見つからない

 

もしかすると、ゲルダが言っていたあの屋敷にいるのかも知れない

 

「見つかるといいわね⁇」

 

「見つかるまではここに居ようと思う」

 

「私も手伝うわ‼︎」

 

ゲルダは積極的な子だ

 

初対面の俺に対し、かなりの面倒を見てくれる

 

「気持ちだけ貰っておくよ。散々面倒見てくれたのに、これ以上…」

 

「そう⁇じゃあまた会いましょう⁉︎」

 

「分かった」

 

ゲルダにバスケットを返し、手を振る彼女を見送る

 

活発で面倒見の良い女の子だ

 

しかし、気になるのは母さんだ

 

幾ら貴族とはいえ、見つける事は愚か、素振りもないとは…

 

本当にこの街にいるのだろうか…

 

その日の晩、泊まる所がないので、広場のベンチで眠りに就いた…

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