艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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26話 ワタリドリ(4)

思っていた通り、時限式の炸裂弾だ

 

幾ら強固な装甲を持った艦娘でも、恐らく一撃で屠られる

 

現に海域に残っていた数隻の敵艦は虫の息だ

 

「…スペンサー、アレを使え。試作品だからあまり回数はこなせない。しっかり狙え」

 

《ジョウホウ タリナイ》

 

「ちっ…」

 

《大佐、潜水部隊から打電が…》

 

「何て言っている⁇」

 

《イクを標的にするの。そしたら当てられるの。大丈夫、イクは絶対避けるの。です》

 

「だが…」

 

《信じましょう》

 

「…仕方ない。スペンサー、対飛来物破壊レーザー起動。潜水艦、伊19に標準固定」

 

《リョウカイ イ ジュウキュウ ロック》

 

「照射‼︎」

 

スペンサーから放たれたレーザーが海面に落ちる

 

《水中で破壊音‼︎敵潜水艦浮上‼︎》

 

「よし‼︎全艦、一気に叩け‼︎今を逃せば次は無い‼︎」

 

《大きい…》

 

《おいおいおいおい‼︎こいつ、南国で撃沈した潜水空母じゃねえのか⁉︎》

 

横須賀は敵ながら大きさに惹かれ

 

スティングレイは過去に撃沈した敵と目の前に現れた敵を照らし合わせていた

 

《敵航空勢力、20%まで低下。大佐、行けます》

 

「あと一歩だ‼︎気を引き締めて行こう‼︎」

 

《これで艦載機が出りゃ、あいつなのになぁ…》

 

《敵潜水空母、艦載機を射出‼︎》

 

マザーの言葉を聞いた瞬間、スティングレイの思いは確信へと変わった

 

《大佐‼︎あいつは…あいつは、鹵獲されたんだ‼︎》

 

「もう一度沈めるだけだ‼︎」

 

奇声を上げながら、潜水空母は艦載機射出と砲撃を繰り返していた

 

海中と言う大防御を無くした今、彼女が出来るのは、付け合わせられた機銃で出来る最後の悪足掻き

 

戦艦の大火力の砲撃

 

重巡洋艦の連撃

 

駆逐艦の飽和雷撃

 

あっと言う間に、彼女は撃沈された

 

《眠れ…今度はゆっくりと…》

 

「お前…」

 

《愛されなきゃいけなかったんだよ…あいつも…》

 

《敵残存部隊、撤退して行きます大佐、我々の勝利です》

 

「…帰ろう‼︎美味い飯を食いたい」

 

《…あぁ‼︎》

 

作戦を終え、帰投する航空部隊が空を埋め尽くす

 

大半は自身の空母に戻って行ったが、私達の様な陸戦機は横須賀の基地に戻る他なかった

 

 

 

 

皆が居なくなった海域…

 

先程、潜水空母が撃沈された場所で、何かの反応がある

 

「行かなきゃ…あの人の所へ…」

 

 

 

「うまうま‼︎」

 

「んめぇ‼︎」

 

「おかわり‼︎」

 

男三人集まり、間宮で御飯を食べていた

 

「まさかワンコにあれだけの技術があったとはなぁ…」

 

「あはは…皆さんの飛び方を、いつも見てたんです。それで…」

 

「あれだけ出来りゃ上出来だよ。おかわり‼︎」

 

小さいながら、スティングレイは大量に食事を腹に収めていく

 

今まで食べられなかった分を取り返す勢いだ

 

ま、それもこの美味さなら分かる

 

「あの〜…」

 

一人の少女がひょっこり現れた

 

「うほっ、日焼け少女だぜ隊長‼︎」

 

「白と小麦のコントラストだ」

 

「スク水が良いですね」

 

三人全員変態発言しかしない為、少し苦笑い気味の少女は、スク水の上にオレンジと白の服を着ており、他には何も持っていなかった

 

「ちょっとお聞きしたい事が〜」

 

「んっ。俺達で良ければ」

 

スク水の少女は嬉しそうに顔を綻ばせた

 

「昨日、潜水空母を撃沈した時、心配していた人がいたんですけど…誰か分からなくて…」

 

「あいつは…」

 

スティングレイが口を開いた

 

「あいつは…本来国を護る為に造られた、潜水状態からの弾道ミサイルの発射、浮上すれば射出式の無人艦載機発艦…開発者の夢の塊だ」

 

「ほぇ〜」

 

不思議そうな顔をする少女の周りでは、更に不思議そうな顔をした私とワンコがいる

 

 

敵巨大潜水空母を撃沈しました‼︎

 

多大なる成果を上げた貴官に対し、勲章を授与します‼︎

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