艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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280話 君の背中を見送る(2)

昼食が終わり、みんなが集まっているこのタイミングで話を切り出す

 

「みんな、聞いてくれ」

 

子供達も大人も、皆俺の方を見る

 

「松輪の家族が見付かったんだ」

 

「やったね‼︎」

 

一番初めに祝福してくれたのはたいほう

 

「良かったじゃない」

 

「て事は、松輪は家族の所に⁇」

 

まっくすの言葉の後に続いたれーべの問いに、俺は頷く

 

「今日はとりあえずは会いに行くだけさ。しばらくは横須賀とここを行き来する事になる。悲しむ必要はないぞ‼︎松輪は横須賀で暮らすからな‼︎いつだって会える‼︎」

 

“(´-`)”

 

ほとんどが家族の元に帰るのを祝う中、ボーちゃんだけはあまり嬉しくなさそうだ

 

それもそうだ

 

松輪に一番近かったのは、俺達や子供達でも無く、ボーちゃんだ

 

「ぼ〜さん」

 

“(._.)”

 

いつもなら少しは話すボーちゃんだが、余程辛いのか顔文字しか出さない

 

「ぼ〜さん。また学校で会えるだ」

 

“_φ(・_・”

 

ボーちゃんはチラシを取り、何かを書き始めた

 

《マーカスさん。松輪ちゃんをお願い》

 

「あ、あぁ…分かった」

 

少しボーちゃんは放って置いた方が良さそうだ…

 

松輪を送る為、グリフォンへと向かう

 

松輪をPCの前に座らせ、グリフォンの無線機を取る

 

「横須賀。聞こえるか、俺だ」

 

《はいはい。どうしたの⁇》

 

繋げた先は横須賀

 

もう少し早く報告すべきだろうが、あまりにもてんてこ舞いだった為に遅れてしまった

 

「松輪の両親が見付かった。櫻井の娘だ」

 

《さっきこっちに帰って来て報告を受けたわ。妻と同居したい旨と、迅鯨さんの部屋はないかって。迅鯨さんがその気なら、こっちで何かしらで雇うわ⁇》

 

「そうか…」

 

横須賀の方が先だったみたいだ

 

《誰も責められないわね…大人のエゴと言うか…》

 

「まぁな…とにかく、松輪を連れて行きたい。櫻井とお嫁さんを間宮かどっかに引っ張り出せるか⁇」

 

《任せて‼︎命令って事にするわ‼︎》

 

「…ありがとな」

 

《あまり考えちゃダメよ⁇いつものレイでいいの。ねっ⁇》

 

「分かったっ」

 

無線機を置き、松輪を呼ぶ

 

「行こうか」

 

「んだ」

 

《松輪ちゃん》

 

一本の触手に丸めた紙を持ったボーちゃんが来た

 

《はいこれ》

 

「おらにくれるのか」

 

《うん》

 

松輪は丸めた紙をボーちゃんから受け取り、中身を見た

 

「おらだ‼︎」

 

そこには松輪の似顔絵があった

 

まるで生き写しかの様に上手い…

 

《また学校でおえかきしようね》

 

「んだ‼︎おら、もっとぼ〜さんとあそびたいだよ‼︎」

 

松輪は小さい手で、ボーちゃんは触手で、今しばらくのお別れの握手をした後、いざ横須賀へと飛び立つ…

 

 

 

 

横須賀に着き、松輪を降ろす

 

そのまま抱っこしたまま、近くで待っていた横須賀の所に来た

 

「間宮で二人を待たせてあるわ」

 

「おら、一人で行くだ」

 

松輪が手から離れた

 

「松輪」

 

「んだ」

 

呼び止めたは良いが、言葉が見つからない

 

本当は近くまで一緒に行こうとしたが…

 

いや、家族団欒を邪魔しちゃいけないな

 

「…行って来いっ‼︎」

 

「行って来ますだ‼︎」

 

見付かった言葉は、拙い言葉

 

繁華街に向かって行く松輪の背中が小さくなるまで、俺はずっとその場に立ち尽くしていた

 

「…レイっ‼︎」

 

沈黙を破ったのは、横須賀が俺を呼んだ声

 

「…コーヒー、飲まないか」

 

「いいわよ。アイスにする⁇」

 

「フロートにする」

 

横須賀が左腕に付いて来た時、我に返る

 

「大丈夫。大丈夫…」

 

愛おしそうに左腕に頬を付ける横須賀

 

その顔を見て、涙が込み上げて来たが、ここは堪えた

 

これで良かったんだ

 

これが俺の役目なんだ

 

“元いた場所に戻す…”

 

それで良いんだ

 

「…どうせならケーキ食うか‼︎」

 

「そうしましょう‼︎アンタ取って来てね‼︎」

 

互いにいつもの自分に戻る

 

俺達はこの日、小さなデートをした後、互いの家へと戻った…

 

 

 

 

 

「婿殿、久々ですね‼︎」

 

「田舎に居た時は中々出来なかったからな‼︎」

 

櫻井と大鯨が横須賀の命令で間宮の無料券を使い、パフェを食べていた

 

迅鯨は早速仕事を貰っている

 

横須賀の子供達に料理を教える役目だ

 

「婿殿。大鯨の苺、ちょっと食べますか⁇」

 

「どれどれ…」

 

「そ〜っと…」

 

大鯨は櫻井が自分の苺パフェにスプーンを入れている時に、櫻井のチョコパフェにスプーンを入れる

 

この大鯨、幼妻…良妻賢母の外見とは裏腹に、かなりのイタズラ好き

 

そのギャップが、櫻井を惹きつけていた

 

「間宮はここだ」

 

そこへ、一人の少女が間宮に入店

 

何の気なしに櫻井の視線は其方に向いた

 

「松輪⁇」

 

「とうちゃん‼︎」

 

櫻井を見かけるなり、松輪は櫻井に飛び付く

 

「松輪‼︎良かったぁ…」

 

大鯨も松輪を抱き締める

 

「今まで何処に居たんだ⁇」

 

「レイさんの所だよ‼︎おら、お友達も出来ただ‼︎」

 

「レイさん…婿殿の隊長さんですか⁇」

 

「そう。私の尊敬する人だ。そっか…また隊長に借りが出来たな…」

 

その日、櫻井は人生で一番幸せな日を迎えた

 

この世で一番愛している人に再開し

 

この世で一番大切な家族とも再開した…

 

 

 

 

「レイ、そう言えば名前は決まった⁇」

 

「候補は上がってるんだがなぁ…」

 

フロートとケーキを食べながら、ある事に悩む

 

「搭載するAIの名前は⁇」

 

「そいつは候補は二つまで絞れた」

 

「なぁに⁇聞くだけ聞かせて⁇」

 

 

 

 

「“シーナ”か“ヨナ”にしようと思うんだがなぁ…」




松輪が基地と横須賀を行き来する様になりました



迅鯨…セーラー鯨ちゃん

十数年かけて櫻井を探していた一途な女性

その正体は櫻井の昔の恋人であり、幼馴染

結婚を約束していたが、とある理由で破棄になり、櫻井と共に駆け落ちした過去がある

とりあえずおっぱいもお尻もデカい

後実家は代々続く鵜飼。すごいね




大鯨…エプロン鯨ちゃん

櫻井のお嫁さん

幼妻な外見なのに行動は良妻賢母

イタズラ好きな一面もあり、そこが可愛い

実は鬼嫁との噂があり、櫻井の事を「婿殿‼︎」と呼ぶ

実家は農家。山菜も採るよ

おっぱいがデカい。すごいね
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