艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名は変わりますが、前回の続きです

間宮から出た後、建造ドックに来た二人

そこには横須賀がおり、三人でヨナと名付けられたAIに会いに行きます


282話 ウェルカムヨナナス

横須賀、建造ドック前

 

「立派なモンだな…」

 

「正に良いトコ取りさ」

 

俺達の前には、まだ名前も付いていない新型の潜水艦が処女航海前の最後の整備に取り掛かっている

 

「あらレイ、アレン」

 

新型潜水艦の前に横須賀がいた

 

「最終チェックか⁇」

 

「艦首爆雷投射装置を見てたのよ」

 

横須賀の目線の先には、タナトス級から受け継がれた主兵装の艦首爆雷投射装置がある

 

「増設したのね⁇」

 

「そっ。タナトス級は改装後で4門、この子は6門。背部機銃は同じ数だが、背部対空ミサイルにはガリバルディのミサイルを搭載してある」

 

「絶対防御だな…」

 

横須賀の目の合図で、潜水艦の中へと向かいながら話を続ける

 

「アレンの複合サイクルエンジンを搭載してある。船体はデカイが、実に静かでクリーンなエネルギーで動くんだ」

 

「無人航空機はどうなったの⁇」

 

「4機艦載出来る。Flak 1が3機、クラウディアが1機。航空戦になった場合はクラウディアが航空戦闘指揮を執る」

 

「発艦方法はタナトス級と同じか⁇」

 

「そこは同じだ。外殻を付けてブースターで点火して打ち出す。一定の高度まで上がれば外殻とブースターを投棄して主翼を展開…後は航空戦だ」

 

話しながら歩いているとメインルームに着いた

 

横須賀とアレンは別々のモニターを見始める中、俺はインカムを付ける

 

「おはよう、ヨナ」

 

俺がそう言うと、メインモニターが作動する

 

《おはようございます、創造主様》

 

ヨナの声に二人が反応し、俺の横に来た

 

「この人は横須賀。この人はアレンだ」

 

メインモニターのカメラが左右に動き、横須賀とアレンがメインモニターの隅に映る

 

《ヨナはヨナです。よろしくおねがいしますね》

 

「此方こそよろしくおねがいするわね⁇」

 

「礼儀正しい子だっ‼︎」

 

《創造主様》

 

「どうした⁇」

 

《名前は決まりましたか⁇》

 

ヨナは早く名前を決めて欲しい様子

 

ここまで引っ張っていた俺が悪いんだがな…

 

「もう一日だけ時間をくれないか⁇」

 

《構いません。ヨナはどんな名前でも、創造主様に付けて頂いたのなら嬉しいです》

 

「そっかっ」

 

「ね、あたしも話したいわ‼︎」

 

「ほらよ。いつも通りで良いが、ヨナはまだ色々覚えたてだ」

 

横須賀にインカムを渡すとすぐに付け、ヨナと話す

 

「そう言えば、名前は何文字まで行けるの⁇」

 

「本人が覚え易いように五文字までだ」

 

「もしレイが“あああああ級”とか付けたら、それでもいいの⁇」

 

ニヤケ顔の横須賀に、ヨナは答えを返す

 

《創造主様は適当に名前を付けるお方ではないと、タナトス様からお聞きしました》

 

「言われてみればそうね…」

 

ヨナに言われ、何故か横須賀は悩み出す

 

「レイは自分の娘に、ギリシャ神話の名前を付ける事が多いの」

 

《タナトス…ヒュプノス…確かにギリシャ神話です》

 

ヨナはモニターにそれぞれの名前の元となった者の検索結果を出す

 

「レイは良い名前を付けてくれるわ。私みたいに、あああああなんて付けないから、心配しないで⁇」

 

横須賀の話を小耳に挟み、俺の考えている名前は二つ共ギリシャ神話ではない事を言いそうになる

 

ヨナは確か預言者の名前

 

この潜水艦にも、その名に恥じない名を付けてやりたい

 

「そう言えば、この潜水艦の艦種は何になるんだ⁇」

 

エンジンルームのモニターを見ていたアレンが良い質問をしてくれた

 

「艦種としては潜水空母になるな。まっ、臨機応変に艦種が変わると思ってくれればいい。ヨナ、クラーケンでこの潜水艦の全体像をデスクに出してくれるか⁇」

 

《畏まりました》

 

中心にあるデスクにこの潜水艦の全体像が立体で映し出される

 

それを見た横須賀とアレンがデスクの周りに来た

 

「この潜水艦はタナトス級のウリである攻撃力の高さを最大限に受け継いだ水上戦闘、アルテミスから受け継いだ隠密性能による潜航がメインだ。しかし、ある時は空母、ある時はレーダー艦にもなれる」

 

《もう一つあります》

 

「あら、なぁに⁇」

 

「なんだ⁇」

 

「…」

 

ヨナは全体像をズームし、内部を見せる

 

横須賀とアレンが立体映像を眺める中、俺だけは黙っていた

 

《この潜水艦には医療用カプセルが6基搭載されています。入院設備も搭載されており、病院船としても運用可能です》

 

「あら…つまり出張治療が出来る訳⁇」

 

《創造主様は“過去の教訓を活かした”と仰っていました》

 

「レイ…」

 

「今後、民間人に被害が及んだ時でも、この潜水艦に放り込めば治せる」

 

「そっか…」

 

横須賀もアレンも勘付いてくれた様子

 

《創造主様。当潜水艦内は禁煙です》

 

俺は内ポケットからタバコを出そうとしていた

 

ヨナはそれにすぐに気付き、俺に注意を促す

 

「固い事言うな。モテないぞ⁇」

 

半笑いで火を点けながらヨナのメインカメラを見る

 

《ヨナ。放っておくでち。創造主はタバコだけは言う事聞かんでち》

 

《ヨナ、学びました》

 

「良い子だ、タナトス」

 

いつもの事情を知っているタナトスがヨナに助言をしてくれた

 

《ヨナ。創造主はタバコ吸ってる方が冴えるでちよ》

 

《では、創造主様だけは艦内喫煙を可能にします》

 

「俺が吸ったらどうなるんだ⁇」

 

アレンがヨナのカメラにタバコを見せる

 

《ヨナは艦内の酸素を抜きます》

 

《はは‼︎タナトスよりマシでちな‼︎タナトスは太平洋の真ん中に放り出すでち‼︎》

 

ヨナは優しいAIだ

 

一番最善の方法で、物事を処理する

 

「ねぇ。これなぁに⁇」

 

横須賀の目線の先には、何かのマシンがある

 

《すみません。ヨナ、忘れていました》

 

ヨナがそう言うと、そのマシンは動き出した

 

「あらっ‼︎何か出て来たわ‼︎」

 

マシンからネリネリ出て来る何か

 

横須賀はそれを見て、一発で食べ物だと見抜く

 

《ヨナ特製の“ウェルカムヨナナス”です。スプーンは此方にございます》

 

使い捨ての紙スプーンと共に、バナナのヨナナスが横須賀の前に出された

 

「頂くわね‼︎」

 

《アレンさんもどうぞ》

 

「ありがとう‼︎」

 

アレンにもヨナナスが振る舞われ、俺は二人がヨナナスを食べるのを眺める

 

《創造主様。そちらのヘルメットは⁇》

 

ヨナナスを作ってくれているヨナを横目に、俺はヘルメットを着ける

 

「ヨナにヨナナスが如何な物か、教えてやろうと思ってなっ‼︎」

 

きそに借りて来たヘルメットを着け、いざヨナナスを口にする

 

《ほわぁ〜…》

 

ヨナが反応を示す

 

「どうだ⁇」

 

《甘くて、冷たくて…とっても美味しいです。ヨナ、好きになりました‼︎》

 

「ふふ…近々また教えてやるよ」

 

この時、自分は気付かないでいたが、横須賀とアレンは気付いていた

 

また、レイが父親の顔に戻っている事を…

 

 

 

 

「よしっ。今日はこれ位にしよう」

 

《ヨナ、皆さんをもっと知りたいです》

 

「私もよ、ヨナ‼︎」

 

「俺もだ‼︎」

 

「そうだヨナ」

 

《はい、何でしょう》

 

出る前に一つヨナに宿題を与えようと思い、再度メインモニターの前に立った

 

「ここに二つの名前がある」

 

カメラに向けて、二つの紙を見せる

 

そこにはこの潜水艦の名前の候補が書いてある

 

「読んでくれるか⁇」

 

《“ワタツミ”…“スカーサハ”…》

 

スカーサハ…ケルト神話の預言者の名前のハズだ

 

ヨナも預言者の名前

 

名前に恥じないハズだ

 

「どっちが良いか、ヨナに決めて貰おうと思ってな」

 

《どちらも良い名前です。創造主様、ヨナは創造主様が付けて下さるのならどんな名前だって構いません》

 

「実はな…俺はずっと迷ってるんだ。どっちも良い名前だと思う。だからこそ、ヨナに初めての宿題にしようと思ったんだ」

 

《観艦式の日には必ず御報告致します》

 

「んっ。もし嫌なら、ヨナが決めていいからな⁇」

 

《あああああ級にしましょう》

 

「横須賀‼︎」

 

「わ、私は悪くないわよ⁉︎」

 

何故俺の産み出すAIはジョークを言うのが早いのか…

 

大淀博士の議題に上がりそうだ…

 

《冗談です。ヨナ、片方を気に入りました》

 

「観艦式の日に聞こう。まっ…あと数日しかないがな⁇」

 

観艦式まで数日

 

ヨナは何方の名前にするのだろうか…

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