マークの研究室から出て、インカムを付け直す
《エレベーターで地下一階に向かって下さい》
親潮に言われた通り、エレベーターで向かえる最下層の地下一階のボタンを押す
《地下に入りますので、電波レベルを上げます》
「中継地点はありそうか⁇」
《そこまで行けば、カプセルに繋いだPCがあります》
「了解」
エレベーターを降りると、すぐに親潮から誘導が来た
《九時の方向に向かって下さい》
地下一階は資料室
ここに過去の研究や戦闘データが保管されている
紙媒体の資料もあるが、最近は幾つかの記録媒体に保存され、適材適所でコピーされたものが執務室のコピー機に届く
《そこに地下への入り口ハッチがあります》
親潮の誘導通りに行くと、小さなハッチがあった
ハッチを開けると、ハシゴが見えた
「俺が先に降りる」
「オーヨド、先に行け」
「オッケー‼︎」
俺が先に降り、続いてオーヨド博士、最後にマークがハシゴを降りる
「レイ君。大淀さんのパンティーは何色かね」
「はいはい、水色の縞パンだ。よっこらせっ…」
オーヨド博士を軽くいなし、地に足を下ろす
《親潮は黒です》
「いい事を聞いたっ。次はどっちだ⁇」
負けじと親潮も自分の下着の色を言うが、横須賀と同じ色を身に付けているのは知っていた
《前方のシャッターを解錠します。その先が目的地です》
親潮の下着は元から黒と知っているので、これもいなしながらシャッターが開くのを待つ
「オヤシオの様に良い子だといいんだがな…」
タブレットを携えたマークが、目の前で俺と似た体勢で壁にもたれている
「どんな子であれ、変わりないさ。またそこから色んな事を教えてやればいい。それだけさ」
「レイ君らしいねぇ‼︎オーヨド博士、そういうレイ君だーい好きだよ‼︎」
「…ありがとう」
オーヨド博士に”好き”と言われると、今でも心の何処かで喜んでいる自分がいる
《心拍数と血圧の若干の上昇が見られます》
「気にするな。横須賀には内緒だぞ⁇」
《畏まりました。解錠、完了しました‼︎》
シャッターが開き、中へと入る
「これは…」
中を見た瞬間、息が詰まる
先程映像で見たカプセルとは違うカプセルが稼働状態のまま、そこにわんさかとあった
規則正しく並べられている所を見ると、まだ何か役目を終えていないようにも見える
「マーク、右側を頼む。オーヨド博士は真ん中を」
「わ、分かった」
「オッケー」
マークが多少驚く中、オーヨド博士はあまり驚かずに真ん中の列のカプセルを調べ始めた
「どれ…」
左側に来た俺は、最初に見えたカプセルのPCを弄る
「最終履歴は…っと」
モニターに履歴が映し出される
”海防艦占守 建造”
「ムッシュだと…」
「レイ君‼︎来て‼︎」
オーヨド博士に呼ばれ、真ん中のカプセルを見に行く
「これを」
オーヨド博士に言われ、モニターを見る
”重巡洋艦古鷹 建造”
「この子、ゲームセンターにいる子じゃない⁇」
「マーカス‼︎」
今度はマークに呼ばれ、オーヨド博士と共に向かう
「”ヘビークルーザータカオ”ってのは、あの雑貨屋の子か⁇」
全員聞いた事のある名前が表示されてあり、冷や汗が出る
「建造で産まれた子は何人かいるとは聞いたが…まさかここだったとはな…」
「てっきり上の階にある新型のカプセルかと思ってたよ…」
「しかし、だ。ここで産まれるのはいい。さっきのハシゴから出入りするのか⁇」
「親潮。この区画の見取り図を出してくれ」
《畏まりました。タブレットに送信致します》
すぐに親潮から見取り図が送らて来たので、それを三人で見る
《左側の扉からマーク様の研究所へと繋がっており、そこから比較的大きな搬入口から出入りが可能です》
「あまり聞きたくない名だ…」
《申し訳ありません…こう説明するしか…》
「気にするな、私がまいた種だ。マーカス、その扉を開けてくる」
「頼んだ」
マークが研究所へと繋がる扉へと向かい、俺とオーヨド博士は事の発端である旧式のカプセルの前に来た
「何なんだろうね…」
「ちょっと見せてくれよ…」
PCを操り、今カプセルに入っている彼女の手掛かりを探す
「親潮、そっちに転送する。解析を頼めるか⁇」
《勿論です、創造主様。此方で解析を進めます》
親潮にデータを転送していると、マークが帰って来た
「あまり見たくない光景だ…マーカス。あの部屋は秘匿ドックに繋がる道があるのを知ってるか⁇」
「知らない。あったのか⁇」
「あぁ。アルテミスと言う秘匿建造された潜水艦がいただろう⁇あの潜水艦はそのドックで造られた。ま…今は使われてないがな」
その名前が出た途端、俺はどうやら一瞬眉間にシワを寄せたらしい
「レイ君‼︎上に戻ったらこの大淀とパフェでも食べようか‼︎」
「分かった」
オーヨド博士は察してくれたのか、マークを壁に寄せた
「…あんまりレイ君の前でアルちゃんの話しちゃダメだって」
「すまん…ついうっかり…」
「…そのついうっかりでレイ君が離れたらど〜すんのさ」
「…気を付ける」
「気にしないでいい」
「「はっ‼︎」」
オーヨド博士もマークも俺が耳を立てていた事に驚く
「アルテミス…ルイージ・トレッリも俺の娘だ。どんなに離れていようが、それだけは変わらない」
「そ、そうだな‼︎」
「さっすがレイ君‼︎懐の広さは横須賀1だよ‼︎」
《解析完了しました》
「どうだった⁇」
親潮の言葉で、オーヨド博士もマークもPCに寄る
《現在このカプセルで建造…いえ、保管されているのは”航空母艦 赤城”です》
「赤城…」
《記録によると、横須賀基地防衛戦の際、赤城が投入され、敵対していた深海棲艦を撃退しています》
「横須賀がほぼ完璧な状態で残っていたのはこの子のおかげか…」
《はい。ですが、制御が不安定な面があり、現在はカプセル内に保管中です》
「つまり、横須賀にとっての切り札って訳か…」
その時、カプセルの中で気泡が出た
「何だ⁉︎」