話が終わり、三人はヨルコを元の宿屋に送り届けたあと、三人でベンチに座って会議する。
「で、これからどうするの?」
「あ、は、はい。選択肢としては……その一、中層で手当たり次第にグリムロックの名前を聞き込んで居場所を探す。その二、黄金林檎の他のメンバーを訪ねてヨルコの話の裏付けを取る。その三……カインズ殺害の手口の詳しい検討をする、くらいかな」
「ごめんね。その四も追加していい?」
「なんだ?」
「ユウちゃんを探す」
「ああ?」
見れば、ユウはいなくなっていた。
「ったく、あのガキ……いいよほっといて」
「いやよくないでしょ。まだ13歳なんだから……」
「そこらのプレイヤーより全然強いんだからほっとけ」
「………君がそう言うならいいけど……。で、これからどうしよっ……」
だが、そこでアスナの声が止まる。
「ねぇ」
「なんだよ」
「さっきから貧乏ゆすり半端ないんだけど……」
「は、はぁ?別にそんなことねーし」
「それに汗の量も尋常じゃないし……ひょっとして、心配なの?」
「ち、ちちち違ぇーし!だぁれがあんなん心配するかってんだよ!む、むしろいなくなって精細しますー。で、次どうする?そうだ!京都へ行こう!」
「いや、心配し過ぎだから……ていうか、キリトくんって意外とシスコンなのね……」
「さ、さて。とりあえずどっか行こうぜ。俺は頭脳の探偵より足の刑事派だからな」
「しかも結局探しに行くんじゃない……」
探し回ること数分、グランザムの団長室。
「なるほど……ユウくん、大体君の考えであっていると、私は思うがね。………王手」
「そう……?でもまだ、わからないことがある。グリムロックがどうしてグリセルダさんを殺さなければならなかったのか。………甘い。飛車、金取り」
「ふむっ……。それについては私は分からない。ただ、人間の感情は時に大きく動くこともある、という事だろう。………そう来ると思ったよ。王手だ」
「あっ……ま、まった!」
「無しだ、と言ったのは君だろう?」
「うっ……グスッ」
「君は着実に強くなっているな。次は負けてしまうかもしれない」
「前にも同じこと言ってた……」
「泣くな。人は敗北や失敗によって成長する生き物だ」
「うんっ………」
ヒースクリフに頭を撫でられるユウを見ながらキリトは呟いた。
「…………なにしてんのあいつ」
「なんか、団長と互角に話してるし……ていうか、将棋の手合わせ初めてじゃないのね……」
「って、そんな事より、あいつさっきなんて言った?」
「確か、グリセルダさんをグリムロックが殺したとか……」
二人は団長室に飛び込んだ。