ヨルコを送り、三人は帰り道に会議。
「さて、次はどうする?」
アスナが聞くが、ユウとキリトはメンチを切り合ったまま動かない。それを見て、はぁ……と、ため息をつくアスナ。
「あなた達ね、今は圏内PKについて考えましょ?そんな状態じゃ、謎なんて一生解けないわよ」
そんなこと知るか、とでも言いたげにそっぽを向くユウ。それとは対照的に、
「そうだな。とりあえずロープとこの剣を検証しよう」
と、キリトは言った。が、
「おにい、バカ、アホ、脳内お花畑、キリト」
と、ユウが罵倒する。
「な、なんだよ!」
「圏内PK可能の武器なんてあるわけがない。あったらただのクソゲー」
「そ、そんなのわかんねぇだろ!」
「フェアじゃない。もし、仮にあったとしたら、ユウ達は全員ラフコフに殺されてる。あいつらがそんなPK専用の武器について知らないわけがない」
「で、でもだな………」
「なら、試せばいい」
言いながらユウはさっきの剣を持った。そして、自分の首へ近付ける。
「ゆ、ユウちゃん!」
「やめろ!お前が死んだら……!」
二人の制止を無視してユウは刀を振るった。キリトに向かって。
「ほら、HPは減らないしおにいは残念ながら死んでない。この武器にはトリックなんてない」
「おい、残念ながらってなんだ。つーかなんで俺を使った」
「少し、スカッとした」
「こっの……!」
と、また言い争う二人を見ながらアスナは少しニコニコしていた。さっき、キリトが言いかけた言葉を思い出すと、ついニヤニヤしてしまう。
「アスナ。そんなことより、この剣の持ち主を調べたほうが手掛かりになる」
「? どういうこと?」
「PCメイドならそいつが犯人かもってこと。一概には決めつけられないけど」
「なるほどね……。ユウちゃん、鑑定スキル上げてる知り合いいる?」
「うーん……おにいの知り合いに雑貨屋の人が」
「そっか。じゃあ、キリトくん。案内してくれる?」
「お、おう」
*
エギルの店に到着。
「うーっす。来たぞー」
「………客じゃない奴に『いらっしゃいませ』は言わん」
「エギル、やっほー」
「おお、ユウ。いらっしゃい」
その扱いの差にキリトは不服に思いつつも、用事の説明をした。
「………圏内でHPがゼロになった、だとぉ?デュエルじゃないのは確かなのか」
「あの状況で、誰も勝利宣言窓を見つけられないとは思えないし、今はそう考えるべきだと思う」
「で、エギル。ユウにこの剣の造り主を教えて欲しい。そいつが犯人であれなかれ、何か関わってるのは間違いない」
「PCメイドだってのはわかってんのか?」
「ううん。可能性があるならそこから突破口を開くのが、ユウのやり方」
「なるほどな。ま、やるだけやってみるわ」
で、エギルはその剣を見る。そのまましばらく鑑定してると、口を開いた。
「………PCメイドだ」
「本当か!」
キリトが身を乗り出す。
「誰ですか?作成者は」
アスナの声にエギルは答える。
「グリムロック。聞いたことねぇな。少なくとも一線級の刀匠じゃねえ。まあ、自分用の武器を鍛えるためだけに鍛冶スキルあげてる奴もいないわけじゃないが……」
「でも、探し出すことはできるはずよ。このクラスの武器を作成できらるレベルに上がるまで、まったくのソロプレイを続けてるとは思えない」
「確かにな。そこのアホとアホの妹みたいなのがそうそういるとは思えん」
と、二人はキリトとユウをじろっと見た。
「な、なんだよ。お、俺達だってたまにはパーティ組むぞ」
「ボス戦の時だけでしょ。もしくはユウちゃんと2人」
「やめて、虫酸が走る」
「それはこっちの台詞だ。ユウ」
そのまま二人はバチバチとまたメンチを切りあった。その様子を見てエギルがアスナに小声で聞いた。
「なんだこいつら……まだ喧嘩してんのか?」
「ええ……。ごめんなさい、なんか」