もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第13話

 

 

 

 

「うーん……いないわね、迷宮区には……」

 

「あの…アスナ。逃げないから降ろして……」

 

「ダーメ。その言葉を信用して何回逃げようとしたと思ってるの?」

 

「うぅ……」

 

アスナはユウを肩車してる状態だ。そのまま二人は迷宮区を後にして、その層の街でキリトを探すことにした。すると、ピクッとユウが反応した。

 

「どしたの?」

 

「おにいの匂いがする」

 

「あれ?このゲームって匂いとかあったっけ?あれ?」

 

「あっち!」

 

「ち、ちょっと!髪引っ張らないでー!」

 

で、そっちの方向に行くと本当にキリトが寝ていた。

 

「ホ、ホントにいた………」

 

アスナは若干呆れた後、キリトの元へ。ちなみにユウはスススッと肩車の位置から背中に移動して、おんぶしてもらった。すると、アスナに気付いて目を覚ますキリト。

 

「んあっ……?」

 

「ちょっとあなた、妹がいなくなってるって言うのによく呑気に寝てられるわね」

 

「あんたは……」

 

「いくらユウちゃんが強くてもね、まだ小学生の女の子なのよ?少しは気にかけてあげないの?」

 

「問題ないよ……。どーせ向こうから謝ってくる」

 

言いながら目を閉じるキリト。

 

「おにい、それどういう意味?」

 

「あ?」

 

聞き慣れた声がして、キリトが再び目を開けると、アスナに背負われてるユウが見えた。すると、少しムッとするキリト。自分以外の人プレイヤーにも背負われてるのに少しムカっとしたのだ。

 

「なんだ、アスナと一緒にいたのかユウ。………どういう意味って、そのまんまだよ。いつ戻ってくるつもりだ?」

 

「おにいが謝るまで、ユウは戻らない」

 

「あっそ……。言っとくけど俺は謝らないからな。このままじゃ、一生帰ってこれねぇなお前」

 

「は?まず帰ってくるのはおにいの方。めいんはユウ」

 

「はっ、今までお前がとれてこれなかったコミュニケーションを誰がとってやったと思ってんだ?」

 

「頼んでない。やろうと思えば自分で出来た。おにいこそ、寂しがりやのくせに大丈夫なの?前に『スグ……』って寝言で言ってるの聞こえたよ……?」

 

「はぁ?何言ってんのお前。あれは違うんだよ。スグが剣道の試合やってたからお前応援してる夢見てたんだよ」

 

「言い訳、へったくそ」

 

「は?」

 

「ち、ちょっと二人とも……」

 

アスナは焦り始めた。頭の中では、「ユウちゃんも反省してたし→ごめんなさい、おにい→俺の方こそごめんな」のチャートが出来上がっていたのに、今は「煽る→煽り返す→煽る→煽り返す→………(以下繰り返し)」となっていた。

どうやって収集付けようか迷っていると、喧嘩はさらにヒートアップする。

 

「なんだよ!小学生のうちからネトゲなんて始めてっからこんな事になってるんだろ!」

 

「おにいに言われたくない!未だに友達少ない癖に!」

 

「お前に至ってはいないだろうが!」

 

「中学に上がったら作るもん!」

 

仕方ないので、アスナは強行策に出ることにした。二人の顔と顔の間にスンッと突きを放つ。

 

「………………」

 

「………………」

 

で、にこりと微笑んで言った。

 

「とりあえず、ご飯食べよっか」

 

「「………はいっ」」

 

 

 

 

で、57層のどこぞの飯屋。三人の前には料理が置かれている。そのまま黙々と食事を続けた。

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

(き、気まずい!)

 

アスナは嫌な汗を流した。

 

(へ、変に仲直りさせてやるなんて言わなければよかった……この2人がこんなにメンドくさいなんて……)

 

自分がしっかりしなきゃと、気合を入れてアスナは二人に目をやった。キリトは黙々と肉を食べ、パンを取ろうとした。が、そのパンを先にユウがガッと掴んで口に運ぶ。で、ユウはフォークを握ってケーキの上のイチゴに手を伸ばした。が、そのイチゴはキリトによって食べられてしまう。で、お互い睨み合った。が、その二人に拳骨がおちる。

 

「だっ!」

 

「いっ!」

 

「いい加減にしなさい二人とも!あなた達、兄妹で何陰湿な争いしてんのよ!」

 

で、キッとユウを睨んだ。

 

「ユウちゃん!あなたはキリトくんと仲直りしたいんでしょう⁉︎それなのに昨日の会議の時といい、さっきの昼寝の時といい、態度がよくないわよ!」

 

「うっ……」

 

「キリトくんも!お兄ちゃんなら少し妹が生意気なくらいで怒らないの!」

 

「うっ……」

 

「分かったら!お互いに謝る!」

 

「「だが、断る!」」

 

「なんでそこでハモるの⁉︎」

 

あーもうっ!とアスナは自分の頭を掻きむしった。そのアスナにキリトが口を挟んだ。

 

「そもそもなアスナ。こいつももう今年で13だ。それなのにたかだかパフェの最後の一口ごときで怒るなんておかしい。少し甘やかし過ぎたんだよ。これもいい機会だ、兄離れの時期だろ」

 

「ふんっ。おにいのとーふメンタルでここまでやってこれたのは間違いなくユウのおかげ。おにいだって今年で15の癖に器がちっちゃい」

 

「おいユウ。言葉遣いに気を付けとけよ。リアルで母さんにまた勝手にオンラインゲーム始めたことチクってもいいんだぜ?」

 

「そんなの、とっくにわれてる。おにいこそ、部屋にあったエロ本提出されたいの?」

 

ダメだこりゃ……と、アスナが頭を抑えた時だ。

 

「きゃあああああ‼︎」

 

声がした。

 

「店の外だわ!」

 

アスナが言った時には、ユウとキリトは動いていた。が、お互いに顔を見合わせると、お互いに殴りかかった。

 

「俺が先だ!」

 

「いーや!ユウが先に……」

 

と、喧嘩する二人を両脇に挟んでアスナは店の外に出た。

 

 

 

 

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