親潮と赤城を探す最中、自分達の“長女”が目の前に来ます
父親と、母親と、何方か片方といる事はあれど、親子で並ぶ姿は見かけなかった三人
親潮と赤城はしばらく遊ばせておき、彼女と軽食を食べる事にします
「おかえりなさい」
グリフォンから降りると、横須賀が待ってくれていた
「ただいま。子供達は⁇」
「朝霜だけは執務室にいるわ。後はほとんど学校。親潮達を探しに行きましょ⁇」
グリフォンから降り、親潮達がいるであろう繁華街へと向かう
「そう言えばアンタ、高確率で何処かしらに赤ちゃんに乗られるわね⁇」
「言われるまで気付かなかったよ…」
時津風は膝の上
吹雪は腹の上
ジャーヴィスは抱っこ
そしてアトランタは背中の上
「子供にも乗られるわね⁇」
たいほうは肩車
ひとみといよは両肩
確かに乗られている…
「子供に好かれるオーラでもあるのかしら⁇」
「やめとけ。大淀博士の議題に上がりそうだ…レイ君が何故赤ちゃんに乗られるのか‼︎その謎に迫る‼︎とか言われる」
「ふふっ。分かったわっ‼︎」
横須賀も大淀博士のキャラをようやく理解出来て来ている
そうこうしている内に繁華街に着いた
「何処かしらね…」
「あら、おひょうひゃま」
口に何かを入れたままのヒュプノスがいた
「美味そうに食ってるな⁇」
「んんっ…ごめんなさい、丹陽のゴマ団子よ」
ヒュプノスはすぐに口の中にあったゴマ団子を飲み込んだ
「お母様は何か探してるの⁇」
「親し…」
俺はふと気付き、横須賀の口を手で塞いだ
「ヒュプノス。そのゴマ団子、まだ食べられそうか⁇」
「そうね。二つしか食べてないわ⁇」
「三人で行こうか‼︎」
これは絶好のチャンスだ‼︎
横須賀の口を咄嗟に塞いだのは、俺、横須賀、ヒュプノスの親子が揃う事は久々かも知れないと思ったからだ
「そうね‼︎親潮と赤城は大丈夫そうだし、行きましょ‼︎」
「嬉しいわ…」
ヒュプノスを真ん中に置き、ヒュプノスの両手をそれぞれが繋いで丹陽を目指す
後にその光景を見た人間や艦娘は、本来の親子に戻った三人を見ても、誰も声を掛けずにそっとしておいたと、誰もが言う…
「いらっしゃいまへ‼︎」
飲茶・丹陽に入ると、相変わらず口を開けた丹陽が来た
「三人よ‼︎」
「こちあの席にろ〜ぞ‼︎」
席に案内され、早速注文
「ゴマ団子と烏龍茶を三人前頂戴」
「おまらんおを三つ、烏龍茶を三つれすね‼︎お待ちくらはい‼︎」
丹陽が厨房に行き、横須賀がヒュプノスの方を見る
「ヒュプノスと来るのは久々ね⁇」
「そうね。私もお母様も忙しいもの」
「レイとはたまにこういう所に来るの⁇」
「お父様は、他の子供達と一緒に私も連れて行ってくれるわ⁇」
そう言って、ヒュプノスは笑顔を俺に送る
最近、ヒュプノスは笑う事が多くなった
普段の幼い外見でクールな顔も似合うが、ヒュプノスには笑顔がよく似合う
「私とも回数を増やしましょう⁉︎ねっ⁉︎」
「勿論よ、お母様‼︎」
「おまらんおお待たへしました‼︎」
「ありがとう」
丹陽がテーブルにゴマ団子と烏龍茶を置いてくれた
「いただきます」
「「いただきます‼︎」」
俺と横須賀の方が大きな声でいただきますと言う
「赤城に教えて貰ったわ⁇いただきます、ごちそうさま、って」
「赤城と遊ぶの⁇」
「えぇ。親潮と赤城と一緒にいると、色んな発見があって楽しいの」
「どんなだ⁇」
「そうねぇ…この前は、親潮が持って来た金属探知器を持って繁華街を回って、誰が一番小銭を拾えるか、とか」
「何やってんのよ…」
頭を抱える横須賀だが、顔は笑っている
何と無くだが、容易に親潮の姿が想像出来るのが辛い…
「誰が一番拾えたんだ⁇」
「赤城だったわ。赤城には敵影感知能力があるの。あれを使われたら太刀打ち出来ないわ⁇」
「やり方がキッたねぇなぁ…」
俺も横須賀と同じく、頭を抱えるが、顔は笑っている
「拾った小銭はリチャードさんに相談して、戦災寄付に回したわ⁇」
「偉いわ‼︎」
「偉いぞヒュプノス‼︎」
二人でたっぷりヒュプノスの頭を撫でる
「違うの‼︎みんなでそうしようって決めただけよ‼︎」
「それでも偉いわ⁉︎」
「ちゃんとした場所にやったんだ。誰も文句は言わないさ‼︎」
「お母様ならどうするの⁇」
「金額によるけど大体ネコババね‼︎」
「あら、頂戴じゃないの⁇」
「間違えた‼︎頂戴だわ‼︎」
三人共、同じタイミングで爆笑する
「あら、こんな時間。お父様、お母様、そろそろプールに戻ります。ごちそうさま」
ヒュプノスが立ち上がる
昼下がりになると、ヒュプノスはまたプールの先生へと戻る
「また来ような⁇」
「約束よ⁉︎」
ヒュプノスは無言のまま笑顔を返した後、何かに気付いて戻って来た
「お父様」
「どうした⁇」
「幸せよ、私」
「急にどうした⁇」
「私には“大好きなお母様”が二人もいるもの。お父様の娘で良かったわ⁇」
そんな事、初めて言われた
横須賀は横須賀で半泣き
ヒュプノスはどんどん変わって行く
どんどん人を愛する様になって行く
「私も好きよ、ヒュプノス‼︎」
「ありがとう。行って来ます」
ヒュプノスが愛情表現を表に出した事自体珍しい
それに、今日の嬉しそうな顔
俺達はもっと、ヒュプノスを知らなければいけないな…