艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

89 / 1101
25話 タマゴの悩み(2)

まっくすは息もきれぎれになっていたが、何とか意識を保っていた

 

中々、タフな奴じゃないか

 

「お前の自慢は、その肝のすわった根性だな。普通の人間なら、今ので失神だ」

 

「パパは…いつもこんな事を⁇」

 

「そう。提督になる前はね」

 

「私達の提督は、昔から海軍だったわ」

 

「俺はまた特別な事情さ…」

 

 

 

その頃基地では…

 

「あ〜ぁ、やられてやがんの」

 

「あれじゃ死ぬわ」

 

ローマの肩に乗ったスティングレイが、彼女と二人で空を眺めていた

 

「隊長は昔っからアクロバット飛行が得意なんだ。あんなもん、急降下爆撃で慣れたもんさ」

 

「そうだったわね…」

 

「ま、何であれ、隊長に任せときゃ大丈夫さ…」

 

「そうね…あの人なら」

 

 

 

「戻るぞ」

 

「えぇ」

 

再び基地にコルセアが戻る

 

「ありがとう。また乗せてくれる⁇」

 

「勿論。まっくすがちゃんと生き続けたら、な⁇」

 

「分かったわ」

 

まっくすが降り、私も機体から降りた

 

「子供相手に無茶し過ぎよ」

 

肩にスティングレイを乗せたローマが来た

 

「ははは…ま、いい説得材料にはなったみたいだ」

 

れーべとまっくすの瞳は、ここに来た時より少し、輝きを取り戻したみたいだ

 

れーべもまっくすも、強くなりたい気持ちは充分伝わった

 

後は、彼女達次第だ

 

「ローマ、隊長の肩に乗せてくれ」

 

「はい」

 

「サンキュー」

 

「じゃ、私は中に戻るわ」

 

「あぁ」

 

スティングレイと二人、格納庫に取り残された

 

「隊長」

 

「ん⁇」

 

「ケッコンしたらしいな」

 

「あぁ、武蔵とな」

 

「あ〜ぁ、俺が元の体だったら、ローマを貰うのにな〜」

 

そう言って、私の首にもたれかかった

 

「ローマも武蔵もいい子だ」

 

「ちげぇよ‼︎余ってんなら欲しかった‼︎って話だよ。あんな美人、中々居ないぞ⁉︎」

 

「俺も迷ったよ…」

 

「ま、どっちも悪くはないけどな…」

 

あの時と変わらず、二人で色んな話をする

 

姿形は変わってしまったが、仲の良さは変わらない

 

この軽口が無くなれば、スティングレイはスティングレイで無くなる

 

現に戦場で、こいつが言った事の方が正しかった事も多々あった

 

「あ、そうだ。他の二人はどうした⁇特に”ジェミニ”」

 

「あいつは元気だ。今は横須賀で提督をしてる」

 

「帰らないのか⁇本国に」

 

「本国に帰っても誰も知り合いがいないから、日本の方が良いんだとよ…」

 

「なるほどな…」

 

スティングレイが言った、ジェミニと言ったのは、横須賀の事

 

元々アメリカの田舎うまれらしいが、地元に家族や知り合いはもういないらしい

 

私の部隊に配属する少し前に、攻撃を受けて、皆散り散りになってしまったらしい

 

「昔は可愛かったよな…三つ編みでよ、胸もデカくてよ」

 

「昔は可愛かったな…今じゃ見る影も…」

 

「おい」

 

「髪型もポニーテールだし…」

 

「おいって‼︎」

 

「なんだよ‼︎」

 

振り返ると、後ろに横須賀がいた

 

「大佐…」

 

下を向きながら、ゆっくりこちらに近付いて来る

 

「か、彼女は、び、美人だよな⁉︎」

 

「あ、あぁ‼︎抱きたい女ナンバーワンだぜ‼︎」

 

「ポニーテールもな‼︎に、似合ってるよな⁉︎」

 

「す、スゲェぜ‼︎相変わらずの絶対領域は魅力的だよな⁉︎」

 

「何ですか…この口の悪い妖精は‼︎」

 

「ぐぇっ‼︎」

 

スティングレイを鷲掴みにし、力を込めて握っている‼︎

 

「や、やめて…ウインナーでちゃう…」

 

「口の悪い妖精さんは潰しましょうか⁉︎」

 

「や、やめろジェミニ‼︎」

 

「ジェミニ⁉︎何でその名前を⁉︎」

 

横須賀の力が一瞬弱まった瞬間、スティングレイは手から離れて地べたに落ちた

 

「ぐぇっ‼︎この怪力女‼︎相変わらず可愛げねぇなぁ‼︎」

 

「な、何ですって⁉︎」

 

「スティングレイだよ」

 

「あ…え⁉︎貴方死んだはずじゃ…」

 

「生きてます〜残念でした〜‼︎」

 

スティングレイは足元で舌を出している

 

全く迫力が無い…

 

「すてぃんぐれい‼︎」

 

「うわ‼︎」

 

小さな手が、スティングレイを再び鷲掴みにする‼︎

 

「パパのところにいたの⁇」

 

「た、たいほうか…ビックリした…」

 

「はなれちゃだめでしょ⁇」

 

「あぁ…スマねぇ」

 

たいほうはスティングレイを頭の上に乗せ、そのまま何処かに行ってしまった

 

「全く…どっちが子守りですか…」

 

「いいコンビだとは思うがな…」

 

「…ドイツの子を預かってるそうで」

 

「あぁ。れーべとまっくすだ」

 

「大事にしてあげて下さいね」

 

「⁇あぁ」

 

そう言って、横須賀もその場から去った

 

急に一人になると、やっぱり寂しいな…

 

あ、そうだ‼︎

 

昨日渡したあの設計図の機体はどうなっただろうか⁇

 

ちょっと見に行こう

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。