このお話にて、イーサンの一件は収束します
※注
このお話にて、イーサンが緑色の家に行ったり、イーサンが死んで死んで死にまくる事はありません 笑
たまたまこの題名になりました
明るいお話ですので
た の し ん で い っ て ね
横須賀に着き、タナトスの艦内にあったカプセルが入れ替えられる作業に入り、俺は指示を終えた後、マークの研究室に来た
「あ‼︎レイ‼︎おかえり‼︎」
「ただいまっ」
一番最初に迎えてくれたのはきそ
直前まで作業をしていたのか、若干疲れているように見える
「その…イーサンは…」
「治そうとしてくれてたんだろ⁇」
「えと、うん…まぁ…」
きその目が泳ぐ
「…工廠に行けば分かるよ‼︎僕は徹夜で作業したし、ちょっとだけ休むね⁇」
「ありがとうな」
「うんっ」
きそはそのまま椅子を倒し、大淀博士辺りの白衣を被って目を閉じた
「あ‼︎レイ君おかえり‼︎」
きその頭を撫でて研究室から出ようとした時、丁度大淀博士が帰って来た
「ただいまっ」
「丁度良かった‼︎工廠で仕上げと行こうよ‼︎」
「きそにも言われたよ。行こう」
大淀と一緒工廠へと向かう
その道中、大淀が珍しくタブレットを脇に抱えていないのに気が付いた
「タブレットはどうした⁇」
「きそちゃんに充電して貰ってるよ⁇」
「それは⁇」
大淀がタブレットの代わりに抱えている、茶色い大きな封筒
「橘花☆マンの新しい配役が決まったんだ‼︎その子に今から渡すつもりっ‼︎」
そう言いながら大淀は俺に封筒を渡して、中を見ろとジェスチャーする
「なるほどっ。なら、俺はベルトでも造ってやろうか⁇」
「ふふ。今しがた覚えたからかい⁇」
大淀がイタズラに微笑む
「バックル部分に爆弾じゃなくて高速修復剤でも入れといてやるよ」
どうやら、橘花☆マンの新しい配役は“正義の心に目覚めた女の子”らしい
「新しい高速修復剤もそこに入れてやるよ」
「おぉ。今度はどんなのだい⁇」
「錠剤型さ。カプセルやら経口摂取パックより治るスピードは遅いが、長い期間効果が続く」
「やっぱりレイ君は医者が似合うねぇ‼︎」
大淀の反応に微笑みで返すが、大淀にそう言われると、地に足を降ろした時は、医者でも良いと本気で思ってしまう
「さ〜‼︎着いた着いた‼︎さ、レイ君、初対面だよ‼︎」
工廠に着き、大淀が俺の背中を押す
「この子は…」
カプセルの中に入っている、赤い髪の少女
「この子が橘花☆マンの新しい配役だよ」
「名前は⁇」
「あ…」
大淀が言おうとしてくれたが、何となく聞かない方が良いと思った
「いや。出て来てから聞いた方がいいな」
「それもいいね‼︎じゃあ、行くよ〜‼︎」
大淀がカプセルの溶液を抜き、蓋を開ける
「あ…」
「おはよう」
「おっはよ〜‼︎」
「ボク、死んだんじゃ…」
「…」
産まれて来て開口一番に放ったその言葉を聞き、大淀の顔を見た
大淀は無言で頷いた後、とても優しい微笑みを浮かべた
「マーカスさんだ」
「…イーサン‼︎」
すっかり姿形は変わってしまったが、目の前にいる少女はイーサンに間違い無い
イーサンをギュッと抱き締め、頭を撫でる
「すまなかった…許してくれなんて言わない…」
「ど、どうしてマーカスさんが謝るの⁉︎」
驚いているイーサンを抱き締めたまま、俺は声にならない涙を流す
「マーカスさんはボクを助けてくれたのに、どうして謝るのさ‼︎」
「イーサン君。君に悪さをした奴はレイ君が退治したよ‼︎」
話せる状態ではない俺に代わり、大淀博士が代弁し始める
「やっぱりマーカスさんは強いや‼︎」
「橘花☆マンはいつも言ってるよね、悪い事した奴はバチが当たるって」
「うんっ‼︎」
「さぁっ、レイ君‼︎そろそろ離してあげようか‼︎」
イーサンをそっと離し、もう一度頭を撫でる
「あ‼︎でもこの体じゃあ、谷風ちゃんを乗せられないや‼︎」
「「今度は手を繋いであげてくれないか⁇」」
俺も大淀博士も同じ答えを返す
「勿論だよ‼︎」
イーサンは笑顔で返答を返してくれた
「そうだ。名前は何になった⁇」
「きそちゃんにこれ貰ったよ」
大淀博士の手にはドックタグ
それをイーサンの首に掛けながら、新しい名前で呼ぶ
「君の名前は“嵐”。沢山の人の思いがこもった、とても立派な名前だよ⁇」
「嵐…」
嵐に生まれ変わったイーサンは、掛けられたドックタグを手に取り、まじまじと見ている
「嵐には、一つ頼み事をしようと思ってな」
「なぁに⁇」
「ここに入っている台詞を覚えて欲しいんだが、出来るか⁇」
大淀から渡された封筒を、今度は嵐に渡す
「どうだ⁇」
「…凄いや‼︎橘花☆マンの台本だ‼︎」
「今度、ベルトを造ってやるからな⁇」
「うんっ‼︎凄いや…ボク、橘花☆マンに出れるんだ‼︎」
嵐はご機嫌に台本を読み始める
「ボクは“セイバーガール”なんだね‼︎」
「友達に自慢出来るぞ⁇」
「わぁ〜っ…」
艦娘となって初めて見る文字達は、嵐にとって、全てが憧れていた文字
嬉しいため息を吐きながら、嵐はキラキラした目でずっと台本を眺めていた…
嵐…生まれ変わったイーサン
深海の体を破壊された為、きそがギリギリの状態のイーサンの脳を移植させた新しい姿
初仕事は橘花☆マンに登場する、景雲レディの妹役の“セイバーガール”
この体になってからもアビサル・ユートピアにルーナ達と住み続け、そこにいる深海の子達からセイバーガールのマネをせびられる毎日を送っている
人に手を出す事は絶対にせず、谷風や友達を護る信念を持っているのはイーサンから変わらない
セイバーガールが“俺っ娘”なので、最近一人称が“オレ”に変わりつつある
何にでも興味があるお年頃であり、一昔前の翔鶴と良く似ている。景雲レディの側に居るのが長い影響かも知れない