艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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290話 ATAGO(3)

横須賀に着き、ジープを返す

 

「また元帥に言われますよ⁇」

 

「これ位しか吸うタイミングがないんだ。見逃してくれ‼︎」

 

「ふふっ‼︎了解です‼︎」

 

普段真面目にするとこう言う時に便利だ

 

「レイ君は真面目なのかヤンキーなのか分かんないね〜」

 

発着場付近で待っていてくれたのは大淀博士

 

「愛宕の秘密は分かったかい⁇」

 

「分かるもなにもっ、最初から答えは出てる」

 

途中で買ったホットコーヒーを大淀博士に奪われながら、俺達は執務室に向かう

 

「もう確証を得たんだね⁇」

 

「行く前から既にな。後は出生を知りたかったのと、愛宕本人に聞くだけだ」

 

「大淀さんはまだ分かんないや」

 

話しながらコーヒーを返そうとする大淀博士だが、俺が軽く顎を前に出すと、そのまま飲み続けた

 

「大淀さんに出来る事は⁇」

 

「愛宕に話を聞いている間、赤城を探しといてくれ」

 

「オッケー‼︎任せて‼︎」

 

大淀博士が赤城を探しに行き、俺は執務室に入る…

 

 

 

「お帰りなさい」

 

「ただいま。おっ、愛宕‼︎」

 

「こんにちは〜‼︎マーカスさん‼︎」

 

《お帰りなさい、マーカスさん‼︎》

 

「松輪と会えたか⁇」

 

《ウンッ‼︎粘土したよ‼︎》

 

横須賀のデスクの上のボーちゃんを撫で、愛宕の方を見る

 

「愛宕。先に言っておく。信用しない訳じゃないんだ」

 

「分かってる‼︎」

 

「私は席外すから、終わったら教えて頂戴」

 

横須賀が執務室から出て、愛宕をソファーに座らせる

 

「すまない」

 

ボーちゃんを持ち、愛宕の頭に乗せる

 

「謝らないで⁇私が悪いもの。もっと早く言うべきだったわ…この子を頭に乗せればいいの⁇」

 

《ボクが愛宕さんの考えてる事を言うんだ‼︎》

 

「ふふっ‼︎宜しくね‼︎」

 

愛宕が目を閉じ、尋問が始まる…

 

 

 

「愛宕。自分がいつからスパイだと知っていた⁇」

 

《最初からよ。最初は本当にビックリしたわ⁇目標であるアレンが私を保護したんだもの》

 

「本部との通信を遮断した理由を知りたい」

 

《アレンはきっと、私が必要なんだと思ったの。みんなが心の拠り所や、目標を持ってるのに、アレンは無いように見えたの。だから、私の為に戦って欲しいって言ったの》

 

「どのタイミングで遮断しようと思ったんだ⁇」

 

《アレンと基地の外でお昼を食べた時ね。あぁ、私はこの人を利用するんじゃなくて、この人の傍に居て支えてあげなきゃ…そう思ったの。完璧に遮断したのは、アレンが将来私とアクセサリーショップをするって言った時ね。あぁ、私、別の生き方をしても良いんだって思えたの》

 

「本部に情報を伝達した事はあるか⁇」

 

《ないわ。だけど、収集していたのは事実よ⁇アレンの部屋で、アレンが開発していた設計図を勝手見たもの。だけど、アレンは私に見せてくれて、自分の夢を教えてくれたの》

 

「アレンはどんな奴だ⁇」

 

《私を鳥カゴから救ってくれて、私を必要としてくれる旦那さんよ⁇》

 

「アレンは愛宕と夫婦でいたいらしい」

 

《こっちからお願いするわ‼︎》

 

「最後の質問だ。少し話はズレるが、俺は最初から愛宕を疑っていたと思うか⁇」

 

《思わないわ。マーカスさんなら、艦娘は愛した人じゃないと子供を身籠もらないと分かっているはずだもの。私はアレン以外に身籠もるつもりはないわ》

 

「OK。ありがとう」

 

ボーちゃんが外れ、愛宕は目を開けた

 

「どうだったかしら⁇」

 

「色々申し訳ありませんでした…」

 

幾らボーちゃんの力とはいえ、洗いざらい出て来た挙句、アレンにゾッコンと来た

 

疑っていないとは言ったが、ほんの少しは疑っていたからこんな事をした俺が申し訳ないくらい、愛宕はアレンを心底愛している

 

それに、アレンもだ

 

出る前に「“夫婦”の揉め事に関わるとロクな事ない」と言った

 

愛宕が敵であると疑いが出た奴が言う言葉ではない

 

それに、愛宕は最後に俺が愛宕が敵ではないと確証していた事を答えてくれた

 

艦娘は愛した人じゃないと子供を身籠もらない

 

愛宕はアレンとの間にアイちゃんを産んでいる

 

愛宕がアレンを愛していなければ、アイちゃんは産まれなかったはずだ

 

「アレンが酔っ払いになってるんだ。行こう」

 

愛宕はボーちゃんを胸の前で抱えながら、医務室に向かう

 

「幸せなポジションだな⁇」

 

《このボディで良かったと思う‼︎》

 

ボーちゃんは愛宕のお腹辺りで抱えられ、頭には愛宕の胸が乗っている

 

「ふふっ‼︎変態さんにはオシオキよ‼︎」

 

ボーちゃんは愛宕の胸を更に乗せられる

 

《マーカスさん‼︎これがマーカスさんの言ってる幸せな死に方⁉︎》

 

「そうだっ。是非とも場所を代わって頂きたい‼︎」

 

焦っているが、ボーちゃんは実に幸せそうな悲鳴を上げている

 

「マーカスさんはジェミニさんにして貰ってね〜⁇」

 

「あいつの場合は本当に死にかけんからな…」

 

「《して貰うんだ》」

 

愛宕とボーちゃんの意見が合う

 

「さ、着いた」

 

「流したわね」

 

《流したね》

 

医務室に着くと、親潮と横須賀がアレンにごはんを食べさせていた

 

「マクレガー大尉、口を開けて下さい‼︎」

 

「そうよアレン。美味しいわよ⁇」

 

「じ、自分で食う‼︎」

 

アレンの前にはチャーハンがある

 

親潮がレンゲで掬ってアレンの口元に持って行っているが、アレンは照れているのか口を開けず、横須賀に同じ行為をされて自分で食うと言っている

 

「ちゃんと食べて下さいね⁇」

 

「じゃないと磯風の作った焼き魚食べさせるわよ」

 

「磯風ちゃんの作った焼き魚も食べてみたいもんだ」

 

「磯風‼︎あら‼︎お帰りなさい‼︎」

 

「愛宕…」

 

ようやく俺達に気が付いた三人

 

アレンは気まずそうにしているが、横須賀と親潮は既に分かっている様な顔をしている

 

「さ、親潮⁇磯風に焼き魚を頼みに行きましょう‼︎」

 

「はいっ‼︎ふふ…」

 

「後は任せるわ」

 

そう言って、横須賀は俺のポケットに間宮の券を入れて医務室を出た

 

「すまん、レイ」

 

「気にするな。俺とお前の仲だ。それに、謝るのは俺の方だ。夫婦の喧嘩に横槍を入れた」

 

アレンのチャーハンの横に調べて来た資料を置く

 

「後は夫婦のお話だな。ボーちゃん、行くぞ〜」

 

《オッケー、マーカスさん‼︎》

 

愛宕の手からボーちゃんを受け取ると、ボーちゃんは俺の肩に移動する

 

「バイビーアレン‼︎」

 

《バイビー‼︎》

 

「ありがとう、レイ」

 

医務室の扉を閉じ、今度は調理室を目指す…

 

 

 

 

「すまん…愛宕…」

 

「言わなかった私が悪いの…許してなんて言えないわね…」

 

「いいんだ…」

 

「敵だったのは本当よ。そこに書いてあるのも、全部本当…」

 

アレンは資料を隅に置き、愛宕の目を見た

 

「また、俺と夫婦でいてくれるか⁇」

 

「勿論よ‼︎さっ‼︎チャーハン食べたらデザートに行きましょ‼︎はいっ、あ〜ん‼︎」

 

「あ〜」

 

愛宕のあ〜んには素直に口を開けるアレン

 

「帰ったら、ネルソンにも説明するわね⁇」

 

「言いたくなければ言わなくていい。俺達だけの秘密があってもいいじゃないか⁇」

 

すると、愛宕は顔をしかめる

 

「ネルソンとは対等でいたいの。隠し事もなしよ。ネルソンはそんな所を突いて来る人じゃないでしょ⁇」

 

「そうだなっ」

 

「さっ‼︎行きましょ‼︎」

 

二人は繁華街へと向かう

 

この後、二人はラバウルに帰ってネルソンに事実を話すが、ネルソンの返答は…

 

「そうか…辛いのによく話してくれたっ‼︎余はいつであれ愛宕の味方だっ‼︎愛宕がそうしてくれたから、んなっ‼︎これを聞いたからと関係が崩れる事はない‼︎心配するなっ‼︎」

 

それどころか、ネルソンの昔話まで話してくれた…

 

 

 

俺とボーちゃんが調理室に向かって30分後に、アレンがいたベッドに運ばれた話は聞かないで欲しい…




愛宕…アレンの嫁

ラバウルにいるアレンの、良く出来た金髪のお嫁さん

何処かの組織に潜入特化に造られてアレンの元に行くが、アレンに愛されてスパイを止める

何処かの組織に所属していた際は“ATAGO”と呼ばれていた

A…Attack
T…Target
A…Assassin
G…Grace
O…Other

の、略

本来は目標に接近し、攻撃及び暗殺を行う気品のある人類とは別の存在として造られるが、潜入して情報を奪取する方が向いていた為、潜入特化型となった

今では可愛いお嫁さん

ネルソンは綺麗なお嫁さん
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