次の日…
「うぅ…はっ‼︎」
森嶋は墜落した夢を見ていた
体から冷や汗が吹き出しているのに気付き、目が覚めた
「お目覚めですかぁ〜⁇」
「蒼龍さん」
蒼龍はベッドの脇に肘をつき、森嶋の顔を見ていた
「墜落した夢を見てました。はは…情けな…ぐぇ‼︎」
蒼龍は森嶋の胸倉をいきなり掴み、自身の元へ引き寄せた
「…」
昨晩と同じく、巨乳に顔を押し付けられる森嶋
「忘れましょうねぇ〜、よしよしぃ〜。深呼吸ですよぉ〜」
森嶋は深呼吸をする
もう一度眠りに就いてしまいそうな蒼龍の柔らかさと匂い…
「体は動きますかぁ〜⁇」
「えぇ。少しは楽になりました」
「朝ごはん食べたらぁ〜、少し歩きましょうかぁ〜」
蒼龍が視線をズラした先には、ご飯と海苔とお味噌汁
そして、目玉焼きとウィンナーがあった
「いただきます」
「どうぞぉ〜」
森嶋はすぐに箸を握り、朝食にありついた
蒼龍はベッドの脇に座り、太ももに肘を置きながら森嶋の顔を見つめている
いつもは黒く、破壊と殺戮に満ちた蒼龍の瞳
森嶋の食事風景を眺めているこの瞬間だけ、蒼龍の瞳に少し輝きが戻る…
「ごちそうさまでした」
あっと言う間に、森嶋は朝食を完食
それと同時に、蒼龍の瞳の輝きも無くなる
「洗面所で口をゆすいだらぁ〜、食堂に来てくださいねぇ〜。着替えもそこにありますからぁ〜」
「ありがとうございます」
蒼龍は食器を乗せたお盆を持ち、食堂へ
森嶋は洗面所へと向かう
「ふぅ…」
口もゆすいで、顔もさっぱりとした
”もりしまさん”
と、紙が置かれていた下に着替えがあり、それに着替える
誰の物か分からないが、ちょうどのサイズのTシャツとジーパンに着替え、食堂に来た
「い、生き残ってンぜ‼︎」
「でかした‼︎」
「え⁉︎あ‼︎ちょっ…」
食堂に入って早々、江風とトラックさんに板挟みになり、何故か褒めちぎられた
「あ、あの‼︎まずはお礼を‼︎」
「そんなのはいい‼︎助けるのは当然です‼︎」
「そだそだ‼︎」
何故か二人が半泣きになる始末に、森嶋は戸惑っている
「蒼龍さんのおかげで、何とか歩けるようには…」
「どこも食われて無いか⁉︎」
「ホントに大丈夫か⁉︎」
「えぇ…だ、大丈夫で、ぐへ‼︎」
今度はいきなり背後から襟元を掴まれ、一気に引き寄せられる
「行きましょうかぁ〜」
「は、はい‼︎蒼龍さん‼︎」
蒼龍はいとも簡単に森嶋を担ぎ上げ、外に出ようとした
「そ、蒼龍⁇も、もうちょっと優しく持ち上げ…」
「何ですかぁ〜⁇」
顔だけ背後に振り向く蒼龍の瞳は、真っ黒になっている
「な、何でもないさぁ‼︎な⁉︎」
「何でもないよ‼︎行っておいで‼︎」
江風が必死にトラックさんを止め、蒼龍は森嶋を担いだまま出て行った
外に出てすぐ、蒼龍は森嶋を降ろした
「あ〜。ちょうちょさんですねぇ〜」
目の前をヒラヒラ飛んで来たちょうちょを見て、蒼龍は捕まえようと、手を伸ばす
「虫は好きですか⁇」
「綺麗な虫は好きですよぉ〜。ここには沢山いますからねぇ〜」
「あ…」
いつの間にか立っていたのは、花が咲き乱れる小さな丘
蒼龍はちょうちょを追い掛けるのを止め、花の前で屈み込み、木の枝で何かをほじくり始めた
一点を見つめたまま何かをほじくる蒼龍だが、森嶋の目には”大きな子供”として映っていた