「よ〜し、これで自分は一飯の恩が二人に出来た訳だ‼︎」
「助かるよ、園崎」
「たまには協力させて下さい。じゃあ、手始めはどうしようか…」
「とりあえず、ゲートでお弁当を受け取った人に話を聞いてみましょう‼︎」
「そいつはいいな‼︎」
「早速行こう‼︎」
臨時お弁当チームがパイロット寮を出る…
今日は高垣はトラックさんの所で演習
森嶋は大湊で書類の提出と見学
つまり、サンダースは三人しかいない
そんな三人のチーム、お弁当チームはゲートに着いた
「あぁ。確かに受け取ったよ」
櫓に居た男性が教えてくれた
「朝方ゲートに来て、これを櫻井様に、と」
「どんな方でした⁇」
「少しだけふくよか…いや、肉付きが良いと言うか…可愛い事には変わりはなかったな」
「櫻井さんも隅に置けないってのしか分からん‼︎」
「じ、自分もです…」
「まさかとは思いますが、この方では⁇」
櫻井はいつも眺めている写真を取り出した
妻がスイカを持っている、あの写真だ
「いや、この人じゃない」
即答され、次の質問がなくなる
「あ、そうだ。お弁当箱を洗って来たのですが…」
涼平の手元には、再度風呂敷に包んだピカピカになったお弁当がある
「そこのボックスに入れて下さい。次に来られたら返しますので」
「ありがとうございます」
「あ‼︎ちょい待った‼︎櫻井さん、ここに手紙を付け返すってのはどうすか⁉︎」
急に園崎がナイスな提案を出した
「ナイスだ園崎‼︎」
「紙とペンはここに‼︎」
「ボックスの上を使っていいですよ」
「ありがとう‼︎」
櫻井は早速お礼の手紙を書く
櫻井の書く手紙を、涼平も園崎も背後から眺め、そして櫓に居た男性もチラチラ見る
「よしっ‼︎出来た‼︎」
「へへ…こいつは自分からのお礼っ…と」
園崎は手紙と一緒にチョコレートバーを
「自分はこれを…っと」
涼平はシュリに貰った、包み紙に包まれたドロップを数個、互いに手紙と共に上段のお弁当箱に入れた
「しかし、明日来るとは…」
「その時は出して貰う事は…」
「ふふっ、了解です」
話の分かる見張りで良かった
その日はそれ以上の成果は無く、次の日の朝を待つ事になった…
次の日の朝…
「では、引き継ぎを終了します」
「よろしく頼…ちょっと待て」
櫓の見張りを交代しようとした時、彼女はやって来た
「あの‼︎これを櫻井さんに‼︎」
下から櫓に向かってお弁当を掲げる彼女
「あ、あぁ‼︎分かった‼︎すぐに降りる‼︎」
昨日の昼下がり、お弁当チームを相手していた彼がゲートに取り付けられたドアから出て来た
「此方を櫻井さんに」
「畏まりました。それと、櫻井少尉からお弁当箱の返却がありました」
彼女は目を丸くしながらお弁当を受け取った
「お手紙が…」
彼女は手紙を開けた
“お弁当、ありがとうございました
一人では食べきれなかったので、同期と共に完食致しました
失礼を承知の上でお聞きします。貴方のお名前を教えて頂けませんか?
今度、個人からお礼致します
櫻井少尉より”
「何か櫻井少尉にお伝えする事があればお伝えしますよ」
「す、少しだけお待ち下さい‼︎」
彼女は屈み込み、膝の上で何かを書き、それを新しいお弁当箱の風呂敷に挟んだ
「お願いします‼︎」
「畏まりました。お名前をお伺いしても⁇」
「ん…その…」
彼女は胸元で両手を組み、目線を逸らし、伝えたくないような雰囲気を出す
「櫻井少尉に危害が無い内は受け取りますよ」
「大丈夫です‼︎“絶対気付いてくれます‼︎”」
この時、彼女はニコニコしながらガッツポーズをした
その姿を見て、見張りの彼は不思議な彼女にもう少し付き合おうと考えていた…
見張りを終了すると同時に、彼はパイロット寮を目指す
見張りが終わったのは明朝5時
見張りの彼は仮眠を取る前にお弁当を渡しに来た
イントレピッドが朝食を作っている最中なのか、キッチンから美味しそうな匂いが漂っている
「すみませーん」
「はーい‼︎Good Morning‼︎」
相変わらずパツパツのエプロンを着けたイントレピッドが玄関に来た
「おはようございます。櫻井少尉に此方を」
彼はお弁当が入った風呂敷をイントレピッドに渡す
「昨日の子ね‼︎OK、分かったわ‼︎貴方は朝食は⁇」
「自分は今から仮眠を…」
「そっか…ありがとうね⁇」
「失礼します」
お弁当を渡した彼は自室に戻り、仮眠に就く…