艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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234話 Memory Photographer(4)

最後の被写体は再び横須賀

 

買い物がてら、アレンに頼まれた書類を横須賀に渡しに来た時だった

 

「Nice TempoなMusicね…」

 

執務室から音漏れしてくる、陽気なテンポの曲

 

「おっ、アイちゃん。横須賀に用か⁇」

 

後ろから脇にバインダーを挟んだマーカスが来た

 

どうやら訓練の帰りのようだ

 

「Yes‼︎Papaから預かって来たの‼︎」

 

「一緒に入ろう」

 

漏れてる音も気になりつつ、アイちゃんはマーカスと一緒に執務室のドアを開けた

 

「親潮‼︎ラブラブビーム‼︎」

 

「ジェミニ‼︎ラブラブビーーーム‼︎」

 

「Oh…」

 

「はは…」

 

親潮と横須賀がフリフリの服を着て、スクリーンに映し出されたアニメ映像と同じ動きをしている‼︎

 

流石のアイちゃんも苦笑いをするが、咄嗟にカメラを取り出し、横須賀にシャッターを切る

 

パチャリ…

 

「あっ‼︎コラ‼︎ゲッ‼︎レイ‼︎」

 

アイちゃんに気付き、横須賀はすぐに映像を止めて2人の所に向かって来たが、マーカスが居た事に気付き、冷や汗を流した

 

マズイ所を見られたわ…とでも言いたそうな顔をしている

 

「俺が悪かったよ、横須賀」

 

「え⁉︎あ…う、うんうん‼︎分かれば良いのよ‼︎そっ、それで⁇用事はなぁに⁇」

 

「エ…エト…Papaからこれを…」

 

「航空打撃演習の結果だ」

 

「そ、そう‼︎ありがとっ‼︎」

 

引きつった笑顔を見せながら、アイちゃんから書類の入った封筒

 

マーカスからバインダーを受け取る横須賀

 

「俺が蔑ろにし過ぎたんだな。もっと、お前とコミュニケーションを取るようにするよ」

 

「そうしてくれると嬉しいわ‼︎」

 

横須賀はマーカスにいつもの笑顔を送るが、マーカスは何故か真顔のまま

 

「Bye‼︎ヨコスカ‼︎」

 

「ありがとね、アイちゃん‼︎」

 

「ウン‼︎Dr.レイ、行きましょ‼︎」

 

「すぐ電話するからな」

 

「待ってるわ‼︎」

 

アイちゃんはマーカスの背中を押し、執務室から引き剥がした

 

 

 

「マズイ所を見られたわ…」

 

「創造主様に見られるのは嫌ですか⁇」

 

「ううん‼︎いいのよ別に‼︎ただ、しばらくネタにされるのよ、私に限っては…ね⁇」

 

「…⁇」

 

別にマーカスに見られても何とも思わない親潮

 

マーカスだけには見られたくなかった横須賀

 

下手に言ってしまうと、親潮を傷付ける気もするし、貴重なダイエットの機会が減る

 

「よし‼︎踊るわよ‼︎」

 

「はいっ‼︎」

 

横須賀は考えるのを止めた

 

踊って歌えば吹き飛ぶからだ‼︎

 

 

 

 

繁華街まで来た2人だが、マーカスは頭を抱えていた

 

「Dr.レイ、どこか痛い⁇」

 

「胃が痛い…何だよ‼︎ジェミニ‼︎ラブラブビーム‼︎って‼︎」

 

「オヤシオも居たわ‼︎」

 

「親潮は良いんだ。元からあぁだからな…問題はジェミニだ」

 

親潮は元からダンスが好きな子だ

 

なので問題ない

 

「マァマァ‼︎チョット飲みましょう‼︎Papa言ってたわ‼︎辛い時は飲んで寝るの‼︎IOWAが付き合ってあげるから‼︎ねっ⁉︎」

 

アイちゃんに背中を押され、マーカスはBar 那智に吸い込まれて行った

 

「やぁ、いらっしゃい。早いな⁇」

 

「いつものを」

 

「畏まった。アイちゃんは何にする⁇」

 

「Orange JuiceとPistàcchio‼︎」

 

「畏まった」

 

那智がカクテルを作っている間、アイちゃんはカウンターに両手で頬杖をつき、マーカスはタバコに火を点けた

 

「どうしたマーカス。浮かない顔だな」

 

「あぁ…ジェミニがイカれた」

 

那智はシェイカーを振る腕を一瞬止め、鼻で笑った

 

「我々の提督は少しネジが外れているからこそ、我々を動かせる所もある」

 

「ジェミニ‼︎ラブラブビーム‼︎だぞ⁉︎」

 

那智はまたシェイカーを止めた

 

「ま、まぁ…元からあんな感じだ…気にするなマーカス。女には謎が多い方が良い」

 

「病んでねぇかな…」

 

「ふふ…提督は幸せ者だな。こんなにも心配してくれる旦那を持って…ガンジスの淀み。オレンジジュースとピスタチオだ」

 

マーカスがいつも頼むカクテル、ガンジスの淀み

 

それと、オレンジジュースとピスタチオが置かれる

 

カクテルは昼間に来たのでほぼジュースだが、味はいつもに限りなく近い

 

マーカスはそれを一気に半分程飲み干し、またタバコに口を付けた

 

「オヤシオも居たのよ⁉︎」

 

それを聞いて那智は爆笑した

 

「何っ⁉︎はっはっは‼︎マーカス‼︎君もたいほうやひとみやいよと遊ぶだろう⁇」

 

「今、IOWAとも遊んでくれてるわ‼︎」

 

「あっ…」

 

マーカスは今更気付いた

 

横須賀はただフツーに子供と遊んでいただけだった‼︎

 

とうとう横須賀がイカれて、ジェミニラブラブビームを撃ちまくっていたと勘違いしたマーカスの取り越し苦労で終わった…

 

「Dr.レイ‼︎もう一度ヨコスカの所に行きましょ‼︎」

 

「そうだなっ‼︎那智、ご馳走さん‼︎」

 

「今日は奢ってやる。そのまま行って来い‼︎」

 

「行って来る‼︎」

 

「また来るわ‼︎」

 

那智に言われ、もう一度アイちゃんと一緒に執務室に来た

 

「今度は別のMusicね…」

 

「…やな予感がする」

 

今度もまたハイテンポな曲が執務室から漏れている

 

「行くぞ…」

 

「OK…」

 

執務室のドアが開けられる…

 

「ね〜こ目の怪盗‼︎」

 

「び〜じんの怪盗‼︎」

 

親潮、横須賀

 

ピッチピチのハイレグを着てダンスを踊りながら熱唱中

 

パチャリ…

 

「オウッ…」

 

どうやらAOBASYARI最後の一枚だったようで、フィルムが回転する音が出た

 

「コラッ‼︎何してるのアイちゃん‼︎ゲッ‼︎レイ‼︎」

 

相も変わらず、マーカスの顔を見て冷や汗を流す横須賀

 

「ジェミニ」

 

「な、なによ…」

 

「似合ってるぞ‼︎」

 

「そ、そう⁉︎ならよかったわ‼︎」

 

ようやく横須賀の表情が落ち着いた

 

「ジェミニラブラブビームだもんな」

 

「親潮。レイの記憶を消して頂戴」

 

「畏まりました‼︎さっ、創造主様…ご覚悟‼︎」

 

「わ°っ‼︎」

 

ニコニコ笑顔の親潮が飛び掛って来そうなので、変な声を出しながらドアを閉めた

 

「はぁ…はぁ…あ、あっぶねぇ…」

 

「流石はDr.レイのムスメね‼︎」

 

「現像するのか⁇」

 

「Papaがしてくれるわ‼︎」

 

「アレンなら出来るな」

 

その後、アイちゃんはマーカスと別れ、カメラを大事そうに持ったまま、ラバウル行きの高速艇に乗った…

 

 

 

 

次の日…

 

「アイちゃん‼︎出来たぞ‼︎」

 

「Thank you Papa‼︎」

 

早速出来上がった写真を壁掛けコルクボードに飾って行く…

 

アレンとネルソン

 

アレンとマーカス

 

各基地の子供達

 

ひとみといよ、日進とアレンが空に向かって叫ぶ後ろ姿

 

日進とアレン

 

横須賀二枚

 

そして、プロパガンダの広告塔と同じポーズをしたマーカス

 

このマーカスの写真は勿論コルクボードの中心に貼られ、アイちゃんの宝物となった

 

数枚の写真は焼き増しされ

 

アレンとネルソンの写真は二人にプレゼント

 

各基地の子供達の写真は、それぞれの基地に届けられ

 

横須賀二枚は検閲により没収された

 

そして、アレンとマーカスの写真

 

この写真が小さな賞を取った

 

題名は”戦士達の休息”

 

その商品は…

 

「Digital Cameraだわ‼︎」

 

アイちゃんはデジタルカメラを商品として貰っていた

 

「良かったわねアイちゃん‼︎」

 

「また余も撮っておくれよ⁉︎」

 

二人の母親から祝福の言葉が送られたアイちゃん

 

「二人共‼︎こっち向いて‼︎」

 

「うん⁇」

 

「うぬ‼︎」

 

アイちゃんはカメラをタイマーにした後、二人の真ん中に入った

 

「「「ピース‼︎」」」

 

三人の声と共に、シャッターが降りる

 

ネルソン、アイちゃん、愛宕

 

全員がピースサインと笑顔

 

この写真がこの先何枚も撮る事になる三人が映った、記念すべき最初の写真となった…

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