れーべとまっくすの面倒を見る事となったパパの所に、一本の電話が入り、事態が一変します
「提督」
はまかぜが服のまま浴室に入って来た
「横須賀さんから入電です」
「私が変わろう」
武蔵が代わりにチビ達の面倒を見てくれる事になり、私は着替えて電話を取った
「何だ⁇」
「とりあえずテレビ点けて下さい‼︎」
開口一番に怒号が鼓膜に響く
「はいはい…」
「テレビ点けながら聞いて下さい‼︎」
リモコンの電源ボタンを押して、テレビを点けたが、点くまで少しだけタイムラグがある
その間に、電話の向こうから何か音楽が聞こえて来た
「嘘だろ…」
電話を落としたと同時に、テレビで臨時ニュースが流れた
《国家非常事態宣言が発令されました。ただいま、警報を流しています。繰り返します。国家非常事態宣言が発令されました》
「大佐、大佐‼︎」
嫌な音だ…
止めてくれ…
「あっ…」
外を見ると、物凄い数の戦闘機が遠くを飛んでいるのが見えた
「パパ、ドウスルノ⁉︎コワイコワイ…」
「大丈夫だ…大丈夫…」
怯えきったチェルシーを抱き締め、何とか落ち着かせる
「あれは本体じゃなかったのか…」
ニュースでは、深海棲艦が街を焼き尽くしていた
一般市民にも勿論被害が出ている
「は…電話…」
再び電話を取り、耳に当てた
「こっちでも確認した。どうすればいい⁉︎」
「今、高速艇と護衛艦隊を向かわせました。それに乗って、艦娘を避難させて下さい」
「俺は残って戦えばいいか⁉︎」
「いえ。こちらに特別な戦闘機を用意しました。それに乗って、指揮を執って下さい‼︎私からの命令です‼︎」
「…分かった‼︎」
「ふ〜…上がった上がっ…何の音だ⁉︎」
お風呂から上がった武蔵は驚いていた
「お前ら、何も言わずにアレに乗って横須賀に向かえ」
「わ、分かった‼︎よし、皆行くぞ‼︎」
「パパは⁇」
最後に向かおうとしていたたいほうが此方に振り返った
「大丈夫。すぐ追いつくよ。ちょっとスティングレイを借りるよ⁇」
「うん…」
スティングレイを掌に乗せ、たいほうの頭を撫でた
「たいほうよ、行くぞ」
「あっちであおうね⁇」
「ん、分かった」
走って行くたいほうの後ろ姿を見た時、何だかこれが最後の気がした
「…スティングレイ」
「分かってらぁ」
「体当たりだけは絶対するな。いいな⁇」
「最後まで抗ってやらぁ‼︎」
格納庫に向かい、まずはスティングレイから乗り込んだ
「スティングレイ」
「何だ⁉︎」
「もしかしたら、これで最後の空になるかも知れないから、言っておく」
「…」
「ここまで、こんな俺に着いて来てくれて、ありがとう」
「けっ‼︎泣かせんじゃねぇよ‼︎」
いつもの様に軽口を叩き、彼は機体の中に消えた
私もコルセアに乗り、エンジンを掛けた
《ドウシタライイ⁇》
ふとスペンサーが話し掛けて来た
「高高度から電子支援をしてくれ。それである程度は抗える」
《リョウカイ パパ アリガトウ》
「こちらこそ…」
三機がいよいよ滑走路に向かう
「スティングレイ、発進‼︎」
「イカロス機、出る‼︎」
《スペンサー デンシシエン カイシ》
青い鳥を筆頭に、三機が空へ上がる
一機が編隊から離れ、更に大空へと向かう
「敵機捕捉。凄い数だ…」
「今までの最高記録だな…」
敵機の数は、恐らく200機は超える
それをたった二機で返り討ちにするには無理がある
だが、下にはまだたいほうや武蔵達が乗った高速艇がいる
「ま、足止め位にゃなるだろ‼︎行くぜ‼︎スティングレイ、交戦‼︎」
「イカロス交戦‼︎」
空ではこいつとタッグを組む回数が多かったな…
お互いの得意な攻撃方法は、すれ違いざまの銃撃
これを繰り返せば、ある程度は叩き落とせるはずだ
「おっしゃあ‼︎2機撃墜だぁ‼︎」
「イカロス、2機撃墜」
「隊長、援護する‼︎いつでも命令を‼︎」
「よし。叩き落とせるだけ叩き落とすぞ‼︎」
何百機の敵機の中、二機の機影が踊る
幾度と無く旋回を繰り返し
幾度と無く機銃を発砲し
幾度と無く急降下を繰り返す
電子支援の影響もあってか、それとも元からの彼等の腕と運がもたらす事なのか…
無傷のまま、彼等は戦闘を続けた
「い…今ので多分30機位だ…」
「イカロス、42機目撃墜」
「隊長…やるな‼︎俺も負けられん‼︎」
《大佐‼︎》
「横須賀か‼︎たいほう達は着いたか⁉︎」
《着きました‼︎今、そちらに援護を回しました‼︎彼等と交代して下さい‼︎》
「よし…全員聞いたな⁉︎バトンタッチの時間だ‼︎」
三機にとっての勝利が確定した
「ま、今日は稼がせて貰ったな」
「残りは本土だ…」
基地に二機が降り立つ
無傷とはいえ、何処か疲弊して見えた二機は、すぐにハンガー行きになった
「おいおいおい‼︎なんだなんだなんだ‼︎」
スティングレイが降りた瞬間、そこにいた兵士が一斉に銃を向けた
「待て‼︎味方だ‼︎」
「そうだ‼︎そうじゃないと隊長の援護なんかしねぇよ‼︎」
「全員銃を降ろして‼︎彼は味方よ‼︎」
やっと横須賀が来た
スティングレイが味方だと認められ、補給をさせて貰う事になった
「お、おい。フィリップはどうするんだ⁉︎」
「暫くはハンガー行きだと…」
「バッキャロ‼︎俺はアレしか乗れねぇんだよ‼︎」
「あ…」
考えてみればそうだ
用意された機体には乗れるが、操縦が出来ない
勿論身長の所為だ