異端の武芸者   作:零譜

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五年後

 

今、クロウディアの目の前では戦いが繰り広げられている。

天剣授受者レイフォンと挑戦者ガハルドだ。

天剣授受者になった者はその瞬間、責任と義務が与えられる。

最強であり続ける責任、自立型移動都市(レギオス)を襲う汚染獣を撃退する義務、そして挑戦者が出てきたときに()()()をする義務だ。

言わずとも天剣授受者はクロウディアの居る自立型移動都市(レギオス)グレンダンの武芸者の中でも最高位を表す言葉だ。

汚染獣が襲ってきたら武芸者であるならば農家が食料を作るように、武芸者と名乗るのならば自分達の住む自立型移動都市(レギオス)を襲う汚染獣を撃退しなければならない。

汚染獣という化け物と対等に、いや、凌駕するほどの力の持ち主(化け物)が人間と戦うのに手加減をしなければ周りの人間に恐れられ、排除されてしまう。

天剣授受者は普通の武芸者、ひいては一般人に紛れ、化け物と気付かれてはいけない。

これが()()()の常識だった。

クロウディアはこれを堂々と破った。

そもそも、クロウディアの容姿はどう見ても15歳の容姿ではない。

幼い頃の容姿も街の者は全員 知っている。

しかし、2年後、公の場に出てきたクロウディアの容姿は成長期では説明が付かないほどに成長していた。

クロウディアはそのことを問われると隠すどころか堂々としながらも、照れながら「一刻も早くアルシェイラに釣り合うよう男にになりたかったもので…ズルしちゃいました。」と言った。

以前から街に出て民と遊び、これまで前例にない程の信頼を街全体で勝ち取っているクロウディアはこの事で一時恐れられそうになった。

だが、照れながら嬉しそうに話すクロウディアに自分達が信じたクロウディアのまま、なにも変わってなどいないのだということを理解した。

さらにクロウディアが強引に引き連れた天剣授受者が揃い踏みでクレープを食べる光景など微笑ましい光景が繰り広げられたため恐怖心など微塵にも出ていなかった。

 

この出来事により、天剣授受者ほどの武芸者は化け物じみた、しかし自分たちと同じ()()のような人間という認識になった。

 

 

挑戦者ガハルドがレイフォンを脅迫し天剣授受者を辞めさせようとしている。

 

 

天剣授受者の中で唯一の念威繰者であるデルボネ・キュアンティス・ミューラからアルシェイラ、天剣授受者、そしてクロウディアに伝えられたのはこの戦いが始まる前日である。

この晩、全員が集まり、どのように始末するかを考えていた。

夜が明け、やけに思い詰めた顔をするレイフォンをクロウディアが後ろから抱え込み拉致し、全員がいる状態でレイフォンに作戦を話した。

とは言ってもレイフォンがやることは合図があるまでガハルドは倒さず、戦いを引き延ばすこと。

合図があれば、殺さず、肉体的に損傷を与えず気絶させる。

これだけだった。

レイフォンの一番の友と言えるほどの仲のクロウディアに諭され、納得はせずとも実行には移した。

その間、クロウディアは何をしていた か。

これまでの出来事や、民に心配されるほどに身を削りながら頑張っている姿がを見て、皆に絶大な信頼を得ているクロウディアがレイフォンの事情を話し、今の境遇を要所要所で話してまわった。

本来であれば蔑まれ、疎まれるはずの内容であるにも関わらず街の民は一切その気配がない。

それどころか一般的に言えばやり方は汚くとも正しいことをしているガハルドに怒りさえ覚えている。

近くにいた20人程になるべく多くに人に伝えてほしいとクロウディアが頼むと民達の行動は早く、20人が40人、40人が80人と尋常ではない早さで広まっていた。

クロウディアは自分達のことに民が一丸となって協力してくれているその事実に感極まって泣きそうになり顔を伏せていたが、近くにいた民がクロウディアに試合中のレイフォンの所 へ行ってやれと後押しされ、顔を上げると周りの全員が口々に同じ事を言い、中には背中をたたいたり頭をなでたりされながら励まされたため、この 場を全員に任せ、走っていった。

その後、多くの人が住んでいる自立型移動都市(レギオス)、槍殻都市グレンダンの全域に広まるのに、そう時間はかからなかった。

 

クロウディアは闘技場へと戻ってきたとき、真っ先にレイフォンに合図を送った。

その合図を受け取ったレイフォンは先ほどからの戦いの流れを組み、自然な流れでガハルドを気絶させた。

 

レイフォンはクロウディアに連れられ、ガハルドが眠る医務室へと向かっていた。

 

「あの、クロウディア様」

 

着いてきているレイフォンが聞きたくて仕方ないといった感じで声をかけた。

 

「何をしたか。かな?」

 

質問を投げかける前に答えられ、レイフォンは少し驚いたが肯定の意味で沈黙を返した。

 

「悪いとは思ったが君の過去、今の境遇を民に話した。

これくらいしか君を助ける方法が幼い私には見つからなかったからだ。」

 

その言葉を聞いたとき、レイフォンは驚きはしたが心の中で「やっぱり…」とも思っていた。

クロウディアは守ると決めた者は本人の了承をなく動く。

それが結果的に本人の秘密をバラそうとも必死に考えて最終手段としてやるため、やられた方も怒るに怒れないのだ。

まして、天剣授受者はクロウディアの性格、人柄を理解しているため、最初から怒る気も起きないのだ。

 

暫く、クロウディアはレイフォンに雑談するように闘技場に居なかったとき何をやっていたかを医務室へ向かう道中、話していた。

そして医務室の中へと入り、ガハルドの眠るベッドに着いた。

 

「結果としては…おっと、起きるな。」

 

クロウディアが起床時の僅かな剄の乱れに反応し、話をやめた。

 

「う…こ、こは…」

 

ややかすれた声色で話すガハルドにクロウディアは言葉を返す。

 

「医務室だ。」

 

「!…クロウディア閣下…」

 

「俺だけではないよ。」

 

クロウディアがそう言うとガハルドは視線をさまよわせ、レイフォンを見つけた。

 

「ヴォルフシュテイン…!」

 

苦々しく呟くガハルドにレイフォンは答えず、ただただ沈黙を返した。

 

「さて、君がレイフォンを脅迫しようとしたことは此方も知っている。

そして、君が此処から出るときにはも う、君の作戦も意味を成していないだろう。

危険度はかなり低いとは言え天剣授受者を脅迫したんだ、覚悟の上と、俺は理解しているが… 相違はないかな?

ガハルド・バレーン」

 

問いかけるクロウディアの言葉にガハルドは一度頷くことで肯定をした。

 

「いいだろう。

では、都市外追放を命じる。

これは民達の総意でもある。

都市を守る12の剣を実力も無しに脅か した罪はお前が考えるよりも重く、民の心 に写っている。

一ヶ月の猶予を与える。

それまでに荷物を纏め、出ていくといい。

以上だ。」

 

クロウディアは言い終わるとレイフォンを残し、出ていった。

レイフォンは言葉は発することなく、お辞儀をして出ていった。

一人になったガハルドは後悔したような表情ではなく、晴れ晴れとした表情をしていた。

 

 

「とは言ってもレイフォンが騙されやすいって言うのは事実だな。」

 

顎に手を当てながら歩くクロウディアの後ろをレイフォンが着いてきている。

剄で成長を促しているクロウディアの後ろを歩くレイフォンは兄弟のように見える光景だった。

 

「はぁ…そうですか?」

 

首を傾げ心底疑問に思ったような表情で聞き返すレイフォンにいきなりクロウディアは振り返る。

 

「そうだ!レイフォン。

学園に行こうか!」

 

またもやいきなり言い放つクロウディアに対してレイフォンは沈黙を返すしかなかった。

城の中を歩きアルシェイラに事情をクロウディアは話した。

 

「ん~、クロも行くの?」

 

恒例となっている上目遣いでクロウディアを見るアルシェイラは不安そうに言う。

 

「できれば俺も行きたいと思ってる。

シェイラの隣に立つためには普通の人たちがするような経験が足らないと思うんだ。」

 

真摯なクロウディアの眼差しにアルシェイラは即座に頷きそうになっていたが踏みとどまり条件を提示した。

 

「条件があるわ。

グレンダンの王としていくこと。

帰ってきたらすぐに結婚すること。

定期的に私達の共有している精神世界に入ること。」

 

「それだけか?」

 

思った以上にあっさりとした条件のた め、クロウディアは拍子抜けしたように聞いた。

 

「うん。

あんまり束縛しすぎても私が嫌だしね。 」

 

「分かった。

必ず守るよ。」

 

こうしてクロウディア、レイフォン両名は、レイフォンの懐事情の関係上で奨学金が必須だったため、何とか奨学金制度の試験にて合格することのできた学園都市ツェルニへと向かうことになった。

 

「何でなんだ…」

 

「すいません…」

 

クロウディアの不満を残して…




結構書き直したりしてました。
どのくらいかなーって文字数見たら3500でした。

ちょっとショックです。
やだ…私の文字…少なすぎ…?
やっぱり携帯上げって疲労量に対して文字が追いつかない…!

そんな第4?話でした(*・ω・)ノ
次から本編のツェルニ編です。

おわかりかと思いますが、ガハルドさん生存につき、ゴルネオさんぷんぷんルート無しです。

シャンテをこのままゴルネオにベッタリか悩み中

では、近いうちにまた上げます。
次がストック最後だった気がします。
少ないって思うかもしれませんが、pixiv重くってやる気起きなかったんです。

こっちで頑張ります
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