艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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245話 ピンクの悪魔(4)

横須賀に戻って来た

 

既に基地はガリバルディの対策でてんてこ舞い

 

そんな中、きくづきが帰って来た

 

「お〜いレイ〜‼︎ミハイル〜‼︎」

 

何故かピンピンしたアレンがきくづきから降りて来た

 

「アレン‼︎大丈夫じゃないだろ⁉︎」

 

アレンは本当に無傷だった

 

強いて言うならば、少し海水浴をしたので体が濡れている以外に傷が無い

 

「よく分からんが助かった‼︎それよりレイ。機体はあるか⁇」

 

「検査が先だ、アレン」

 

「分かったよ」

 

ミハイルにも言われ、医療機器一式が揃っていて一番近い工廠でアレンを見る事になった

 

「何処も異常ないな…」

 

着替えさせた後、アレンの何処を検査しようが、何の異常もない

 

「レイ、機体はないのか。彼奴に一発食らわせてやりたい」

 

「ある事にはあるが…お前は少し休め」

 

そんな中、外から叫び声が聞こえた

 

「待って下さい‼︎艦長が‼︎」

 

「まだダイダロスには艦長が‼︎」

 

ダイダロスの乗組員が担架で運ばれながら、それぞれが似た事を叫んでいる

 

「ちょっと待ってろ。ミハイル、アレンを頼む」

 

「分かった。ほらアレン、少し休め」

 

「わ〜かったって‼︎」

 

様子がおかしいダイダロスの乗組員達

 

「ダイダロスは帰港してないのか⁉︎」

 

「艦長一人でガリバルディに‼︎」

 

「自分達をきくづきに乗せた後すぐに行ってしまわれて‼︎」

 

海上では、ガリバルディに向かって行くダイダロスが見えた…

 

 

 

 

数分前…

 

「先に行くんだ」

 

ダイダロスさんの誘導により、きくづきに乗せられて行くダイダロスの乗組員

 

ダイダロスが損失を受け、万が一に備えて最小限の人員を残して横須賀まで帰る寸法だ

 

「お前達も行くんだ」

 

ダイダロスに二人の乗組員が残っていた

 

「艦長。自分達が退艦すればレーダーが動かせません。付き合いますよ」

 

「そうですよ艦長。自分もいなければエンジンを起動出来ません」

 

二人共、まだ若い

 

それでもダイダロスさんを信じて、ダイダロスに残ると言った

 

「…ちょっと待て。一軸艦長からだ」

 

ダイダロスさんが無線器を取り、何かを話している

 

「きくづきのSPYレーダーの調子がおかしいらしい。修理出来るか⁇」

 

「可能です」

 

「頼めるな⁇」

 

「了解です‼︎すぐに戻ります‼︎」

 

一人がダイダロスを出た

 

「あいつの護衛に着け。命令だ」

 

「艦長‼︎」

 

「な〜に‼︎心配するな‼︎死んで帰ったらハニーに怒られる‼︎」

 

「約束ですからね…」

 

最後の一人の退艦が終わる

 

「一軸艦長」

 

《ダイダロス。どうしたんだ》

 

ダイダロスさんは一つ呼吸を吐いた後、無線器に言った

 

「…俺の自慢の部下だ。宜しく頼む」

 

《何をするつもりだ》

 

「罪滅ぼしさ」

 

無線を切ったダイダロスさんの手元で、ランプが点灯する

 

”艦首装甲破損・浸水箇所有り”

 

その警告を見た後、もう一度無線を取った

 

「…マクレガー大尉」

 

最後の無線は工廠にいるアレンへと繋いだ

 

《ダイダロスさん、助かりました。感謝します》

 

「一つ、頼まれてくれないか」

 

《自分に出来る事なら》

 

アレンの言葉に、ダイダロスさんは言葉を詰まらせた

 

今までずっと隠していた事があった

 

それを今、ダイダロスさんは言おうとしていた

 

煙草を咥えて一度だけ紫煙を吐いた後に、ダイダロスさんは言った

 

「”息子”を頼んだ」

 

《息子⁇息子とは…》

 

「息子が君の背中を追っているのを、私は見た。どれだけ君を信頼しているか…よく分かったよ」

 

《ダイダロスさん…あんたまさか…》

 

「通信を遮断する」

 

《待ってく…》

 

アレンが止めようとしたのを振り切り、ダイダロスさんは無線を切り、叩き付けるかのように無線を置いた

 

「…さぁガリバルディ‼︎地獄へ付き合って貰おうか‼︎」

 

ダイダロスが動き出す…

 

 

 

 

「SPYレーダーの修理を頼まれたのですが」

 

「SPYレーダー⁇普通に稼働しているが…」

 

「…」

 

レーダーを動かしていた彼は、一軸艦長の言葉で気付いた

 

あれは嘘だ

 

艦長は自分達を逃がす為に嘘を吐いた

 

自分達にあぁ言えば、行くと信じてくれたんだ

 

「艦長‼︎」

 

エンジン担当の彼が叫んだ

 

窓の外で、ダイダロスがガリバルディに向かって行く…

 

「艦長‼︎何をするつもりですか艦長‼︎」

 

「自分達を置いて行かないで下さい‼︎」

 

二人の叫び虚しく、ダイダロスは離れて行く…

 

 

 

 

横須賀では、ダイダロスの行動に一瞬動きが止まった

 

鉄と鉄とがぶつかる鈍い音が聞こえた…

 

「体当たりだと…」

 

ガリバルディの船体が傾く程の衝撃で、ダイダロスは体当たりをかました

 

ダイダロスはガリバルディの速射砲でボロボロになりつつも、未だミサイルの砲身が向いていた横須賀基地をその身を挺して守り抜いた

 

「ダイダロス大破‼︎ガリバルディは小破です‼︎」

 

親潮の叫ぶような声で止まった時間が元に戻る

 

「ミサイルはまだ積んでるのか⁉︎」

 

「かなりの数あります‼︎ここは危険です‼︎離れましょう‼︎」

 

親潮に手を引かれて、工廠に向けて走る

 

工廠まで行けば地下がある

 

そこに行けば安全だ

 

だが、他の奴は⁇

 

外の艦娘達は⁇

 

そんな事を考えていると、タブレットに通信が入った

 

一旦工廠と工廠の間に身を隠し、通信を繋いだ

 

《おこまい⁇》

 

《がいばうで〜ぶっこおいすうか⁇》

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