異端の武芸者   作:零譜

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始まりの続き

引っ張られ続ける少年、引っ張り続ける女性。

その奇妙な光景の中の一人としてみられたくないのか5m程離れて歩く男性。

 

男性の努力むなしく、一つの団体と見える奇妙な光景を運良く見られることは少なかった。

見られたとしてもどう見ても誘拐現場の途中の少年を助けようと動き出そうとする者はおらず、女性のただならぬ雰囲気に飲まれて即座に離れるか目を離すかの二択以外の行動をとることはなかった。

 

「…どこまで行くのですか?」

 

男性から言われても続けていた抵抗をする事を諦めてから15分ほどが経とうとしている頃に黙っていた少年が流石に気になったのかしびれを切らして少年が問いかけた。

 

「ん~?分かんないかな?」

 

「一応、候補は出ていますが認めたくないと言いますか…」

 

言いにくそうな少年は頭の中で可能性を否定したがっている。

それでも少年達は街の中央に向かっている。

そう、街の頂、都市の女王が住む城へと向かっているのだ。

 

「…お前の予想通りだろう。」

 

方向的には横にいる男性が少年の言葉に応える。

流石に不憫に思ったのか男性は女性に話しかけた。

 

「そろそろ離してやったらどうだ。」

 

「ん?あ~…逃げない?」

 

引っ張っていたこと自体、忘れていたような反応を示した後、少年に問いかけた。

少しばかりげんなりした様子で少年は応えた。

 

「…ここまで引きずられて今更どこか行こうなんて思いませんよ。」

 

抵抗も無駄だったし。と心の中で付け足しておいた。

その言葉に満足したのか女性は少年を離 すと喋り出す。

 

「まぁ、離したところでもう着いちゃってるんだけどね。」

 

「随分と長く引きずられたものですね…」

 

やや黄昏た様子の少年を背中を押しながら女性は城の中へと入っていった。

男性はそのまま立っていたが門が閉じきったのを確認した男性は身を翻し家へと帰っていった。

 

「まさか女王陛下だったとは…」

 

「驚いた?」

 

呆気にとられた少年は玉座の前に立ち、先ほどの私服であっただろう服から正装に着替えた女性は玉座に座っていた。

 

「…何故、女王陛下が…」

 

「アルシェイラ」

 

女性が少年の話を遮り、言葉を挟み込んだ。

 

「…は?」

 

不遜だと思われるかもしれないがこの場には2人以外居らず、さらに突拍子もないことを言われたためこのような言葉使いとなった。

 

「だーかーらー、アルシェイラ。

アルシェイラ・アルモニス。私の名前よ。」

 

「…教えられてどうしろと」

 

嫌な汗が少年の頬を伝い落ちる。

 

「もちろん、呼びなさい。

貴方に拒否権は無いわよ?」

 

「不敬罪で処されたりしませんか…?」

 

「呼ばないと処しちゃおうかな?」

 

近いうちに首が飛ぶビジョンが頭の中に鮮明に浮 かぶ少年であったが呼ばないと今とばされてしまうので覚悟を決めて呼ぶことにした。

 

「何故、アルシェイラさんがあんな時間に居たんですか?」

 

少年がその言葉を口にするとニコニコしていた女性…アルシェイラが笑みを深くした。

 

「やっぱり気付いてなかったんだね?」

 

少年は身に覚えのないことを言うアルシェイラに首を傾げるしかない。

 

「…うん。決めた!

貴方、やっぱり私の家族になりなさい。」

 

少年は聞き間違いであってほしいと思うような言葉がアルシェイラから少年へと届いた。

そして相手も同じ、シチュエーションも変わらぬまま本日2回目の言葉を言うことになった。

 

「…は?」

 

確かに引き取るという中の一つの手段としては正しいのだろう。

先程の男性も自分より化け物だといったのだ。

選択としては間違っていないのだろう。

しかし、少年は聞かなければいけなかった。

 

「………ませんか。」

 

俯きながら出された声は双方が思った以上にか細く、アルシェイラに届くことなく消えていった。

 

「ん?」

 

微笑みを浮かべたアルシェイラは少年のところまで行き、包み込むように抱きしめて聞き直した。

 

「…僕を…捨てませんか?」

 

アルシェイラは内心驚き、憤慨してい た。

先程まで気丈に何事もなかったかのように振る舞っていた子が一つの言葉で感情の捌け口を手に入れただけでここまで儚く、今にも消えてしまいそうになるほど弱っていたのかと。

そして、ここまで弱っていた事に気づかなかった自分と少年を捨てた親にどうしようもないほどに腹が立ったのだ。

 

「…捨てないよ。アイツが言ってたでしょ?

私は君以上の化け物だって。」

 

アルシェイラの言葉に少年は泣き、ぐしゃぐしゃになった顔を上げ、アルシェイラを見た。

 

「貴方が望むなら貴方が居た家を潰してあげる。

貴方が望むなら家族だってあげる。

貴方が望むなら彼女にだってなってあげる。

最後のは…無理があるかもしれないけどね?」

 

ウインクを決めて和ませようとするアルシェイラに少年はクスリと笑った。

 

「ふふっ…でも、どうしてそこまで…?」

 

少年に問われたアルシェイラは至ってシンプルに応えた。

 

「家族だから」

 

先ほどまで漂わせていた冗談を全て無くし、真摯に答えるアルシェイラに少年は損得抜きにこの人の剣になろうとこの時決めた。

 

「あ、あと出来れば彼女でお願いします。

好きです。アルシェイラさん」

 

「ふえっ!?」

 

最後にアルシェイラに爆弾を落とされたが

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