艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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260話、そして261話の前半が終わりました

このお話にて、イーサンの一件は収束します

※注
このお話にて、イーサンが緑色の家に行ったり、イーサンが死んで死んで死にまくる事はありません 笑

たまたまこの題名になりました

明るいお話ですので

た の し ん で い っ て ね


261話 Ethan Must Live

横須賀に着き、タナトスの艦内にあったカプセルが入れ替えられる作業に入り、俺は指示を終えた後、マークの研究室に来た

 

「あ‼︎レイ‼︎おかえり‼︎」

 

「ただいまっ」

 

一番最初に迎えてくれたのはきそ

 

直前まで作業をしていたのか、若干疲れているように見える

 

「その…イーサンは…」

 

「治そうとしてくれてたんだろ⁇」

 

「えと、うん…まぁ…」

 

きその目が泳ぐ

 

「…工廠に行けば分かるよ‼︎僕は徹夜で作業したし、ちょっとだけ休むね⁇」

 

「ありがとうな」

 

「うんっ」

 

きそはそのまま椅子を倒し、大淀博士辺りの白衣を被って目を閉じた

 

「あ‼︎レイ君おかえり‼︎」

 

きその頭を撫でて研究室から出ようとした時、丁度大淀博士が帰って来た

 

「ただいまっ」

 

「丁度良かった‼︎工廠で仕上げと行こうよ‼︎」

 

「きそにも言われたよ。行こう」

 

大淀と一緒工廠へと向かう

 

その道中、大淀が珍しくタブレットを脇に抱えていないのに気が付いた

 

「タブレットはどうした⁇」

 

「きそちゃんに充電して貰ってるよ⁇」

 

「それは⁇」

 

大淀がタブレットの代わりに抱えている、茶色い大きな封筒

 

「橘花☆マンの新しい配役が決まったんだ‼︎その子に今から渡すつもりっ‼︎」

 

そう言いながら大淀は俺に封筒を渡して、中を見ろとジェスチャーする

 

「なるほどっ。なら、俺はベルトでも造ってやろうか⁇」

 

「ふふ。今しがた覚えたからかい⁇」

 

大淀がイタズラに微笑む

 

「バックル部分に爆弾じゃなくて高速修復剤でも入れといてやるよ」

 

どうやら、橘花☆マンの新しい配役は“正義の心に目覚めた女の子”らしい

 

「新しい高速修復剤もそこに入れてやるよ」

 

「おぉ。今度はどんなのだい⁇」

 

「錠剤型さ。カプセルやら経口摂取パックより治るスピードは遅いが、長い期間効果が続く」

 

「やっぱりレイ君は医者が似合うねぇ‼︎」

 

大淀の反応に微笑みで返すが、大淀にそう言われると、地に足を降ろした時は、医者でも良いと本気で思ってしまう

 

「さ〜‼︎着いた着いた‼︎さ、レイ君、初対面だよ‼︎」

 

工廠に着き、大淀が俺の背中を押す

 

「この子は…」

 

カプセルの中に入っている、赤い髪の少女

 

「この子が橘花☆マンの新しい配役だよ」

 

「名前は⁇」

 

「あ…」

 

大淀が言おうとしてくれたが、何となく聞かない方が良いと思った

 

「いや。出て来てから聞いた方がいいな」

 

「それもいいね‼︎じゃあ、行くよ〜‼︎」

 

大淀がカプセルの溶液を抜き、蓋を開ける

 

「あ…」

 

「おはよう」

 

「おっはよ〜‼︎」

 

「ボク、死んだんじゃ…」

 

「…」

 

産まれて来て開口一番に放ったその言葉を聞き、大淀の顔を見た

 

大淀は無言で頷いた後、とても優しい微笑みを浮かべた

 

「マーカスさんだ」

 

「…イーサン‼︎」

 

すっかり姿形は変わってしまったが、目の前にいる少女はイーサンに間違い無い

 

イーサンをギュッと抱き締め、頭を撫でる

 

「すまなかった…許してくれなんて言わない…」

 

「ど、どうしてマーカスさんが謝るの⁉︎」

 

驚いているイーサンを抱き締めたまま、俺は声にならない涙を流す

 

「マーカスさんはボクを助けてくれたのに、どうして謝るのさ‼︎」

 

「イーサン君。君に悪さをした奴はレイ君が退治したよ‼︎」

 

話せる状態ではない俺に代わり、大淀博士が代弁し始める

 

「やっぱりマーカスさんは強いや‼︎」

 

「橘花☆マンはいつも言ってるよね、悪い事した奴はバチが当たるって」

 

「うんっ‼︎」

 

「さぁっ、レイ君‼︎そろそろ離してあげようか‼︎」

 

イーサンをそっと離し、もう一度頭を撫でる

 

「あ‼︎でもこの体じゃあ、谷風ちゃんを乗せられないや‼︎」

 

「「今度は手を繋いであげてくれないか⁇」」

 

俺も大淀博士も同じ答えを返す

 

「勿論だよ‼︎」

 

イーサンは笑顔で返答を返してくれた

 

「そうだ。名前は何になった⁇」

 

「きそちゃんにこれ貰ったよ」

 

大淀博士の手にはドックタグ

 

それをイーサンの首に掛けながら、新しい名前で呼ぶ

 

「君の名前は“嵐”。沢山の人の思いがこもった、とても立派な名前だよ⁇」

 

「嵐…」

 

嵐に生まれ変わったイーサンは、掛けられたドックタグを手に取り、まじまじと見ている

 

「嵐には、一つ頼み事をしようと思ってな」

 

「なぁに⁇」

 

「ここに入っている台詞を覚えて欲しいんだが、出来るか⁇」

 

大淀から渡された封筒を、今度は嵐に渡す

 

「どうだ⁇」

 

「…凄いや‼︎橘花☆マンの台本だ‼︎」

 

「今度、ベルトを造ってやるからな⁇」

 

「うんっ‼︎凄いや…ボク、橘花☆マンに出れるんだ‼︎」

 

嵐はご機嫌に台本を読み始める

 

「ボクは“セイバーガール”なんだね‼︎」

 

「友達に自慢出来るぞ⁇」

 

「わぁ〜っ…」

 

艦娘となって初めて見る文字達は、嵐にとって、全てが憧れていた文字

 

嬉しいため息を吐きながら、嵐はキラキラした目でずっと台本を眺めていた…




嵐…生まれ変わったイーサン

深海の体を破壊された為、きそがギリギリの状態のイーサンの脳を移植させた新しい姿

初仕事は橘花☆マンに登場する、景雲レディの妹役の“セイバーガール”

この体になってからもアビサル・ユートピアにルーナ達と住み続け、そこにいる深海の子達からセイバーガールのマネをせびられる毎日を送っている

人に手を出す事は絶対にせず、谷風や友達を護る信念を持っているのはイーサンから変わらない

セイバーガールが“俺っ娘”なので、最近一人称が“オレ”に変わりつつある

何にでも興味があるお年頃であり、一昔前の翔鶴と良く似ている。景雲レディの側に居るのが長い影響かも知れない
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