艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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238話 騎士が愛した龍(3)

「今日は間宮行くわ」

 

「新メニューか⁇」

 

「そっ。イチゴミルクが出るらしいの」

 

今日は森嶋を迎えに行く日

 

行く前に飲み物だけ飲んで行こうとしたら、横須賀に間宮に行こうと言われ、繁華街に来た

 

「何か騒がしいわね⁇」

 

「何かあったのか⁇」

 

間宮から人が逃げる様に出て来る

 

明らかに様子が違う

 

意を決して、間宮の暖簾を分ける…

 

「い、いらっしゃいませ‼︎お好きな席にどうぞ‼︎」

 

珍しく伊良湖も厨房に入っている

 

「イチゴミルク二つ頂戴‼︎」

 

「畏まりましたぁ‼︎」

 

伊良湖の声が聞こえ、いつもの入ってすぐのテーブル席に座ろうとした

 

「おっ‼︎蒼龍‼︎」

 

「あ‼︎レイさん‼︎」

 

いつもの席に蒼龍が座っていた

 

蒼龍は手で横に座れと、椅子をペチペチ叩いてくれた

 

逆らうと喰われる可能性があるのと、折角の好意なので俺達は座る事にした

 

「蒼龍も朝ご飯食べに来たんです‼︎」

 

「そっ⁇何頼んだの⁇」

 

「モーニングプレートとホットケーキです‼︎」

 

何故かは分からないが、いつもの蒼龍と違う気がする

 

いつもの蒼龍なら語尾に癖があるのだが、今の蒼龍は明るく話してくれている

 

それに、目の色が違う

 

「森嶋の様子はどうかしら⁇」

 

「お、お待たせしました‼︎」

 

蒼龍が何かを言おうとした時、伊良湖がモーニングプレートとホットケーキを

 

間宮がコーヒー二つとイチゴミルク二つをお盆に乗せて持って来てくれた

 

「さ‼︎食べましょうね、森嶋さん‼︎」

 

「「え」」

 

俺も横須賀も、一瞬で最悪の事態が頭に過る

 

蒼龍が森嶋を食った

 

その森嶋は現在蒼龍の胃の中におり、胃の中の森嶋に対して放った言葉だと…

 

「よいしょっ…」

 

二人共顔面蒼白になっていると、蒼龍は胸の谷間から何かを出した

 

蒼龍はそれを机の上の朝食の前に置いた

 

”心配をおかけしました…”

 

そこにいたのは、非常に申し訳なさそうな顔をした妖精化した森嶋

 

「森嶋‼︎アンタどうしちゃった訳⁉︎」

 

「また可愛いサイズになって‼︎」

 

”いや…その…”

 

森嶋は俺達から目を逸らす

 

「昨日は熱い夜でした‼︎」

 

「おおおおマジか‼︎」

 

「良かったじゃない‼︎」

 

俺だけが違う反応を送る

 

誰も手を出さない、出せない難攻不落と言われていた龍が遂に落ちたのだ

 

それでも横須賀は嬉しそうな反応を返した

 

「よっぽど好きなのね⁇食べないじゃない」

 

「違う意味で食べた方が美味しいですからね‼︎」

 

「だとよ」

 

”あはは…”

 

蒼龍と横須賀にニタリ顔を送られ、妖精森嶋は苦笑いする

 

「美味しかった‼︎レイ、私先に行くわ。気を付けて行きなさいよ⁇」

 

「分かった。今日は誰かの哨戒に付き合うよ」

 

「ありがとっ」

 

笑顔の横須賀を見送り、その場に三人残る

 

「そうか。森嶋の探し人は蒼龍だったか」

 

”はい。再び出逢えて本当に良かったです‼︎”

 

「そういや、森嶋はマークの付き人をしてたらしいな⁇」

 

”えぇ。元々自分はSPでしたので…開戦直後はマークさんに雇われていました”

 

「なるほどなっ…これで辻褄が合った」

 

森嶋が蒼龍と最初に出逢ったのは蒼龍が死に掛けの時だろう

 

要は第一印象は最悪だ

 

そんな中、マークのSPとして雇われていた森嶋は蒼龍を保護

 

蒼龍はカプセルの中に入れて貰い、トラックさんが来るのを待っていた

 

そして、今度は恋人として森嶋の前に戻って来た

 

森嶋はその後横須賀で雇われ、紆余曲折を経てパイロットに

 

恐らく出て行く事はないだろう

 

ま…野暮な事は言わないでおこう

 

「はいっ、あ〜ん‼︎」

 

”あ〜”

 

こんなに幸せそうな蒼龍を見るのは初めてだ

 

今の今まで誰にも出来なかった

 

”蒼龍を笑顔にする”

 

と言う行為を、森嶋はただ存在するだけでそうさせる事が出来る

 

…これ以上ここいるのも野暮な事みたいだ

 

「よしっ‼︎俺も行くか‼︎」

 

イチゴミルクが入っていたコップの氷をカランと鳴らせ、席を立った

 

「午後にはお返ししますね‼︎」

 

「たまには何も考えずにパーッ‼︎と楽しんで来い‼︎じゃな‼︎」

 

”はい‼︎隊長‼︎”

 

「ありがとうございます‼︎えへへっ‼︎」

 

笑った蒼龍は、普通に可愛いと思う

 

元から身体付きは男ウケしそうだしな

 

これなら森嶋を預けても安心だろう

 

二人のカップルを見届け、俺は間宮を出た…

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