もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第16話

 

 

 

次の日。

 

「DDAが?」

 

キリトの報告を聞いてアスナが眉をひそめた。どうやら、昨日の帰り道にDDAのシュミットというプレイヤーと出会して、武器を寄越せと言われたらしい。

 

「何それ?」

 

「DDAも知らないとか、記憶錆びてんなユウ」

 

「人間性がサビ腐ってるおにいに言われたくない」

 

「はぁ?」

 

「あーほらほら二人とも。………で、キリトくん。もしかしてその人が犯人かもって?」

 

「断定は危険だけど、まあないよな。足がつくことを恐れて凶器を回収する、くらいなら最初から現場に残す必要がない。あの槍はむしろ、犯人のメッセージだったと俺は思う」

 

と、そのまま二人は話す中、ユウも頭を捻っていた。

 

(本当に、カインズは死んだの……?昨日の揺さぶりでヨルコは大きく動揺した。そもそも、ユウ達は死亡エフェクトを見ただけでカインズのHPがゼロになるのを見たわけじゃない。この世界における死亡エフェクトはモンスターもアイテムも同じ。何か、トリックがある気がする……。そして、なぜ圏内で殺人をする必要があったのか。人を殺すなら圏外の方がよっぽどやりやすい。これはどう足掻いても、圏内PKなどというありえない事態で騒ぎを起こして、別のプレイヤーを釣ろうとしていたと考えるのが自然な気がする……)

 

「……ちゃん、ユウちゃん!」

 

「ふえっ?」

 

アスナに名前を呼ばれていた。

 

「? 何?」

 

「検証に行くわよ」

 

「けんしょう?なんの?」

 

「付いてきて」

 

 

 

 

フィールド。

 

「試すのは、貫通属性武器で刺されたまんま圏内に移動したら継続ダメージはどうなるか」

 

「………そんなの検証しなくても、街に入った時点で周りの誰かが気付くし、何よりヨルコと死ぬ直前にご飯食べてたならありえない……」

 

「いいから試すのよ。………って、キリトくんが言うの」

 

「おにい、脳味噌腐ってる……」

 

「黙れ。じゃ、行くぞ」

 

キリトは小さなピックを取り出した。

 

「待って」

 

「? どうしたのユウちゃん」

 

「どうせやるなら、誰かに刺された状態でやったほうが検証のしがいがある」

 

「バカ!そんなことしたら危ないわよ!」

 

「確かに……遺憾ながらユウの言うことは一理ある」

 

「キリトくん⁉︎」

 

「だから、ユウに任せて」

 

「もう!どうなっても知らないわよ!」

 

で、ユウはアイテムストレージから武器を出した。全長3mほどの槍、先端の穂先は三つに分かれていて、その中心にはドクロのマークが刻まれていた。

 

「いざ、検証っ!」

 

「「いや待てえええええっっ‼︎‼︎‼︎」」

 

当然ながら、デュエットで突っ込むアスナとキリト。

 

「お、おまっ……お前それっ……!49層ボスのLAボーナスだろうが!」

 

「だいじょーぶ。ソードスキルは使わない」

 

「そういう問題じゃねんだよ!てかお前それ、使わねーからエギルに売るとか言ってなかった⁉︎」

 

「勿体無いっ」

 

「とにかくダメよ!そんなのでやったら……!」

 

「心配いらない」

 

言いながらユウは頭上でブロロロロッと槍を回すと、ジャキンッとかまえる。

 

「殺しはしない」

 

「ちょっ……!バカバカやめて止めてやめて止めてやめて止めてやめっ……!」

 

が、キリトの制止を無視してユウはキリトの腕に突き刺した。腕が吹っ飛んでないのが不思議なくらいだ。

 

「ギャアァァァァッッッ‼︎‼︎ぬ、抜いてえええ!お願いだからっ………!」

 

が、そんなキリトをユウはパシャリと写メった。

 

「おまっ……撮ってないで……!」

 

「いいから、早く圏内に行く!」

 

アスナが蹴飛ばし、圏内に飛び込むキリト。すると、止まった。

 

「と、止まった、な……」

 

「え、ええ。そうね……」

 

「おにい、乙っ」

 

「なっ……!ていうかユウ!お前さては知ってたな⁉︎止まること!」

 

「もちろん。おかげで、最高の一枚が撮れた」

 

言いながらユウは写真を見せた。キリトのグチャグチャになった泣き顔が写っていた。

 

「お、お前なぁっ!」

 

「それよりおにい。感覚は?」

 

「残ってるよ!もう抜くぞこの槍!」

 

そのままキリトはズボッと槍を抜いた。

 

「あー……なんか腕がズキズキ言ってる気がす……うわっ⁉︎」

 

最後のは、アスナがキリトの腕を両手で掴んで、胸に引き寄せ、むぎゅーっと思い切り握った事によるものだ。

 

「むっ」

 

ユウがムッとする中、キリトは「お、おまっ……なっ……」と慌てふためく。が、すぐにアスナは離した。

 

「これでダメージの残留感覚は消えたでしょ?」

 

「う、うん、まあ、ども……」

 

「ヘンタイ」

 

「ゆ、ユウ!それは誤解だ!ていうか誰のせいだと思ってんだ!」

 

だが、ユウはそっぽを向いたまま、自分の胸をさわさわと触って呟いた。

 

「…………バカにい」

 

 

 

 

ヨルコさんの元へ行って、三人は再び話を聞きに行った。

 

「悪いな。友達が亡くなったばっかりなのに……」

 

「いえ……」

 

「で、早速なんだけど、ヨルコさん。あなた、この名前に聞き覚えはある?グリムロック、とシュミット」

 

すると、ピクリと反応した。

 

「………はい、知ってます。二人とも、昔、私とカインズが所属してたギルドのメンバーです」

 

その2人とギルドの話をまとめると、黄金林檎というギルドがあって、たまたまレアアイテムがドロップして、それの売却に賛成したのが五人、反対が三人という結果になって、リーダーのグリセルダ(グリムロックの嫁)が売りに行った。が、帰ってこなかった。生命の牌を確認したら死んでいた。………という話だ。

 

「………なるほどっ」

 

ユウが呟いた。キリトとアスナが質問を続ける中、ユウはそれ以上何もしゃべらなかった。

 

 

 

 

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