今回のお話は、お弁当屋のお話です
このお話の中でお弁当を売ってる子といえば…
「いらっしゃいませー‼︎」
今日も元気にお弁当を売るゴトランド
「あっ‼︎おはようございます‼︎」
「プレーンを一つ‼︎」
「プレーンですね‼︎すぐご準備しますね‼︎」
この日もゴトゴト弁当のプレーンが飛ぶように売れる
最近ゴトランドは白米一つで生計を立てられるようになって来た
そんな中、別の注文が入る
「ゴトー弁当を一つ」
「ゴトー弁当ですね‼︎少々お待ちを‼︎」
その青年はゴトランドが弁当屋を建てた時から毎朝ここに来て、一番高いゴトー弁当を買い、何処かに行く
今日は少し、引き止めてみる事にした
「ね⁇貴方、何処の部隊⁇」
「サンダース隊です。あ、ほら、マーカス大尉の」
「そっかそっか。精鋭さんなんだねっ‼︎はいっ、出来たわ‼︎」
「ありがとう」
本当にいつもすぐに消える
少しずつ、ゴトランドは彼が気になっていく…
「すみませーん‼︎」
「あ、はーい‼︎」
ゴトランドの思いを遮るかのように、新しい注文が入る…
彼は朝に一度顔を見せると、その日はそれっきり
また明日の朝しか、顔を見られない
「今日も来るかしら…ふふっ」
繁華街の店舗が開店し始め、ゴトゴト弁当の前にも人が来る
朝からまたプレーンが売れ、のり弁が売れ、ヘルシー弁が売れ…
しかし、プレーンの売り上げだけは頭一つ抜きん出ている
「ゴトー弁当を一つ」
来た‼︎と思い、顔を上げる
「あ、はい‼︎ちょっとだけ待ってね‼︎」
そこには、毎朝見慣れた顔
何だか少し、ホッとする
「そろそろ名前、教えてくれないかな⁇」
「自分のですか⁇」
「貴方以外に誰が居るのっ⁇」
サンダースの彼が後ろを振り返ると、その瞬間だけ列になっていなかった
ゴトランドの方に体を戻すと、彼女はレジの机に肘を置き、彼を見て笑っている
「高垣と言います」
「高垣クンね⁇覚えたわっ。ゴトのお弁当、美味しい⁇」
ゴトランドは言葉と共に、お弁当の入ったビニール袋を前に出した
「えぇ、とても」
高垣はそれを受け取り、ゴトランドに笑顔を返す
そしてまた、何処かへ消えて行く
「高垣クン、ね…」
高垣はいつもの定位置に来た
繁華街を抜けた先にある、少しだけ小高い場所であり、海を見渡せるし、繁華街も見渡せる
そしていつもこの場所で、ゴトー弁当を頂く
ビニール袋から取り出し、フタを開ける
炊き立てのご飯と、揚げたてのフライ
沢山のオカズと白米の温かい匂いを肺いっぱいに入れる
「はぁ…」
出る声とは裏腹に、顔は綻んでいる
「いただきます」
最初はいつも、タルタルソースの付いた白身魚のフライ
そして、軽くご飯を食べる
高垣はこの時間をとても大事にしている
涼平の焚き火…
園崎のスパーリング…
そして、高垣の朝食
サンダースの子達は皆それぞれ大切な時間を持っており、隊の皆もそれを邪魔しない
「おっ‼︎ガッキー‼︎美味そうなモン食ってんな‼︎」
「中将‼︎」
高垣は座っていたベンチから立ち上がろうとしたが、リチャードはそれを肩を持って座らせた
「悪い悪い‼︎ちゃんと食ってるんだな‼︎イントレピッドが心配してな‼︎」
「あぁ…すみません、ご心配をお掛けして」
朝ご飯とはいえ、高垣は一旦ベンチにゴトー弁当を置いた
「はっはっは‼︎私は今からヴィンセント君の甲板バンジーを見届けなきゃならん‼︎じゃあな‼︎」
「か、甲板バンジー⁉︎」
耳を疑い、何故か心惹かれた甲板バンジーとのパワーワード
「食ったらイントレピッドDauに来い。多分、面白い事になる」
そう言い残すと、リチャードはスキップしながら去っていった
「甲板バンジー…」
「おべんとしゃん‼︎」
「おいししぉ〜‼︎」
「うわ‼︎」
リチャードを見届けた目をゴトー弁当に戻すと、そこには誰かが座っていた
そこに居たのは、朝から面白半分でリチャードの後ろを気付かれない様に着いて来ていたひとみといよ
「こえ、あんておかず⁇」
「これはきんぴらごぼうです」
ひとみといよが自分達の隊長であるマーカスの娘だというのは、隊のみんなが知っている
特に意味は無いのだが、高垣は何故か敬語になっていた
「あいっ」
ひとみといよに見られながら、いよが外でお弁当を食べる時に使うスプーンで口に入れて貰う
「おいち⁇」
「美味しいです‼︎」
「ついはなににちますか⁇」
「ごはん⁇はくまい⁇おこめ⁇」
「お、おこめで…」
「あいっ」
次はごはんを口に入れて貰う
「ひとみといよちゃんも、たかこしゃんにつくってもあったおにぎりたべう‼︎」
「よこすわてい〜れしゅか⁉︎」
「どうそっ‼︎」
ひとみといよはヒヨコの巾着からアルミホイルの包みを取り出し、高垣の横で食べ始めた
「ご〜とあんど、ごとあんど〜」
「ゴトランドを知ってるのかい⁇」
「うん‼︎すうぇ〜れんのおんなのひと‼︎」
「おべんとつくうがいじんしゃん‼︎」
ひとみといよから見ても、ゴトランドはお弁当を作る外国の人
「ごとあんどのおべんとあ、おいち〜かあ、かおい〜ぜお‼︎」
いよが頭の上で腕で0を作る
「はは‼︎何ですか、それ‼︎」
舌ったらずな話し方でも分かる
ゴトランドのお弁当は、美味しいからカロリーゼロ‼︎
「おとあんろにいってみて‼︎」
「かおい〜ぜお‼︎って‼︎」
「明日の朝言ってみますっ」
話しながらおにぎりを食べ終えたひとみといよは、アルミホイルを丸めてヒヨコの巾着に入れて立ち上がった
「がっき〜もいく⁇かんあんあんじ〜‼︎」
「食べたら行きますよっ」
「あってますお〜‼︎」
一足先にひとみといよが甲板バンジーに向かう
高垣は今しばらくその場に残り、ゴトのお弁当を堪能した
「イヤッフゥゥゥウ‼︎」
イントレピッドDauの甲板では、バンジージャンプが始まっていた
ジャンプ場は二カ所あり、片方からは点検と安全確認の為にヴィンセントがバンジーしているのが見えた
「あ、あの…本当に飛ばなきゃダメですか…⁇」
「棚町さんからのお達しですっ…‼︎」
もう片方のジャンプ場に立っているのはダイダロスさん
どうやら、一応形式上には罰になった為に、面白半分で与えた”罰バンジー”をしている様子だ
背後には涼月がいる
「後が積んでますっ…‼︎」
「ちょ、ちょっと待って…」
「仕方がありませんっ…」
涼月はポケットからグレネードを取り出した
「ほれ」
そして、何のためらいもなくピンを抜き、ダイダロスさんの足元に投げた‼︎
「うわぁぁぁぁぁあ‼︎」
ダイダロスさんがグレネードを回避するには、レッツバンジー‼︎するしかなく、そのままそこに居た全員の視界から消えた