彼はもう一度、彼女に恋をします
メッサーシュミッター…アレンっぽい人
ヤッタネルソン…ネルソンっぽい人。様子がおかしい
「きっ、きさっ、貴様がメッサーシュミッター、だなっ⁉︎」
緊張しまくっているネルソンらしき人物が、ルージュのドレスに身を包んでそこにいる
「いかにも」
「う、うぬっ‼︎では、こここの“ヤッタネルソン”と踊って貰おう、かっ‼︎」
しかし、気高さは忘れたくないヤッタネルソン
あくまで誘うのは自分で行きたいスタンスらしい
「では、ヤッタネルソン。エスコートを」
「んまっ、任せておけっ‼︎」
ヤッタネルソンと共に、再びダンスを踊る
「緊張しなくていい。ゆっくりと…」
「ききき、緊張などしておらんっ‼︎」
俺の知っているいつもの女性は跡形も無く消え、今は何故かカチコチになったダンスを踊るヤッタネルソン
「あ、あれ、あれあれ…んんっ⁉︎」
俺と良く似た男の名を言いそうになり、人差し指で塞ぐ
「メッサーシュミッター。メッサーでいい」
「めっ、メッサー‼︎貴様っ、余に似た嫁がおらんかっ⁉︎」
「ヤッタネルソンに良く似た嫁がいるな」
「やっ、奴の事をっ、どどど、どう思うっ⁉︎」
妻の事を聞いたヤッタネルソンは、もっと硬くなる
声はうわずり、気が動転しているように見える
「俺は良い嫁を貰った。面倒見も良くて、家事もやってくれる。リードもしてくれるしな。コロッケも美味しい。長年、待った甲斐があった」
「そうかっ‼︎うむっ‼︎」
彼女の威勢がようやく戻った
ヤッタネルソンとは初対面だが、妻と似ている彼女には、これが似合う気がする
「ヤッタネルソンの旦那はどんな人だ⁇」
「うむ。余はな、メッサーと良く似た男の尻を追い掛けて、半ば押し掛け女房のような形になってしまってな…」
「どうしてそこまで彼の事を⁇」
妻には長い間聞けなかった事を、ようやくここで聞いた
ヤッタネルソンも、ヤッタネルソンに似ている俺の妻もかなりの美人だ
今まで数多の男がアプローチをかけただろう
「余に初めて面と向かって好きと言った男でな。今までそんな事を言われた事がなかった」
「そんなに美人なのにか⁇」
「はは、世辞が上手いなメッサー。噂はなんと無く聞いていた。私と付き合いたいと言う男も居たが、面と向かっては言っては来なかったなっ」
「彼はどんなアプローチを⁇」
「一目惚れした奴をランチに誘いたいと言ってなっ。話が終わると誘われたのは余だった」
「楽しかったか⁇そいつとのランチは」
「楽しくなければ、今頃嫁になっておらん」
ヤッタネルソンとの話は続く…
聞けば聞く程、俺と良く似た奴がヤッタネルソンを口説いた言葉があられもなく出る
「ビールを飲みたいんだが、一人じゃ寂しい。美人が横に居てくれれば、美味しく飲めそうなんだが⁇とかなっ‼︎」
「回りくどい男だ…」
「ふふっ‼︎」
しかし、その度にヤッタネルソンは少女の様に笑う
普段は高貴な雰囲気を放っており、知らない奴は少し近寄り難い彼女
そんな彼女が時折放つ少女の笑顔を見て、いつの日かの俺は、また彼女好きになった
曲が終盤に入り、ヤッタネルソンは少しずつ体を密着させ、胸板に自慢の巨大な胸が当たる
「ふ…」
ヤッタネルソンの早い鼓動が聞こえる…
「余をこんな状態にする男でな…困った奴だっ…」
「彼に伝えておく事があれば伝え…」
話し終える前、そして同タイミングで曲が終わると同時に、熱いキスを受ける…
曲が完全に終わるほんの少し前、ヤッタネルソンはキスを終える
「次に余を見たら、同じ事を返しに来い。そう伝えてくれないかっ」
「りっ、了解したっ…」
最初と立場が逆転した所で、ヤッタネルソンが手を離した
そうして俺は、また一つ彼女を好きになった…
このお話もかなり好きな一話になりました
叶う事の無い恋愛、今目の前で再び始まる恋愛
書いていて本当に楽しかったです