艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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288話 シマエナガのアルバイト日記(2)

同じ頃、執務室では…

 

「穴掘り終わりました‼︎」

 

「ありがとう‼︎一人落ちたわ⁇」

 

「それは申し訳ない事を…」

 

ガリバルディと良く似た女性が横須賀の前に立っている

 

ガリバルディより髪が長く、女性らしい印象を持てる彼女

 

彼女が穴を掘ってくれた人物である

 

「イタリアで艦娘を引退したのね⁇」

 

「はい…妹がかなりご迷惑をお掛けしたので、私は責任を持って除隊致しました」

 

「ど⁇もう一回艦娘としてやってみる⁇」

 

横須賀にそう言われ、彼女の顔が明るくなる

 

「宜しいのですか⁉︎」

 

「いいわよ⁇その代わり、妹にも釘を刺してあるけど、次変な真似をしたら死ぬより恐ろしい事が待ってるわよ⁇」

 

「死ぬより恐ろしい事…」

 

彼女が少し震えているのを見て、親潮が口を開いた

 

「それはそれは恐ろしいです。生きたまま胸を貫かれたり、突然半月板を左右同時に叩き割られたり、寝る間も無く手榴弾を何処からともなく投げ込まれたり…」

 

「後は海に引き摺り込まれて秒で死ぬわ」

 

「ひぃ…だ、大丈夫です‼︎皆様を裏切る様な真似は絶対にしません‼︎それに、貴方がたはご恩があるお方です‼︎」

 

「嘘よ、う〜そ‼︎」

 

「そんな怖い人はこの基地には居ません‼︎」

 

「良かった…」

 

そう…

 

“この基地にはいない”だけである

 

 

 

実は全てを行って来た人物がいる

 

生きたまま銛で胸を貫き…

 

突然半月板を魚雷で左右同時に叩き割り…

 

何処からともなく手榴弾…もといウニを投げ込み…

 

悪い輩を海中に引き摺り込んで秒で抹殺している、非常に恐ろしい仕事人が…

 

そんな仕事人はと言うと…

 

 

 

「ち〜たけ‼︎」

 

「椎茸はこうやって、細く切ってみましょう‼︎」

 

「ちめじ‼︎」

 

「しめじは、まずは根元を切ってみましょう‼︎」

 

ひとみといよはグラーフに繕って貰ったエプロンを着け、大鯨に教えて貰いながらきのこを下処理して行く

 

大鯨の教え方は非常に上手

 

子供でも扱えるプラスチック製の安全包丁を二人に渡し、横で同じ行程をしながら教えて行く

 

「え〜と…鶏肉をタレに漬けて揉む…か」

 

ガリバルディは竜田揚げの下準備をしている

 

タレが出来上がり、袋に入れて鶏肉を放り込む

 

普段の言動とは真逆で、結構上手に竜田揚げを作って行くガリバルディ

 

「はいっ‼︎これできのこさんの下準備は完了です‼︎」

 

普段基地で下準備のお手伝いをしているからか、ひとみといよは中々の腕前の切り方できのこの下準備を終えた

 

「ほ〜ちぉ〜おきあす」

 

「あいっ」

 

ひとみといよは絶対包丁を振り回したりしない

 

基地でもそうだが、包丁を使っていいのはキッチンだけ

 

作業が終わればその場に置き、大人が包丁を片付ける

 

そうすれば、貴子さんが喜んでくれるからだ

 

「では、今日はこれでおしまいです。よく頑張りましたね⁇」

 

「あいがと〜ごじゃいあしたっ‼︎」

 

「またおねあいしあすっ‼︎」

 

大鯨のお料理教室は、少しずつやって教えて行く

 

大鯨自身もそこそこ助かっており、それに大鯨は二人に借りがある

 

旦那と再び逢わせてくれた事を、ずっと感謝している…

 

 

 

 

パイロット寮を出た三人は、駄菓子屋に来た

 

「そうだそうだ‼︎思い出した‼︎ヒトミ、イヨ、好きなん買えよ⁉︎」

 

「あににすう⁇」

 

「たっかいあつ‼︎」

 

いよはそれを聞き、足柄の所に行く

 

「嫌な予感がすんぜ…」

 

「はげのちぉこえ〜と、はこでくだしゃい‼︎」

 

「箱で下さいだぁ⁉︎」

 

「ちょっと待っててね〜…よいしょっ…あたた…」

 

足柄がカウンターから立ち上がり、奥に向かう

 

「ひとみこえにすう‼︎」

 

ひとみが持って来たのは、飴玉が沢山入ったプラスチックのケースを二つ

 

一個500円だ

 

「案外安いな…よしっ‼︎ヒトミはこれだな⁉︎」

 

「いよちゃん、これかな⁇」

 

「そえ‼︎」

 

帰って来た足柄がダンボールで抱えていたのは“世界のお坊さんカードチョコ”

 

いよは何故かこれが好きだ

 

駄菓子は外部から仕入れているのだが、バイヤーでさえ「案としては奇抜で良いのですが、まぁ売れないでしょう」と、呆れ半分笑い半分で置いて行った

 

まさかここにファンがいるとも知らず…

 

「幾らだ⁇」

 

「50円が20袋入ってるから1000円ね‼︎」

 

「良かった…」

 

「もひとついくか⁇」

 

「今日は一つだけだ。じゃあこれ」

 

ガリバルディは千円札を二枚足柄に渡した

 

ひとみは両脇に飴玉の容器を抱え、いよは何処から出したか分からない紐で中々綺麗に背中に結ぶ

 

「ヒトミとイヨはこれからどうすんだ⁇」

 

「もひとついきあす‼︎」

 

「こえ、よこしゅかしゃんのとこおいてかあ‼︎」

 

そう言って、ひとみはガリバルディに飴玉の容器を一つ渡した後、ガリバルディと手を繋ぐ

 

いよも何も言わずにガリバルディと手を繋ぎ、執務室を目指す

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