艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

901 / 1101
260話 死神を生んだ男(2)

「ここか」

 

会議室の前に来た

 

中から声が聞こえるので、ここで間違いない

 

ノックもなしにドアを開け、会議室に入る

 

「く、来るな‼︎」

 

「悪魔が‼︎」

 

三人共怯えながら部屋の端に寄せ集まり、自動小銃を構えている

 

「悪魔、か」

 

聞き慣れた言葉を言われるも、左手をコートのポケットに入れた体勢は変えない

 

「深海は敵だろうが‼︎」

 

「憲法学んで出直せ‼︎」

 

「お前は敵か⁉︎どうなんだ‼︎答えられないのか‼︎」

 

散々な言われ様だ

 

俺は無言のまま、会議室の机にジュラルミンケースをドンッと音を立てて置いた

 

「言いたい事はそれだけか」

 

「「「ひぃ…」」」

 

三人を睨むと、動きが止まった

 

これが香取の言っていた“目”か…

 

「一人一人来るのか。それとも、まとめて来るのか…選べ」

 

ジュラルミンケースの中身を出し、三人の前に出す

 

「死ねや‼︎」

 

一人の男が小銃の引き金を引いた

 

「なんっ…」

 

小銃の引き金がカチカチと音を鳴らし、男に弾切れを伝える

 

カチャリ

 

その隙に先程と良く似たベルトを、今度は腰に装置した

 

「な、なんだよこれ‼︎」

 

「来るな…来るなぁぁぁあ‼︎」

 

ベルトを巻かれた男が騒ぐ中、二人目の男がパニックを起こし、俺に向けて引き金を引く

 

体中に銃弾が命中するが、痛くない

 

DMM化している内なら、小銃の弾程度なら幾らでも耐えられるが、今は生身だ

 

無意識の内にDMM化でもしているのだろうか…

 

銃弾を浴びながらも男に近付き、小銃を掴み、腕を宙に上げる

 

「やめろ…やめて下さい‼︎」

 

「イーサンも同じ事を言ったはずだ。お前はどうなんだ。やめたのか」

 

「この野郎‼︎」

 

最後の遠吠えを聞き、両手首にブレスレット式の時限爆弾を巻き付けた

 

「た、助けてくれ‼︎」

 

最後の男は、出入り口に向かって逃げ出した

 

逃げる男の背中に向かって、投げナイフの様な物を投げる

 

「ぐあっ‼︎」

 

投げナイフの様な物は左肩に突き刺さり、男はその場に倒れた

 

「ちょっと刺さっただけだ。抜けるかも知れないぞ」

 

「ひぃ…ひぃ…」

 

男は息も絶え絶えに、肩に刺さったそれを抜こうと試みる

 

「…時間切れだっ」

 

男の左肩が吹き飛ぶ

 

「ぐぁぁぁあ‼︎痛い…痛い痛い痛いぃぃい‼︎ぐえぇ…」

 

悲鳴を上げて床をのたうち回る男の右手の平を踏み付け、男二人の方に振り向く

 

「反省しないとこうなる」

 

「本当に人間なのか…あんた…」

 

「悪魔なんだろ」

 

「ぎやぁぁぁぁあ‼︎」

 

ブレスレット式の時限爆弾を巻いていた男の両手も吹き飛ぶ

 

踏み付けていた男から足を離し、腰に時限爆弾を巻いた男に歩み寄る

 

「あ…あ…」

 

既に怯えきっていて、謝罪も出来ない

 

「ふっ…どうせすぐに治る」

 

男からすれば今の鼻笑いは、地獄の様な鼻笑いだったのだろう

 

「も、もうしません‼︎ごめんなさい‼︎降伏です‼︎」

 

「いいだろう。だが、イーサンの痛み、それと恐怖は分かって貰う」

 

「嫌だ‼︎嫌だ嫌だ嫌だ‼︎」

 

男は泣きながら必死にベルトを外そうとする

 

そんな男の顔を両手で掴み、此方へ向ける

 

「落ち着け。落ち着けよ」

 

「嫌だ嫌だ嫌だ‼︎死にたくない‼︎許して下さい‼︎」

 

「俺の目を見ろ」

 

「はっ…はっ…はっ…」

 

呼吸困難に陥りながらも、男は俺の目を見た

 

「苦しいよな」

 

「は、はひ…」

 

「生きたいよな」

 

男は言葉を返さず、何度も首を上下した

 

「大丈夫。すぐに治る。ほら、後10秒だ。深呼吸して」

 

男の頭を、いつも子供達にそうする様に手の平を数回置いた後、その場を離れた

 

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ‼︎助けて‼︎助け」

 

懇願虚しく、ベルトは爆発

 

「少しは思い知ったか」

 

倒れた三人を見下げた後、三人をタナトスへと運ぶ

 

どうせすぐに治ると言ったのは本当だ

 

元通りの体に戻してはやるが、これで自分達のした事が良く分かっただろう…

 

 

 

 

「ジェミニ様‼︎タナトス様から電文が‼︎」

 

横須賀に一通の電文が届く

 

送り主はタナトス

 

「読んで頂戴‼︎」

 

「アラシ ヤミ キボウハ テノナカニ」

 

「レイを迎えに行くわ‼︎」

 

「その間は親潮にお任せを‼︎」

 

その電文を聞いた後、いてもたってもいられず、停泊していたイントレピッドDauに飛び乗った

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。