艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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27話 小麦色の恋(2)

「あ…」

 

大体の事は察した

 

この子は十中八九、昨日撃沈した、あの大型の敵潜水艦の成れの果てだ

 

はまかぜと同じく撃沈された後、何処に行って良いのか分からず、ここに来たのだろう

 

「でもでも‼︎一生懸命頑張ります‼︎」

 

「そっか…宜しくな、しおい」

 

「はいっ‼︎」

 

「で、本題だ。たいほうは何処だ…」

 

「これすごいね‼︎」

 

「いた」

 

建物の間からたいほうの声が聞こえた

 

影から彼女を見ると、壁に何かを投げて遊んでいる

 

スティングレイも同じ様な事をしている

 

「こんな所に居たのか」

 

「パパ‼︎」

 

膝を折って彼女を抱き止めると、手には壁に投げていた物を持っていた

 

「何してたんだ⁇」

 

「すーぱーぼーるだって‼︎これすごいよ‼︎」

 

手に持った赤い玉を壁に投げると、ピョンピョン跳ねて手元に戻って来た

 

「俺も貰ったぜ‼︎」

 

「誰に貰ったんだ⁇」

 

「はりねずみのおねぇちゃん‼︎」

 

「ハリネズミのおねぇちゃん⁉︎」

 

「うんっ。あたまにとげとげがいっぱいついてるの‼︎」

 

「頭にトゲトゲ…おねぇちゃん…」

 

表に出てそれらしき人を探すが、見当たらない

 

「気になる…」

 

「あ、いた‼︎あのおねぇちゃん‼︎」

 

ちょっと離れた所で、ベンチに座って何かしている

 

近寄って見ると、確かに頭にトゲトゲがいっぱい付いている

 

「君か。たいほう達にスーパーボールくれたのは」

 

「あぁ、いいぜ。どうせ売れ残りだ」

 

「君、名前は⁇」

 

「あたしは摩耶‼︎今は艦娘をやめて、こうして何でも屋をしている」

 

「何でも屋…か」

 

摩耶の足元には風呂敷が広げられ、色んな物が売っている

 

既にたいほうが風呂敷の端の方に置かれたオモチャを見ている

 

「何か買って行くか⁇」

 

「そうだな…」

 

雑に置かれてはいるが、質は良さそうだ

 

「これは⁇」

 

一つの品に目が行く

 

それは筒の様な物で、中には何も無い

 

「これは何だ⁇」

 

「ん〜…水筒みたいなんだけど、何か違うんだよなぁ…」

 

しかし、何故かこれが気になる

 

「不思議なもんだな…何故か惹かれる…」

 

「100円でいいぜ。もし使えたら値打ちもんだろ」

 

「たいほうはどれにするんだ⁇」

 

「これ‼︎」

 

たいほうが持っていたのは、無人戦闘機のオモチャだ

 

「それも100円でいいぜ。200円だな」

 

ポケットから百円を二枚出し、摩耶に渡した

 

「サンキュー。また来るよ」

 

「ありがとな。時々ここでこうして広げてるから、また覗いてくれ」

 

摩耶と別れ、たいほうは嬉しそうにオモチャを持っている

 

しかし、何だこれ

 

見ればみるほど気になる開けても何も無く、中には空洞があるだけ

 

「パパ‼︎」

 

「パパ」

 

「れーべ‼︎まっくす‼︎」

 

走って来た二人を抱き上げ、背中をさすった

 

「パパ凄いね‼︎いっぱい落ちてた‼︎」

 

「私たちはチョコマカ逃げてた」

 

「ふふ…それでいい…」

 

「あ、これ」

 

れーべが先程の筒に触れた

 

不思議そうにそれを見つめた後、私の手から取り、弄り始めた

 

すると、ものの数秒もしない内に筒から”ポンッ”と音がした

 

「あいた‼︎はい‼︎」

 

「そうやって開けるのか⁉︎」

 

筒は何と二重になっており、中から紙切れが出て来た

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