艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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245話 ピンクの悪魔(7)

「何だっ⁉︎」

 

「地震⁉︎」

 

いきなり大きく地面が揺れた

 

横に居た横須賀がすぐに腕に飛び付いて来たので、それを抱き留めた

 

「何だったの⁉︎」

 

「分からん…ミサイルの暴発の可能性もある」

 

地面が大きく揺れたのは一度だけ

 

辺りを見回し、異変がないか確かめる…

 

コンテナは落ちて来たり倒れたりする気配は無い

 

「あれか⁇」

 

そんな中、一つだけ異様なコンテナがあった

 

規則正しく並べられているコンテナの中で、曲がって置かれたコンテナが一つ

 

コンテナの入り口には、何かを転がして入れた形跡もある

 

「な…何なのよあれ…」

 

コンテナの方を向いた時点で、横須賀は俺の背後にいた

 

「シーッ…誰か来る…」

 

別のコンテナの陰に隠れ、怪しいコンテナの中に入って行く人影を見る…

 

「コラッ‼︎」

 

その人影を見て、すぐに陰から出た

 

「あ‼︎えいしゃん‼︎」

 

「えいしゃん‼︎」

 

コンテナの中に入ろうとしていたのはひとみといよだった

 

気付いてすぐに駆け寄って来た二人の前で屈み込んで抱き寄せた

 

「コンテナの所で遊んじゃダメだろ⁇」

 

「ごえんなしゃい…」

 

「あしぉんれたちあう‼︎」

 

ひとみが珍しく反発して来た

 

どうやらここにいたのには理由があるみたいだ

 

「遊んでたんじゃ無いのか⁇」

 

「ししぁ‼︎」

 

「試射⁇」

 

「そうですっ…‼︎」

 

涼月が来た

 

どうやら涼月の何らかの手伝いをしていたみたいだ

 

「中に誰かいるの⁇」

 

「捕虜がいますっ…‼︎」

 

涼月が扉を開け、横須賀も俺も中を見る

 

「あ…が…」

 

「ガリバルディ‼︎」

 

中は真っ黒焦げ

 

ガリバルディも真っ黒焦げ

 

目を回しているが、意識はある

 

「お〜い、生きてるか〜」

 

ガリバルディの前に立ち、頬をペチペチ叩くと目を覚ました

 

「耳の奴取れ‼︎」

 

「とえ⁇」

 

「とってくらしゃい」

 

「取って下さい‼︎」

 

ひとみといよはガリバルディに非常に強い憎悪を抱いている

 

「あ‼︎お前これ俺の聴診器‼︎」

 

ガリバルディの耳には、御丁寧にガムテープで貼り付けられた聴診器があった

 

「そこの二人が持って来たんだ‼︎」

 

「ごめんなしゃい…」

 

「もうちましぇん…」

 

スペアの聴診器が無くなった原因はひとみといよが持ち出した為だった

 

「今度から借りる時はちゃんと言うな⁇」

 

「いう‼︎」

 

「かちてくらしゃいいう‼︎」

 

「よし」

 

「甘過ぎないか⁉︎」

 

「お前がした事よりっ…まだマシだろう⁇」

 

縛られていたチェーンを外し、ガリバルディを自由にした

 

「いいのか、アタシを自由にして」

 

「黒焦げのままじゃどうにもならんだろ。それに、これだけやられりゃ反省したろ⁇」

 

「もうしないよ…こんな事、もうコリゴリだ」

 

「だとよ、横須賀」

 

横須賀はひとみといよの横に立ちながら答えた

 

「ま、一応それなりの罰は与えるわ」

 

「分かった。従う…」

 

「そうね…どんな罰がいいかしら⁇」

 

「お胸がありますっ…‼︎」

 

「おっぱい‼︎」

 

「おちち‼︎」

 

子供達全員がガリバルディの体付きに目が行く

 

「そうね‼︎個室に放り込んで山程男性職員送りましょう‼︎」

 

「うぅ…」

 

横須賀のエゲツない仕打ちに、ガリバルディも俺も軽く引く

 

「んな事しないさ」

 

「そうそう。アンタ、帰る場所無くなったわよ」

 

「え…」

 

横須賀の一言で空気が変わる

 

「さっき連絡があったわ。アンタ、軍所属じゃなくて企業の艦なのね⁇」

 

「…そうだ」

 

ガリバルディは軍の所属ではなく、軍の委託で兵器や艤装を開発製造していた企業の艦

 

ガリバルディは秘匿で造られた強力な艦である事に間違いはなかった

 

「国外追放ですって」

 

「…仕方ないか。ヤバい事をしたんだ」

 

「選択肢を選ぶのは後だ。とにかくっ、治療をしよう」

 

ガリバルディを背負い、ひとみといよ達の護衛付きでコンテナを出た

 

「…ありがとう」

 

真面目にしてれば、ガリバルディは良い子だ

 

医務室に着き、ガリバルディをカプセルに放り込む

 

《乗組員はどうなる》

 

カプセルの中からガリバルディが話す

 

「次裏切ったら海に沈めるつもりだ。が…帰る場所も今の所はないだろ⁇横須賀で全員引き取るだろうな」

 

《そっかっ…ありがと…》

 

「礼を言うならっ…横須賀に言うんだな」

 

椅子に腰掛け、タバコに火を点けながらガリバルディのカプセルを弄る

 

「あぁ、そうそう。ガリバルディは次要らん事したらあの三人な⁇」

 

《嫌だ‼︎もう悪い事しない‼︎》

 

「冗談だっ。二時間もすりゃ傷は癒える。そんときまた来るから、答えを出しといてくれ」

 

《あああアンタに従うよ‼︎だからあの三人だけは‼︎》

 

カプセルの中のガリバルディに向けて口角を上げた後、医務室を出た

 

「さてっ…」

 

後は捕虜の人事やらは横須賀に任せるとして…

 

「分かってんだろうなぁ‼︎この大馬鹿者が‼︎」

 

「隊長⁉︎」

 

いきなり隊長の怒号が聞こえて来た‼︎

 

会議室からだ‼︎

 

「隊長‼︎」

 

「レイ。こっち来て」

 

会議室を開けると横須賀と隊長、そしてガリバルディの艦長補佐がいた

 

横須賀に手招きされ、すぐに横須賀の所に寄った

 

艦長補佐は隊長に胸倉を掴まれ、宙に浮いている

 

隊長がここまでブチギレているのは久々に見た…

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