艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名が変わりますが、前回の続きです


256話 貴子さんへのプレゼント

お昼前…

 

「なーんで今日に限って非番なんだよ…」

 

「レイが非番で良かったよ。基地で貴子を診れるのは、レイかきそしかいない」

 

「そう言ってくれると助かるよ…」

 

隊長はたいほう

 

俺はゴーヤを膝に乗せ、誰かが録画していたお笑い番組を見ている

 

ひとみといよがコーンフレークでケラケラ笑っていた理由が分かった

 

他の子供達は、終始落ち着かない様子でソワソワしているか、俺達の周りで遊んでいるかゴロゴロしている

 

「かえってきまちたお〜‼︎」

 

はっちゃん達エビ漁御一行が帰って来た

 

「ちびざいがにとえた‼︎」

 

「大量ですよマーカス様‼︎」

 

「おっ‼︎どれどれ‼︎」

 

はっちゃんが片手に持つバケツの中には、小さなエビが大量に入っている

 

「ぱぱしゃん、おりぉ〜りれきう⁇」

 

「任せろ‼︎刺身が良いか⁇かき揚げが良いか⁇」

 

「「おしゃしみ‼︎」」

 

「はっちゃんもお刺身でお願いします‼︎」

 

「よしっ‼︎レイ、お先に失礼‼︎」

 

「今日は色々されっぱなしだ…」

 

隊長が意気揚々とキッチンに着いた

 

しかし俺は未だに手持ち無沙汰

 

「ただいま〜‼︎」

 

「照月だ‼︎おかえり‼︎」

 

照月がようやく帰って来た

 

いつもの袋を引き摺りながら食堂に入り、荷物を降ろす

 

「よいしょっ‼︎」

 

ドンッ‼︎と言う音と共に、床に袋が置かれる

 

「いっぱい買って来たな⁇」

 

「うんっ‼︎照月、いっぱい赤ちゃんに必要なの買って来たんだぁ‼︎」

 

朝一番に出掛けたはずの照月が、何故か赤ちゃんの存在を知っている

 

「柔らか素材のお洋服でしょ〜、無添加で保存が効く粉ミルクと離乳食でしょ〜、お尻拭きに〜、ガーゼに〜後は怪我しないおもちゃ‼︎」

 

カーペットに並べられて行く、照月が選んだベビー用品の数々

 

しかも、どれもかしこも絶妙に必要な物で、如何に照月がベビー用品を選ぶのが上手いかが分かる

 

「なんで赤ちゃんの事知ってるんだ⁇」

 

「二日くらい前に照月、貴子さんに膝枕して貰ったの‼︎その時に貴子さんのお腹から音がしたんだぁ‼︎」

 

「照月しか気付いてなかったのか…」

 

「貴子は腹筋凄いからな…お腹も出てなかった」

 

「そういや、ひとみといよも母さんが妊娠してるのに気付いてたな⁇」

 

「おなか、ろっくんろっくんちてた‼︎」

 

「ここいますお〜って‼︎」

 

ひとみといよは普段の行動から、なんとなく分かっていても不思議ではない

 

「貴子さん、横須賀にいるの⁇」

 

「そっ。今赤ちゃんと検査受けてる」

 

「そっかぁ〜‼︎じゃあ、照月は邪魔しちゃいけないよね‼︎はまかぜさん、コーンフレーク下さいっ‼︎」

 

「何袋いきますか⁇」

 

「ん〜…五袋でいい‼︎」

 

はまかぜは床下収納からコーンフレークを五袋取り出し、ドデカイボウルにコーンフレーク五袋全部放り込み、牛乳三本を投入

 

「頂きまーす‼︎」

 

それを照月に渡すや否や、早速食べ始める

 

「足りるのか⁇」

 

「うんっ‼︎照月、タウイタウイモールでステーキいっぱい食べたんだけど…動いたらちょっとだけお腹空いちゃったんだ‼︎パパさんも食べる⁇」

 

今日の照月は大変上機嫌

 

普段ならコーンフレーク一枚を砕いたカケラでさえシェアするのが嫌なタイプな照月が、今日は一緒に食べようと言っている

 

「腹一杯食べるんだぞ⁇夕飯は私が海鮮を振る舞うからな‼︎」

 

「やったぁ‼︎ごちそうさまでした‼︎」

 

吸い取ったかのように、コーンフレークの入ったボウルはスッカラカンになっていた

 

「置いておいて下さい。今日ははまかぜにお任せを‼︎」

 

「ありがとう‼︎お兄ちゃん、照月、またお出掛けして来るね‼︎」

 

「夕飯までには帰るんだぞ⁇」

 

「うんっ‼︎行って来まーす‼︎」

 

荷物を置いてコーンフレークを食べに帰って来ただけの照月は、夕飯までの間にまた何処かに出掛けて行った

 

 

 

 

おやつの時間を終え、子供達のほとんどが子供部屋でそれぞれの事をし始めた

 

霞は算数ドリル

 

秋月は吹き矢製作

 

れーべとまっくすは橘花☆マンの台本の読み合わせ

 

きそははっちゃんとゴーヤと紙粘土

 

たいほうは松輪とボーちゃん、そしてジャーヴィスとで、この間買ったミチミチフィギュアシリーズで遊んでいる

 

そんな子供部屋の中心にはコタツがあり、そこにプリンツがいるので、何かあっても安心だ

 

俺は俺で工廠でヘラと何気無い話をしている

 

所変わって食堂

 

「むきむきちましぉ〜‼︎」

 

「ぷいぷいれす‼︎」

 

「アンタ達上手いわね…」

 

「ぐぬぬ…何故出来ん‼︎」

 

ひとみといよ、そしてローマとアークがエビの皮剥きをしている

 

何故か慣れた手付きで皮を剥くひとみといよの前で、ローマとアークが苦戦する

 

「たかこしゃん、てんぷあにしそう‼︎」

 

「確かに好きそうね」

 

ひとみといよ達が獲って来たエビは、エビフライには丁度良いサイズ

 

貴子さんが居たら確実にエビフライだろう

 

「よくこんなに獲れたわね⁇」

 

ローマの目線の先には、バケツ三つ山盛りにあるエビ

 

「くじあしゃんととった‼︎」

 

「しおいくいら‼︎」

 

「報告にあったクジラだな」

 

剥かれたエビを洗い、下味を付けている隊長がクジラに反応した

 

「ヨーグル達の所にいるクジラだろう。アルビノのクジラさ」

 

「そんなのがいるのか⁉︎」

 

「後で写真を見たらいいさ」

 

「ぱぱしゃん、しおいのみたことあう⁇」

 

ひとみの言葉に、隊長は少し悩んだ

 

「一回だけあるな…黒いイルカの中に、一頭だけ白いイルカがいたな。空から眺めるイルカも良いもんだぞ⁇」

 

「「いいなぁ〜」」

 

ひとみといよが同じ反応を示す

 

「その内会えるわよ」

 

「そうだそうだ‼︎ほら見ろ‼︎このエビもアルビノだ‼︎」

 

そう言って、アークは真っ白なエビを皆の前に出した

 

「ちょっと‼︎それ珍しいんじゃないの⁉︎」

 

「本当に真っ白だな…」

 

「え…」

 

アークは冗談半分でそのエビを手に取ったつもり

 

しかし、アルビノのエビ自体かなり珍しい

 

「まっちお」

 

「おめめあっか」

 

アルビノエビは体は白く、目が赤い

 

ひとみ達にとっては、一度に大量に獲るやり方をしているのでアルビノが混ざっている事など分からないまま獲っていた

 

「こいつは保存した方が良いな。何らかの研究になるかも知れない」

 

隊長はアルビノエビを掴み、たいほうがデメキンを育てていた水槽に海水を入れて放り込んだ

 

「さてっ‼︎皮剥きも終わっな。後は私に任せて貰おうか‼︎」

 

「おねがいちます‼︎」

 

「おしゃしみ‼︎」

 

「さ、手洗いに行きましょ。アークも行くわよ」

 

「ホワイトシュリンプか…ほぉ〜」

 

余程アルビノエビが気になるのか、アークは前屈みになって水槽を眺めている

 

「くっこお‼︎」

 

「いくれ‼︎」

 

「あ…あぁ‼︎」

 

ひとみといよに引っ張られ、アークも手洗い場へと向かう

 

この後、アルビノエビは”テンプラちゃん”と名付けられ、今しばらく基地で可愛がられる事となる

 

 

 

 

 

夕食の時間

 

「ただいまぁ〜‼︎わぁ〜っ‼︎美味しそ〜‼︎」

 

照月が帰って来たタイミングで、夕食が始まる

 

「「「いただきます‼︎」」」

 

隊長の刺身パーティーが始まる

 

「しおいはどうした⁇」

 

「もうこっちに向かってるらしい。何か大捕物だったみたいだ」

 

「宣言通りサメなんじゃないか⁇」

 

「だと面白いな‼︎」

 

隊長と笑いながら、団欒を囲んで飯を食う

 

貴子さんがいると、いつも話題を放ってくれるので、食事の際も話が尽きない

 

今日はその役目を隊長が担ってくれている

 

「ぷいぷいにないあした‼︎」

 

「おいち〜‼︎」

 

ひとみといよはプリプリのエビの刺身を食べて御満悦の様子

 

「パパさん。今度はまかぜにも教えて貰えませんか⁇」

 

「おっ‼︎いいぞ‼︎貴子はエビ見たら全部フライだからな‼︎」

 

饒舌に話す隊長を見て、横に座っていたローマが肘で突いて来た

 

「…タカコがいない兄さん、上機嫌じゃない⁇」

 

「…普段あんな事言ったらシメられるからな」

 

「…それもそうね」

 

「たっだいまぁー‼︎どっこらしょ‼︎」

 

しおいの声がしたと思うと、食堂が軽く揺れる

 

「うはは‼︎デッカ‼︎」

 

きそが驚くサイズのクーラーボックスが工廠寄りの出入り口に置かれていた

 

「いやぁ〜、案外てこずっちゃって‼︎」

 

そう言いながら後頭部を掻くしおいだが、クーラーボックスはかなり重そうだ

 

「サメを何匹か仕留めたんだけど、どうやって持って帰ろうか悩んでね‼︎」

 

「中身はサメか⁇」

 

「そっ‼︎貴子さん好きだと思って‼︎」

 

隊長が聞くと、しおいはクーラーボックスを開けて見せてくれた

 

「それでね、トラックの所に寄って、バラして貰った‼︎」

 

「トラックさんならやれる…か⁇」

 

「蒼龍さんも手伝ってくれたよ‼︎あー、後、ラジコンで遊んでる見慣れない子がいた‼︎」

 

「神州丸だな」

 

「噂のレイがやられかけた子だな⁇」

 

「そっ。三頭身位しかない」

 

「冷凍庫に入れとくね‼︎」

 

「頼んだ‼︎」

 

しおいはサメの切り身やフカヒレを冷凍庫に入れ始める

 

チラリと見たが、流石はトラックさん

 

丁寧に切り分けられ、個別に梱包してある

 

サメは上手く処理しないと臭いがキツイらしいが、全くしない

 

「しおいもた〜べよ‼︎」

 

こうして、貴子さんがいない一日がどうにかして終わる…

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