「創造主様。此方へ」
機材を入れたケースを持った親潮に案内され、サイトBに足を踏み入れる…
「…」
「…」
「何してるんだ⁇」
俺も親潮も、足を少し前に出して探ってから先に進む
「過去に地雷がバラ撒かれていましたからね…」
「死にはしないし痛くもないが、ちょっと怖いからな…」
涼月はちゃんと回収とかする子だからな
その辺りは心配無いが…
「此方です」
海上には既に標的が出されている
「此方をどうぞ」
親潮が足元で機材を準備しながら、俺達に双眼鏡を渡してくれた
「ガリバルディが来た…」
「予定時刻より少し早いな…」
海上には既にガリバルディが到着
遅れてきくづきとダイダロスが見えた
「測定器及び各機材、配備完了しました」
「助かった」
「そう言えばその子は⁇創造主様って言ってたが…」
機材の前に着こうとした時、ミハイルが親潮の事を聞いた
「私は親潮です。元はマーカスのAIでしたが、今はジェミニ様の秘書をしています」
「ジェミニに似てるな…」
「ジェミニ様の外見を模倣しています。ミハイル様」
親潮は笑顔を送った後、測定器の前に着いた
「アレンだ」
上空にアレンのSu-57が見えた
《当該空域に着いた。いつでも始めてくれ》
無線からのアレンの合図により、試射が始まる
「了解。ガリバルディ、準備が整った。始めてくれ」
《了解‼︎さぁ‼︎行くよ‼︎》
先程の女の子の声が無線から聞こえ、ガリバルディが動く
標的は全部で三つ
それを如何に叩き壊すか、如何に命中させるかを今回見定める
「発射されました‼︎目標、一番標的。弾着まで…3秒‼︎」
「速い‼︎」
撃ち出されてほんの少し上に上がったと思えば、標的に方向を変え、一瞬で加速して標的に当たった
「次弾装填。目標、二番標的…発射‼︎弾着まで、3、2…弾着‼︎」
「装填も速いな」
「良いミサイルだろう⁇」
「あぁ…確かに…」
そして、最後の試射
「次弾装填。目標…ガリバルディ、それは味方です‼︎すぐに標的を変えて下さい‼︎」
「どうした親潮‼︎」
「ガリバルディ、ダイダロスに向けて標準を照射中‼︎」
《ジャミングを展開しろ‼︎》
ダイダロスは咄嗟にジャミングを展開
ミサイルの直撃は免れた
「親潮。横須賀に連絡をして、ガリバルディに繋いでくれ」
「畏まりました。此方を」
親潮から無線機を貰い、すぐに耳に当てる
「どう言うつもりだ、ガリバルディ」
《どうもこうも。元から敵だって事さ‼︎ほらほら‼︎もういっちょ行くよ‼︎》
ミサイルが当たらないと分かると、今度は主砲をダイダロスに向けた
《退避しろダイダロス‼︎》
《避けたら大尉達に当たる‼︎総員踏ん張れ‼︎》
「なに…」
ダイダロスの動きが緩やかになる
ガリバルディが向けた主砲の射線上に俺達はいる
ダイダロスが退避すれば、俺達が射線に入る
《そんな見栄張って。まずは君から落ちな‼︎》
速射砲は放たれ、ダイダロスの艦首付近に穴が開く
《目標、9時方向‼︎敵艦ガリバルディ。撃ち方始め‼︎》
きくづきが速射砲を放つ
《あはははは‼︎効かない効かない‼︎》
速射砲はガリバルディに当たるも弾かれている
きくづきの速射砲の威力はかなり高い
対深海加工を施していない艤装で、深海に打撃を与えるほどの貫通力を備えている
それでも弾くと言う事は、装甲に特殊な細工をしてある可能性がある
《攻撃許可が下りた。攻撃を開始する》
アレンのSu-57が爆弾の投下体勢に入った
Su-57には軽量だが、数発の投下爆弾が積載されている
命中すればせいぜい艤装の破壊が精一杯だが、それでもこの現状は何とかなる
《とことん甘いね、君》
「アレン‼︎ガリバルディやめろ‼︎」
ガリバルディのミサイル発射装置がアレンの方を向く…
《潮時か…だが、艤装は貰う‼︎》
投下のタイミングをずらした二発の爆弾がSu-57から切り離された直後、ガリバルディからミサイルが撃ち出された
「アレン‼︎馬鹿野郎‼︎」
粉々に撃ち抜かれたSu-57が海上に落ちて行く…
まさに一瞬の出来事だった
涙も何も出なかった…
しかも、アレンが投下した爆弾は両者共に弾かれている
「マクレガー大尉のベイルアウトを確認。きくづき、救助に迎えますか⁇」
《了解した‼︎すぐ救助に向かう‼︎》
「ガリバルディ…」
「創造主様、落ち着いて下さい。アレン様は無事です」
いつの間にか左手で双眼鏡を握り潰していたのを、親潮もミハイルも見ていた
「レイ。俺に考えがある」
「何だ⁇」
「”アレ”を使う時が来た」
ミハイルの言っている事は何となく分かった
「あの機体はまだ試験段階らしい。それに、俺でさえ使い方が…」
ミハイルはアタッシュケースから書類の束を取り出し、無言で俺の胸に置いた
「スポンサーは俺だ」
「ミハイル⁇」
「どの道レイかアレンに乗って貰う予定だった。今、その時が来たんだ」
「しかし…」
「深海からの贈り物だ。受け取ってくれ」
ミハイルの手に力がこもる
「…分かった‼︎」
「きくづき及びダイダロス、一時撤退します」
アレンを救助し終えたきくづきは、傷を負ったダイダロスを連れて横須賀に戻ろうとしている
「タナトス様がガリバルディの監視に着くとの方向がありました。入れ替え完了まで、およそ十分」
「やるなら今しか無い。試射実験中止。現時刻をもってガリバルディを敵艦とみなす」
「ジェミニ様も同意のようです」
「行こう、レイ‼︎」
機材を引き上げ、サイトBを出た…