謎の人見知りの美少女を連れ歩く北上
果たして美少女の正体は誰なのか…
途中、たいほう達にも出会います
全ルート・遊撃部隊
話は横須賀繁華街夏祭りが始まる少し前
にさかのぼる
〜横須賀基地・パイロット寮内〜
「ほ、本当に着なきゃダメ⁇」
「折角用意したんだから着て欲しいな〜。てか、チェスに負けたら着るって言ったじゃん」
「うぅ…」
待機していたパイロット寮の一室で、北上と誰かが目の前に置かれた浴衣を見て問答を繰り返していた
「行って帰って来るまでに何か買ってあげるからさ、着てよ」
「絶対バレるってば…」
「バレないバレない‼︎名前も変えるからさ‼︎さ‼︎まずはシャワーシャワー‼︎」
「うわ‼︎ちょっとぉ‼︎」
「あ。このボディーソープ使ってね〜。すっごくいい匂いするからさ〜」
北上にシャワールームに押し込まれ、今しばらく二人して出て来なくなった…
数十分後…
「さっぱりした」
「…よし、いい匂いだね。さ‼︎着替え着替え〜‼︎」
「えっ‼︎ちょ…」
間髪入れずにその”誰か”は北上にロッカールームに押し込まれ、しばらく出て来なくなった…
数十分後…
「後はあたしがちょちょいっとお化粧したげる〜‼︎」
「うぅ…」
鏡に映るのは、赤い浴衣を着た少女
北上がお化粧を施し、少女らしさが際立って行く
「はいっ、OK‼︎どうよ、女の子になった気分は⁇」
「ま、まだ分からない…」
少女は立ち上がり、鏡の前で自分の浴衣姿を見る
くるりと一回転してみたり、パットを入れた胸を持ち上げてみたり
嫌がってはいるが、少し不思議な感覚を確かめているようにも見える
「いいかい⁇君は今夜は”梨紅ちゃん”だよ。いいね⁇」
「それペンネー…」
「梨紅ちゃん行くよ〜」
「待って‼︎心の準備が‼︎」
北上に言葉を遮られ、手を引かれて外に出て来た
「おぉ〜、ここから見ても結構居ますねぇ」
「ね、ねぇ。本当に行くの⁇」
最後の最後にも梨紅ちゃんは躊躇う
「行くよ⁇なになに。誰かに見られたら嫌な訳⁇」
「ヤダよ‼︎」
「バレなきゃいいの‼︎さ、行くよ〜‼︎」
「ま、待って…」
「何さ〜」
先に行こうとした北上を、梨紅ちゃんは引き止めた
「せめて手繋いでよ…」
「おぉ…いいよいいよ‼︎それ位なら全然オッケー‼︎」
顔を真っ赤にした梨紅ちゃんと、今にも吹き出しそうな北上が、手を繋いで夏祭りエリアに入る
「梨紅ちゃんは何食べたい⁇」
「た、たこ、やき…」
震えた声で梨紅ちゃんが答える
「…もっと声高く」
「うぅ…たこ焼き食べたい…」
今にも消えそうな声だが、梨紅ちゃんは高めの声を出した
「むっふふ〜、オッケーオッケー‼︎」
「おっ‼︎いらっしゃい‼︎天龍様のたこ焼きだ‼︎」
「一つちょ〜だい」
「おっしゃあ‼︎」
北上が天龍の屋台でたこ焼きを買っている最中、梨紅ちゃんは横の金魚すくいを見ていた
「たいほうでめきんほしい‼︎」
「ボクはこのデカイ金魚にしようかな‼︎」
「ランチュウこそ至高」
マズイ…たいほうちゃんとれーべとまっくすがそこに居る…
バレようものなら大変な事になる…
「おっ‼︎三人は金魚すくいかな⁇」
「びんせんとさん‼︎こんばんは‼︎」
そんな輪の中に、ジョンストンとフレッチャーを連れたヴィンセントまで来た
「ん〜、とれない…」
「どれが欲しいのですか⁇」
「たいほうでめきんほしいの」
フレッチャーが前屈みになりながら、たいほうの狙っているデメキンを見た
「…おっぱい」
フレッチャーがつぶやくと、たいほうの前にデメキンだけが寄って来た
「よいしょ‼︎とれた‼︎ありがとう‼︎」
「いえいえ。お安い御用です」
「…あみさんあみさん」
「ん〜⁇」
それを見ていた梨紅ちゃんは、北上の浴衣の背中部分をクイクイ引っ張り、たいほう達の方に向けた
「凄いね〜。さ、食べよう‼︎」
北上と梨紅ちゃんは、ベンチに座ってたこ焼きを食べ始める
「美味しい⁇」
「…美味しい」
「むっふふ…」
恥ずかしそうにたこ焼きを食べる梨紅ちゃんを見て、北上はニヤつく
「こっから先は見回りも多いから、誰かと会うかもね」
「た、煙草吸いたい…緊張して来た…」
梨紅ちゃんはカタカタ震える手で巾着から煙草を取り出そうとした
「ダメダメダメダメ‼︎イメージは大事‼︎今は可憐な恥ずかしがり屋な女の子なんだぞ⁉︎」
「わ、分かった…」
「あみさんだ‼︎」
「たいほうちゃん‼︎」
「ひ‼︎」
そんな時、運悪くたいほうが来た
「たいほうでめきんとれたの‼︎」
「ほほぅ⁇育てるんだね⁇」
「ママにてんぷらにしてもらうの」
「お…お〜お〜そっかそっか‼︎」
一瞬真顔になったたいほうにビビる北上
「あみさんのおともだち⁇」
「そっ‼︎梨紅ちゃんって言うんだ〜。ほらほら、挨拶しないと〜」
「り…梨紅…です…」
「あたしたいほう‼︎あみさん、りくさん、またね‼︎」
「楽しんどいで〜」
たいほうが去り、北上は梨紅ちゃんの肩をポンポンと叩いた
「バレてないじゃん。イケるイケるぅ‼︎」
「バレてそう…」
たこ焼きのトレーをゴミ箱に捨て、散策を再開する
「ど〜こ行ったんかね〜」
「今日は会いたくないよぉ…」
北上が必死こいて男性陣を探す中、梨紅ちゃんは下を向いて、繋いでいない方の手で巾着を前で持ちながら歩いている
その行為が実に女性っぽく、祭りを楽しんでいる男性の視線を逆に注目させていた
「そこの二人‼︎俺達と一緒に回らない⁉︎」
遂に一般客のナンパが始まった
男性が二人、北上と梨紅ちゃんをナンパして来た
「あ〜、ごめんねぇ〜。この子恥ずかしがり屋でさぁ」
「君、名前は⁇」
「へっ⁉︎お…わ、わたっ、し…」
「いいじゃんいいじゃん‼︎行こうよ‼︎」
「あっ…いや…」
恥ずかしがる梨紅ちゃんの姿は、余計に男性達の興味をそそってしまう
「何をしているのかな⁇」
タイミング良くヴィンセントが来てくれた
ヴィンセントは男二人の首根っこを簡単に掴み上げ、身動き取れない状態にしてくれた
少し前にジョンストンを抱っこするやり方がここで役に立った
「あ⁉︎いや‼︎ちょっと道を聞こうかと‼︎」
「離してくれ‼︎」
「なんぱ。あみさんなんぱ」
ヴィンセントの頭に乗っているジョンストンが気付いてくれて、ヴィンセントを連れて来てくれたみたいだ
「何っ⁇それはいかんな…そんなにナンパしたいならジョンストンの相手をしてもらうぞ⁇メチャクチャ強いからな、ジョンストンは。ジョンストン⁇そこのレンガ、割れるか⁇」
「うん」
ヴィンセントに言われて、ジョンストンは頭から降り、近くにあった組み立て途中に余ったかどうか分からないレンガを一つ手に取った
「えい」
ジョンストンが腕の中で、レンガは真っ二つになった
「「えぇ〜…」」
男二人が下心丸出しでデートしたいのは北上と梨紅ちゃん
しかし、ヴィンセントが勧めたのは、男二人の前にいるフルパワーのジョンストン
「いこ」
そんな相手にも純粋無垢なジョンストン
「ま…まぁ…」
「いいか…」
「手出したらどうなるか…分かってるな⁇」
「出さねぇよ‼︎ガキじゃねぇか‼︎」
「…何したい⁇」
一人がジョンストンの前に屈み、ジョンストンと話し始めた
「しゃてき」
「…行くか」
「おぉ…」
「射的の所まで迎えに行く。それまでジョンストンをしっかり守ってやるんだ。いいな⁉︎」
「分かったよ‼︎」
「行こうか」
「だっこ」
「…ホラッ‼︎」
一人はまだ反抗的だが、もう一人は何故か肯定的になっていた
渋々抱っこしているように見えるが、顔は満更でもなさそうだ
「いやぁ、助かりましたよヴィンセントさん」
「女の子は護ると言ってる同僚の気持ちが今だけ分かりましたよ」
「ジョンストンは大丈夫なの⁇」
「ジョンストンがやると言いましてね。大丈夫。あの子は強いですよ」
「ありがとうございました…」
梨紅ちゃんがヴィンセントに一礼する
「…どこかでお会いしたような」
「あ〜‼︎ごめんねヴィンセントさん‼︎あたしこの子案内しなきゃ〜‼︎じゃね〜‼︎」
「お気を付けて‼︎フレッチャー、行こっか‼︎」
「えぇ‼︎」
ヴィンセントはジョンストンを見に
北上達は散策を続ける
「お〜。結構混んで来たね〜」
北上達が来たのはゲームが沢山あるエリア
一般客も艦娘も沢山いる
「捕まえたっ‼︎」
「へっ⁉︎」
いきなり梨紅ちゃんの腕が掴まれた
「あみじゃない‼︎」
「お〜、ジェミニじゃん。巡回⁇」
梨紅ちゃんの腕を掴んだのはジェミニ
「貴方、お名前は⁇」
「え、えと…その…り…」
「ごめんごめんジェミニ‼︎この子人見知りが激しくってさ〜」
梨紅ちゃんの顔を見ると、下を向いて目を閉じて顔を真っ赤にしていた
北上から見ても、ジェミニから見ても非常に女の子らしい仕草であり、同性であっても何故か生唾を飲んだ
「そっ⁇また顔見せて頂戴⁇」
「あ、あの…は、はい…」
「じゃあね〜」
ジェミニから離れ、北上はすぐに梨紅ちゃんに話し掛けた
「ほら〜、やっぱバレてないじゃん。大丈夫だって〜」
「うぅ…」
「大丈夫大丈夫。梨紅ちゃん‼︎てかさ、そんなビクビクしてたら逆にそそられるよ⁇」
「くぅ…」
口の形がピーナッツみたいになって恥ずかしがる梨紅ちゃん
「おや、あみさん」
「お。エドガーじゃん」
「楽しんでるか⁇」
そんな矢先に現れたのはウィリアムとエドガー
二人共、いつもは見慣れない紺色の甚平を着ているので、北上も梨紅ちゃんもここに来てようやく”夏”を感じる事が出来た
「ほぅほぅ。新しい子、ですか⁇」
「そうそう‼︎恥ずかしがり屋でさ、人混みに慣らそうと思ってね」
「り、梨紅です…」
「ウィリアム・ヴィットリオだ。宜しくな」
「エドガー・ラバウルです。お見知り置きを」
北上は笑いを堪えるのに必死
梨紅ちゃんは何故か少し落ち着いて来ているようにも見える
「あら⁇貴方確か…」
そんな時、二人の脇から出て来たヒュプノスが梨紅ちゃんをジーッと見つめ始めた
「あー‼︎そうだー‼︎あたし達もっと見て回らないとー‼︎じゃあねーバイバーイ‼︎」
北上は梨紅ちゃんの手を引いて、小走りでその場を走り去った
「…お気を付けて」
「楽しんでこ…行ったか…」
「ふふっ…なるほどなるほど…」
男二人が不思議がる中、ヒュプノスだけが不敵に笑っていた…
「あっぶなかったぁ〜…」
「流石はレイさんの娘ですね…」
二人して息を切らしながら何とか逃げ切る
「おっ。もう少しで終わりだね」
「良かった…」
梨紅ちゃんも安堵の息を吐く
あぁ…一番会いたくない人に会わなくて良かっ…
「おっ‼︎北上だぜ‼︎」
「おーい‼︎」
一番会いたくない人の声が聞こえ、こっちに来た
「…梨紅ちゃん⁇終わったみたいよ⁇」
「何で最後の最後にぃ…」
一番会いたくない人
アレン
レイさん
一生おちょくられる気がする…
「見慣れない子だな⁇」
「そ、そ〜なんだよマーカスぅ‼︎別基地から来た子でさぁ‼︎」
「何処の基地だ⁇」
アレンにとっては普通の疑問
しかし、北上と梨紅ちゃんにとっては最悪の質問
「へっ⁉︎あっ…えと…」
びっくりして声が裏返る梨紅ちゃんだが、その声が実に女の子っぽかった
「人見知りが激しいんだよ〜‼︎ねぇ‼︎」
「ん…⁇」
「ま、舞鶴‼︎です…」
「「あそこか…」」
梨紅ちゃんが適当に出した答えで、何故か二人は納得した
《横須賀繁華街夏祭り、本部からのお知らせです。20時から広場にて”男だらけの盆踊り大会”を始めます。こぞってご参加下さい》
ナイスなタイミングで放送が入った
「おっと。始るか‼︎」
「行くか‼︎」
「行ってらっしゃ〜い‼︎」
「見に来いよ‼︎」
「行けたら行くわ〜」
アレンとマーカスを見送り、北上と梨紅ちゃんは祭りの端から端まで歩き切った
「盆踊り、見に行こっか」
「参加しなくていいの⁇」
「今日は女の子だからいいよ」
最後の最後に落ち着きを見せた梨紅ちゃんは、少し困っていそうな笑顔を見せ、北上の横を歩きながら元来た道を戻る
「行くぞジョンストンちゃん‼︎」
「準備はいいか‼︎」
「うん」
「「オラ‼︎」」
「おら」
さっきナンパして来た男二人が、すっかりジョンストンと仲良くなって射撃を堪能している
このナンパした男二人はこの後、一応お叱りは受けたものの無罪放免となった
なんなら彼等は定期的に仕事を貰った
彼等二人は車の整備士であり、時々ジープやらの整備に来る事になった
そしてその時、お昼ご飯をジョンストンと一緒に食べているのを見かける事になる…
少し前のお話に、誰かが分かるヒントがあります。
アレンが逃げ回って、ガラス叩き割った時のお話ですね