異端の武芸者   作:零譜

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遅くなりました。
多分、待ってねーよ的な言葉がくるだろうと思う今日この頃

察して欲しい、宅配は疲れが大きいんだという事を…
そんな中書いた一本


第十七小隊へ

学園都市ツェルニ。

現在のセルニウム鉱山の保有数、1ヶ所。

現在の生徒会長、カリアン・ロス。

 

学園都市にはグレンダンのように都市の長が居ない。

そのため代わりを務めているのが学園都市としての長、生徒会長だ。

なぜこんな説明をしているかと言われればクロウディアとレイフォンがその生徒会長の部屋の中に居るからだ。

因みに騒ぎの責任をとらされると思っているレイフォンの顔は青い。

 

「まずは、挨拶をしよう。

私は、学園都市ツェルニの生徒会長、カリアン・ロスだ。

よろしく頼むよ。」

 

レイフォンの顔を青くしている本人は嫌みとばかりにレイフォンに向かって生徒会長を押してくる。

そしてそんな生徒会長の周りには生徒会のメンバーと思われる人が居た。

 

「あ…槍殼都市グレンダン出身のレイフォン・アルセイフです。」

 

「なるほど、グレンダン出身か、武芸の本場だね。

彼が強かったのもそこが大きいのかな?」

 

にこやかに話すカリアンにレイフォンはまだびくびくしながら話していた。

そんな話の中心でもあるクロウディアはというと…

 

「…zzzZZZ」

 

とても健やかに寝ていた。

アルシェイラが居たら写真を撮りまくるであろう寝顔を男二人にさらしていた。

かたやびくびく、かたやスヤスヤというカオスな場所にノックと共に来訪者が現れた。

 

「失礼します。」

 

それはクロウディアによる制裁をしていたとき駆けつけた金髪の女性だ。

彼女は生徒会長の前で寝るクロウディアを見つけると理解できないかのように固まった。

 

「それで?

用件は何かな?

ニーナ・アントーク君?」

 

生徒会長、カリアンは実に(レイフォンにとって)いやな笑みをニヤニヤ浮かべながら金髪の女性、ニーナ・アントークへと聞いた。

 

「…っは!

用件というのはこの…えと、こいつ名前なんだ。」

 

カリアンの言葉に固まった状態から戻ったニーナはクロウディアを指差し、レイフォンへと小声で聞いた。

 

「クロウディアです。

クロウディア・アルモニス。」

 

「クロウディアを…クロウディアをウチにください!」

 

「…は?」

 

ニーナの言葉に固まったレイフォンは慌ててニーナへと詰め寄る。

 

「ちょ…ちょっと待ってください!

どう言うことですか!」

 

レイフォンの疑問にはニーナではなくカリアンが答えた。

 

「レイフォン君は都市間戦争を知っているかな?」

 

「それは、もちろん。

どの都市に住んでいても逃れることは出来ない宿命ですから。」

 

「ではこの都市が…」

 

レイフォンが答えたことに満足したかのように頷き、次の質問を問いかけようとしたとき、声がその流れを断った。

 

「この学園都市ツェルニのセルニウム鉱山の保有数は未来には絶望的な1つのみ。

過去の戦争には一切勝てず、今年も負け、都市として終わるのではないかという噂も飛び交っている。

以前の戦争で屈辱を味わった一人の女性が都市と戦うため、汚染獣と闘うために存在する小隊を十六までしかなかったものを十七へと増やした。

先程の()の格闘戦の実力から戦争でも通用する実力なのではないかと思った。

そのため、生徒会長室まで赴き、直談判をしに来ている。

違うか?

第十七小隊 隊長 ニーナ・アントーク先輩」

 

「起きていたんですか?殿下」

 

カリアンの話を遮り現状、そして憶測を織り交ぜた話を終えた後、ニーナの方を向いたが、レイフォンに問いかけられたため、クロウディアはレイフォンの方を向いた。

 

「あぁ、ああも五月蠅くされては眠れるものも眠れん。

無理やり起こされたようなものだ。」

 

呑気に話している二人とは別に、カリアンとニーナは絶句していた。

カリアンは寝ていると思っていたクロウディアが、一目おいている武芸者であり、気配を読むことに長けているレイフォンとニーナに一切悟らせることなく起きていたことに。

ニーナは此処に来た経緯と自分の過去を知らないはずのクロウディアの口からでたことに。

二人はそれぞれの理由を持って絶句していた。

 

「その反応は肯定ととるぞ、ニーナ先輩。

その件を含めて話すとしよう。

結果から言って、俺が小隊に属することはあり得ない。」

 

「なっ…!」

 

「まぁ待て、これから訳を説明をする。」

 

クロウディアのあんまりな言い方にニーナは口を挟みそうになるがクロウディアに止められた。

 

「第一としてメリットがない。

これはどうあがいても君ら学生()()では俺には何ももたらされないことを意味する。

第二に目的がない。

そもそも俺がここに入学してきた理由は、レイフォンの付き添いとしてきているだけだ。

目的なぞこの学園で出来うることはない。

第三に…これが問題だな。

そもそも俺が小隊に入っては全武芸者が鍛錬している意味を無くすことになりかねん。」

 

途中、ニーナが何度も口を挟もうとするも、クロウディアが制するように続きを話したため途切れることはなかった。

しかし、終わったことにより一気に吹き出した。

 

「ちょっと待て!!

学生程度とは何だ!

目的が無い!?

意味を無くす!?

ふざけているのか!

お前程度の武芸者に…!」

 

ニーナはその続きを言えなかった。

いや、言えなくされた。

ただ一つの間違い。

あの程度の喧嘩で出したクロウディアの力を、ニーナが実力の全てと勘違いしたがためにでた言葉が、レイフォンの堪忍袋の緒を切ったためにレイフォンから発せられる威圧感(プレッシャー)に喋ることも出来なくなったのだ。

この威圧感(プレッシャー)を当てられているニーナは勿論、一般人であるカリアンにも届き、誰一人として言葉を発することが出来なかった。

 

「レイフォン」

 

ただ一人、レイフォンの親友であり、剣の所持者でもあるクロウディアを除いては。

クロウディアが声をかけたことにより、レイフォンの威圧感(プレッシャー)は微塵も残さず霧散した。

 

「なに、レイフォンの威圧感(プレッシャー)に当てられるのは悪いことではないんだよ。

一般人にも分かるようなレベルで出したんだ。

当てられなければおかしい。

さて、先輩の顔を立てて説明をするとしよう。

まず、学生程度と言ったことだがこれはそのままの意味だ。

この都市の中で、汚染獣と戦闘した経験のある奴は何人いる?

この都市の中に、普通の都市の戦争を体験した者は何人いる?

その経験がない時点で教わることなどありはしない。

経験があったとしても10歳にも満たない状態から汚染獣を殺し続けている俺が、そんな奴らに劣るわけがない。

二つ目、目的がない。

正確に言えばあることはある。

自分の力を高めることだ。

だが、自分の実力より下にかけ離れた奴を相手に強くなれるか?

そういう意味だ。

三つ目、戦争を()()で終わらせる事の出来る実力者が居たら人間はどうなると思う?

怠惰に走るんだよ。

「あいつが居るから真剣にやらなくても勝てる。」

本人が意識せずとも、心の中で無意識に思うんだよ。

そしてそれが当たり前になる。

それが大人であったのなら更に切磋琢磨しあうのだが、学生ではいけない。

楽を憶えるとずっと甘えてしまう。

そして、俺たちが卒業と同時に負け続け、結局破滅だ。

それでは入る意味が意味がないんだよ。

…此処で一つ話をしようか。

レイフォンを君らの小隊とやらに入れよう。

レイフォンは個人技ならば一級品の腕前だ。

だが、逆に団体になるとどうも相手に実力の足並みを揃えることに気を取られすぎるきらいがある。

俺はそこを治して欲しいと思っている。

そして、君らは戦力が欲しいと思っている。

利害関係が結べると思えないかい?」

 

「なっ…!!そんなことが通ると思って…!」

 

「分かっていないようだね。

これは提案なんて温いもんじゃない。

決定事項なんだよ。

ニーナ()()

 

クロウディアの言葉に反応するのはニーナばかりで、嫌悪の念を抱いたであろうレイフォンも反応を示すと思われた。

しかし、実際にはレイフォンは何の反応も見せず、ただクロウディアの言葉を聞いていた。

そんな態度にカリアンは疑問に思い、聞いた。

 

「レイフォン君、君は…異論はないのかい?」

 

「ありますが?」

 

間髪入れずに返ってきた答えにカリアンは驚いた。

そこまで嫌なのに一切の感情を見せない事に対して。

 

「嫌であろうとも、異論があろうとも、殿下の決定されたことです。

その事に対して僕ら()は必ず従います。」

 

従順。

 

ただその言葉だけが今のレイフォンに合う言葉だった。

あまりのやりとりにニーナは絶句していた。

そしてその光景に、カリアンは言わなくて良い言葉を言ってしまう。

 

「流石はグレンダンの王と天剣授受者と言うことか…」

 

その言葉を聞き取れたのは武芸者だけだった。

それでも十分すぎる範囲だった。

二人の武芸者(化け物)に言って良い言葉、発して良い言葉ではなかったのだ。

 

「貴様、どこで知った。」

 

レイフォンは威圧感(プレッシャー)が発せられている。

対してクロウディアはいつも通りだ。

そう、いつも通りのクロウディアがただ一つ、2mを越えるであろう大鎌を持っていたことを除けば、いつも通りだった。

そのことが不気味さを醸し出していた。

クロウディアの大鎌は後ろからカリアンの首をはね飛ばす寸前で止められ、レイフォンの刀は大鎌の隙間を埋めるようにカリアンの首を囲っていた。

此処までの過程を行った本人達以外が、自身の一生を全てを武芸に支払ったとしても、その目で捕らえることは出来なかっただろう。

 

「俺がグレンダンの王である事は知っていて構わない。

レイフォンも殿下と呼んでいるし、入学志願書にも一応書いてある。

だがその後がいけない。

天剣授受者はそう簡単に知れるもんじゃ決してない。

グレンダン市民か…あるいは、そう、脱獄者か…

前者はまずあり得ない。

グレンダンの全員の顔と名前を憶えているからこそはっきり言う。

貴様は知らない。

ならば残るは脱獄者だけだ。

脱獄者の顔なぞ憶える価値もないから憶えていない。

改めて問おう。

どこで知った。」

 

「答えによっては今此処で首をはねますのでお気をつけください。

最も、嘘なら問答無用ではねますが。」

 

肩に死神の手が掛かっているような状況で、小粋なジョークをかますような胆力をカリアンは持ち合わせてはおらず、正直に話し始めた。

ちょっと涙目だが。

 

「む…昔、旅行で他の都市に寄ったことがあるんだ。

その時汚染獣に襲われたんだ。

放浪バスに乗っていてよく見えなかったけど、卵のようなもので攻撃していたのを憶えている。

そこで汚染獣を撃退したのが三人の武芸者だったんだ。

その中の一人がレイフォン君で、グレンダンについて調べていたら新聞に天剣授受者と言う言葉とともに君の写真が載っていたんだ。

こ…これが真実だよ…

降ろしてもらえないかな…?」

 

(卵…三人…そんな戦闘一回しかないな。

インビークー戦。

過去の天剣が逃した老成六期の汚染獣、名付きのインビークーに対して天剣を三人使って殺した戦闘の詳細。

ましてやインビークーの攻撃の仕方まで知っていれば問題はないか。

しかしこの男、嘘は付かずとも全ては語らず、企んでいるな。

まぁ、この都市を繋げる為の算段だろうが…)

 

そんなことを思いながらクロウディアとレイフォンは武器を納めた。

 

「無礼を詫びよう。

しかし、天剣のことは軽々しく口にはしないでいただきたい。

グレンダンの者が言うのと、無関係の者が言うのでは天と地程の差があるのだから。」

 

クロウディアの雰囲気は一切変わっていない。

だからこそ、この場にいるレイフォンを除いた全員がクロウディアに畏怖を抱いていた。

何をしても、どんな行動をしても()()()()時と一切変わらないクロウディアの醸し出す異様な雰囲気に対して。

 

「さて、話は終わりかな?

であれば、俺は帰らせてもらうよ。

レイフォン、君はこの後の打ち合わせをしなさい。

皆さんと仲良くするんだよ?」

 

「はい、勿論です。

殿下の名を汚すこと無いよう気をつけます。」

 

「別にそこは気にしなくても良いんだが…

まぁいい、ではな。」

 

クロウディアはカリアン達に喋らせることはせず、雰囲気のみで察し、出て行った。

それを確認すると全員がため息を付いた。

レイフォンは剣としての自分からいつもの自分に雰囲気を変えるスイッチとして。

カリアン達はこの短い間に苦手となったクロウディアが出て行ってくれたことに対して。

それぞれの意味を持った溜め息は見事に重なった。

レイフォンはカリアン達の抱いていた雰囲気に、そして溜め息の意味に気付いていたが無視することに決めた。

ただ一つ、「皆さんと仲良くするんだよ。」と言うクロウディアの(めい)を守るために。

 

そしてその後、この部屋では第十七小隊にレイフォンが所属し、クロウディアはどういう扱いにするのか、レイフォン主導のもと、話し合いが続き、解散となった。

 




こんな感じでございます。
時間かけた割に少ないだろ?
こんな程度しかかけないのさ!
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