もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第14話

 

 

 

 

三人が(ていうか一人が二人を抱えて)店から出ると、教会らしき建物の二階から縄で吊るされたプレイヤーの胸に剣が突き刺さっていた。

 

「早く抜け!」

 

キリトが声を上げるが、武器は抜けない。すると、ユウがアスナの肩によじ登った。

 

「アスナ、踏ん張って」

 

「はぁ?」

 

意図がわからないアスナ。だが、すぐに分かった。ユウはアスナを踏み台にして跳んだ。ロープを切るために教会の二階へ跳んだのだ。

 

「誰か、受け止めないと……!」

 

と、アスナが言いかけた時にはキリトは吊るされたプレイヤーの真下で待っている。そして、ユウが縄を切ろうもした時だ。パキィィィィンッッ………と、男は爆散した。が、すぐにキリトは次の行動に移っている。

 

「ユウ!デュエルのwinner表示を探せ!」

 

言われる前からやっているユウだったが「分かってる」とは返さなかった。

 

「……ダメだよおにい。いない……、なんの表示も、見えない……!」

 

「そんなはず……!」

 

だが、その場にユウの言う通りwinner表示は見えなかった。

 

 

 

 

教会の一階からユウが歩いて出てきた。

 

「協会の中には誰もいなかった……」

 

「逃げられたみたいね……」

 

アスナもつぶやいた。

 

「お前がさっさとwinner表示を見つけてればな。一流と二流の差だ」

 

「何も出来なかったおにいに言われたかない」

 

と、喧嘩する二人をニコニコしながら見るアスナ。キリトもユウも、視線で「なんだよ?」と問う。

 

「いやー。喧嘩してる割に、さっきはいいコンビだったなーって。二人とも合図号令無しで息ぴったりに行動してたから」

 

「「なっ……そんなわけっ」」

 

と、二人が反論しようとする前にアスナは続けた。

 

「そんなことより、どうするの?圏内PKなんてものがあったとしたら、早く対抗手段を公表しないと大変なことになるんじゃない?」

 

「それもそうだな……」

 

すると、アスナは含みのある笑顔を浮かべた。この事件を利用すれば、もしかしたら2人を仲直りさせられると思ったからだ。

 

「なら、解決までちゃんと協力してもらうわよ。2人ともね」

 

「分かったよ」

 

「任せろ」

 

キリトは頷き、ユウは親指を立てた。

 

 

 

 

「すまない。さっきの一件を最初から見ていた人、いたら話を聞かせて欲しい!」

 

大声を上げるキリト。すると、おずおずという感じで人垣から1人の女性プレイヤーが進み出てきた。

 

「ごめんね、怖い思いしたばっかりなのに。あなた、お名前は?」

 

「ファッツユアネーム?」

 

アスナとユウが聞いた。

 

「あ………あの、私、ヨルコっていいます」

 

「もしかして、さっきの……最初の悲鳴も、君が?」

 

と、キリト。

 

「は……、はい。私……さっき……殺された人と、友達だったんです。今日は、一緒にご飯食べに来て、でもこの広場ではぐれちゃって……それで……そしたら……」

 

涙ぐみながら口に手を当てるヨルコ。その様子を見ながら、ユウは聞いた。

 

「はぐれたって……この広場で?」

 

「え?うん……きみは?」

 

聞かれるが、無視してユウは続けた。

 

「二人は教会に用事があったの?」

 

「え、なかったけど……」

 

「じゃあ、なんでさっきの人は教会にいたの?」

 

「そんなの、私は……」

 

「それに、一緒にご飯食べに来たのにどうしてあの人、防具着けてたの?見た所の装備だと、狩りにきたように見えなかったけど」

 

「そ、それは………」

 

怯むヨルコと攻めるユウ。が、そのユウの肩にアスナが手を置いた。

 

「ユウちゃん。今はそんなことは関係ないわ。それよりも、殺された男の人のこと教えてくれる?」

 

「あの人……、名前はカインズっていいます。昔、同じギルドにいたことがあって……。今でも、たまにパーティ組んだり、食事したりしてたんですけど……それで今日も、この街まで晩ご飯食べに来て……。でも、あんまり人が多くて、広場で見失っちゃって……周りを見回してたら、いきなりこの教会の窓から、カインズが落ちてきて、宙吊りに……しかも、胸に、槍が……」

 

「その時、誰かを見なかった?」

 

「はい……一瞬、なんですが、カインズの後ろに、誰か立ってたような気が……しました……」

 

すると、またユウが聞く。

 

「友達が殺されてる途中なのに、一瞬だけ後ろに人が見えたの?よく気が付いたね」

 

「ユウ、黙ってろ」

 

キリトに言われて殴りかかるユウ。そのままウガアッと喧嘩が始まるが、誰一人止めることなく話は進んだ。

 

「その人影に、見覚えはあった?」

 

「………………いえ」

 

「その……嫌なこと聞くようだけど、心当たりはあるかな?カインズさんが、誰かに狙われる理由に……」

 

だが、ヨルコはそれに答えることはなかった。ただ、首を横に小さく振るだけだった。

 

 

 

 

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