艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、229話及び特別編が終わりました

如何でしたか、特別編

私のワガママにお付き合い頂き、誠にありがとうございました

今回のお話は日常回になります

そう言われれば横須賀になかった”あれ”が建設されます

そして、驚愕の事実も発覚します 笑


230話 カントリーガール、襲来(1)

「レイ。牧場するわよ‼︎」

 

その言葉は突拍子も無く言われた

 

「…牧場」

 

「そっ、牧場」

 

「モーモーさんがいるアレか⁇」

 

「ガーガーさんも…いる…⁇」

 

「そうよ〜。モーモーさんもガーガーさんもいるわ⁇」

 

朝霜と早霜が口を開いたが、完全に俺の言い方が移っている

 

「学校の横に何頭か飼おうと思うの」

 

「ガーガーさんはまた俺が買いに行くとして、モーモーさんはどうするんだ⁇」

 

「実はもうモーモーさん居るのよ」

 

最初はその意味が分からなかったが、表に出て分かった

 

 

 

 

「おぉ‼︎モーモーさんだ‼︎」

 

イントレピッドDauから降ろされて行くモーモーさん達

 

「アメリカのモーモーさんよ‼︎」

 

「…」

 

横須賀がモーモーさんモーモーさん連呼するので、視線が胸に行った

 

「誰がモーモーさんよ」

 

「何にも言ってねぇだろ‼︎牛舎はどうするんだ‼︎」

 

「造って頂戴。アレンと涼平を招集するわ」

 

「さっ、朝霜、早霜。お父さんとご飯行こうか」

 

「モーモーさん…」

 

「モーモーさんどうすんだ⁇」

 

「うっ…」

 

二人の視線が痛い…

 

「ご褒美もあるわよ⁇」

 

胸の下で組んでいた腕を軽く上げる横須賀

 

つまり、造ったらパラダイスが待っている‼︎

 

「分かった‼︎分かったよ‼︎やりゃいいんだろやりゃあ‼︎」

 

「さっすがお父さん‼︎」

 

「お父様…凄い…」

 

まさか横須賀のモーモーさんの乳搾り体験出来るからとは子供には言えない…

 

「元帥‼︎出来上がりました‼︎」

 

涼平がクルクル巻きにした紙を持って来た

 

「流石ね。どれどれ…」

 

「隊長、手伝って頂けませんか⁇」

 

「勿論さ‼︎アレンもすぐ来る」

 

「よしっ‼︎」

 

横須賀は見ても分からない設計図を見たフリだけし、必要経費、必要材料に間違いは無いか凝視した後、涼平に返した

 

「これで良いわ。レイ、後はアレンと涼平と一緒に進めて頂戴。涼平⁇出来上がりの報酬はデカいわよ⁇」

 

「か、畏まりました‼︎」

 

「事前に言われた材料は確保してあるから、妖精達に聞いて頂戴」

 

横須賀と別れようとした時、向こうからアレンが来てくれた

 

「来たぞ。牛舎の建設だって⁇」

 

「そっ。ま〜た突貫工事だ‼︎」

 

「設計図はここに‼︎」

 

「野郎共‼︎集合〜‼︎」

 

久々の号令だが、相変わらずキッチリ集まってくれる妖精達

 

涼平が地べたに広げた設計図を全員で見る

 

俺、アレン、涼平が屈んでいる頭や肩に妖精達が乗り、同じ様に眺める

 

”まぁ、半日やな”

 

”牛さんは何頭や⁇”

 

「とりあえずは4頭らしい。まっ、少しは足されるだろう」

 

”牛舎の後のアヒルさんの柵は楽勝や‼︎”

 

”ま、こっちは多めに見積もって二時間やな”

 

「よし、牛舎に取り掛かろう‼︎」

 

早速牛舎建設に取り掛かる

 

大人数の妖精は細部まで計算された資材のカットや小さな部品を嵌め込む等、それぞれが細かい作業

 

俺達は重たい物や大きな物を運び、それを大まかに組み立てる作業

 

勿論妖精達も大きな資材を大人数で運んでいる

 

一時間もすると、牛舎らしい骨組みが完成した

 

流石は妖精

 

数で攻めて仕事を終わらせる

 

「よ〜し‼︎休憩〜‼︎」

 

ひと段落作業を終えた所で一旦休憩を取った

 

妖精は妖精で固まってお菓子やお茶を飲む

 

俺達は俺達で固まってうんこ座りをしてタバコを吸う

 

「へへ。横須賀、俺達を見くびったな⁇」

 

「伊達に海の家造ってないからな」

 

「喜んで貰えるといいですね‼︎」

 

「あら‼︎もうここまで出来たの⁉︎」

 

飲み物とアイスを持って来た横須賀が来た

 

「半日もあれば出来上がる。まっ、見てな‼︎」

 

「そっ⁇じゃあ、きそと隊長にアヒル買わせに行くわ。これあげる‼︎じゃあねぇ〜」

 

横須賀はデカイオレンジジュースのペットボトルと紙コップ

 

それと、棒のアイスキャンデーを数本置いて行った

 

「こんのクッソ寒い中アイス食えだと…」

 

あたかも普通に置かれたアイスキャンディーに戦慄する俺達三人

 

「夏場はコーンポタージュだったな…」

 

「逆…ですね…」

 

悪態を吐きながらアイスキャンディーを囓る

 

しかし、凍えながらアイスを頬張るのは実に情けない

 

「オレンジジュースもキンキンだぞ‼︎」

 

冷凍庫にでも入れてあったのかと思う位、オレンジジュースも冷えていた

 

「あ、あれかも知れませんよ⁉︎自分達が汗かいてるから心配されて…」

 

涼平は涼平で何とか横須賀を庇おうとするが、流石に無理になって来ている

 

「そう取ってやるか…よしゃ‼︎とっとと作んぞ‼︎」

 

俺が先に現場に戻り、アレンと涼平が後から来た

 

「アレを見ると朝霜が子供って分かるな⁇」

 

「ふふっ、はいっ‼︎」

 

 

 

 

「ちょいとでもこの榛名に勝てると思ったダズルか‼︎このマヌケ‼︎」

 

「モー‼︎」

 

三人と妖精達が牛舎を造り上げている間、榛名とリシュリューは出来上がるまで、すぐ横のだだっ広い空き地の一角で牛の世話をしていた

 

「榛名さん。フツーにしてれば大丈夫だリュー」

 

リシュリューはキチンと手綱を握っているが、榛名は何故か牛にケンカを売られて突進された所を、角を掴んで押し返していた

 

「いいか牛‼︎これ以上榛名に反抗するなら残酷な事になるダズル‼︎」

 

「モーモー‼︎」

 

「モーじゃねぇダズル‼︎ぐぬぬぬ‼︎」

 

双方一歩も引かない攻防が続く

 

「うおりゃ‼︎」

 

「モッ‼︎」

 

ようやく牛を横倒しし、榛名の勝ちが決まる

 

「だぁ〜〜〜っはっはっはぁ‼︎牛が艦娘に勝てる訳ね〜ダズうぼぁ〜〜〜〜〜‼︎」

 

すかさず起き上がった牛に猛突進を喰らい、榛名は水平線の向こうに飛んで行った

 

「榛名は乱暴だからいかんニム」

 

ニムは暴れ牛の背中を撫で、餌の草を食べさせたりする為、すぐに落ち着いてニムにべったりになった

 

「クッソォ…覚えとくんダズル‼︎ゼッテーシチューの具材にしてやるダズル‼︎」

 

「そんなワカメまめしで言われても迫力ないニム」

 

「ハンッ‼︎そんな事を言ってられるのも今の内ダズル‼︎榛名には後二回変身が残ってるダズル‼︎」

 

その瞬間、そこにいた作業中の人員の時間が止まった

 

「今…アイツ何て言った⁇」

 

「二回変身が残ってる…だと…⁇」

 

「た、確かにそう聞こえました…」

 

”あ、あれでプレーン榛名やと…”

 

”とおの昔に第二改装済ましてるもんやと…”

 

そう

 

榛名は第二改装はおろか、今まで一度も改装を行った事がない

 

メンテナンスや治療こそすれど、艤装の強化や身体的強化は一度も無い

 

つまり、榛名は出会った当初からず〜〜〜〜〜っと”無印の榛名”のまま、今日に至っている

 

「何か文句あるダズルか‼︎」

 

「無い無いマジで無い‼︎」

 

「カッコいいぞ榛名‼︎」

 

「強くてカッコいいです‼︎」

 

「榛名はか弱い乙女ちゃんダズル」

 

その一言で、全員が一斉に

 

榛名は可愛い‼︎

 

榛名は美人‼︎

 

榛名は良妻‼︎

 

等と褒め言葉の総攻撃を榛名に当てた

 

「むふふ…そんなに言わなくても榛名は大丈夫ダズル‼︎」

 

散々褒められて満足したのか、榛名はワカメまめしの体を洗う為にドックに向かう

 

とりあえずこの日だけでも、榛名の悪口を言う輩は横須賀から消え去った…


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