もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第18話

 

 

 

 

「「ユウ(ちゃん)!」

 

「むおっ?」

 

急に飛び込んできた2人にユウはビクッとする。が、そんなユウにも構わず二人は問い詰めた。

 

「どういうこと⁉︎」

 

「グリセルダさんをグリムロックが殺した⁉︎」

 

「ま、待って…近い……特に、おにい」

 

「落ち着きたまえ、二人とも」

 

その2人をヒースクリフが落ち着けた。

 

「とりあえず、お茶でも淹れよう。随分と珍しい客人だからな」

 

「………はっ、申し訳ありません。団長」

 

アスナが詫びると、小さく頷きながらヒースクリフはお茶を淹れにいった。

 

「で、ユウ。どういうことだ?ていうか、お前ヒースクリフと知り合いだったのか?」

 

「将棋仲間っ!」

 

グッジョブ☆と親指を立てるユウ。ヒースクリフがお茶を三人の前に置いた。

 

「そんなことより、どういう事よ。さっき話」

 

「まず、結論から言うとカインズは死んでない。鎧の耐久値が切れると共に転移結晶で飛んだだけ」

 

「あっ……なるほど。で、でもそしたらどうしてそんな事を……?」

 

「圏内PKなんて事を大勢の人の前でやることによって騒ぎを起こすため。これによって、上層部にいる元黄金林檎のプレイヤー……多分シュミットに、圏内PKによってカインズが死んだ事を知らせるため。多分、近いうちにヨルコも死ぬ」

 

「どうしてヨルコさんも死ぬ必要があるのよ。騒ぎを起こすだけなら……」

 

「指輪売却の反対派はカインズ、ヨルコ、シュミットだった。グリセルダ殺人の容疑者は当然この三人になる。でも、ヨルコとカインズは自分達が犯人ではないことを知っている。だからこそ二人は残りの1人であり、攻略組DDAのシュミットをグリセルダ殺人の犯人だと疑ってる。だからこそ、自分達を殺して『グリムロックによる復讐』とシュミットに思わせ、精神的に追い込んだ後に、なんかして吐かせるつもりだと思う」

 

「………すごいわね。ユウちゃん……」

 

「まぁ、ユウは調子が良いと頭はいいからな」

 

キリトが腕を組みながら言った。

 

「調子が良いとって……当たり前じゃない」

 

「いや極端なんだよこいつ。小学校の時、調子が良いと100点取ってくるけど、普通や調子が悪いと0点取ってくる」

 

「本当に極端ね……」

 

「今日のユウは、天才っ」

 

むんっと胸を張るユウ。

 

「でも、グリセルダさんを殺したのはグリムロックってのはどういう事なんだ?」

 

「そんなの、決まってる」

 

ユウはおにいに振り返って言った。

 

「そうだったら、なんか昼ドラっぽくていいなーって」

 

「………台無しもいいとこだな。っておい待て待て。お前昼ドラなんて知ってんのか?普段学校いってるだろ」

 

「とにかく、今回は黄金林檎内での話。ユウ達はこれ以上クビ突っ込まない」

 

「おい、誤魔化すな。お前学校何回かサボってたろ」

 

「なんのことだか、知らないっ」

 

「スグにチクるぞ」

 

その瞬間、ユウは急に土下座し始めた。

 

「ごめんなさい……それだけは勘弁してください……」

 

「ちょっ……ユウちゃん⁉︎どうしたの⁉︎」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

 

「や、俺も悪かったユウ。冗談にしちゃタチが悪かった」

 

「言った本人も⁉︎」

 

その「スグ」なる人物が気になって仕方ないアスナだったが、ここは耐えた。

 

「とにかく、今回の件はもう私達が関与する必要はないってことね?」

 

「多分。でも、もう一度ヨルコにあいに行く」

 

「そうね。何か挨拶くらい……」

 

「ここで会うのをやめたら『事件が解けずに逃げた』って思われる」

 

「ああそう……まぁなんでもいいわ。行きましょ」

 

「その前に、おなかへった。ご飯」

 

「はいはい……」

 

飯を食いに行った。

 

 

 

 

そのまま飯屋から出た。で、ヨルコ達を探しに森へ向かった。

 

「ここにいるのね」

 

「ああ。だが、四人くらいか不穏な影もある。一つはかなり離れたところにいるが、もう三人はヨルコさん達の近くだ」

 

「っ! じゃあ私は一人の方に行くわ。二人は三人の方に……」

 

「「だが断る」」

 

声を揃えて断る二人。見ると、お互いに視線を逸らし、眉間にシワを寄せている。

 

「あんたらねぇ……まだ喧嘩してたの?」

 

「ごめんなさいって言われてねぇからな」

 

「それを言うのはおにいの方」

 

「はぁ?」

 

「あっ?」

 

「はいやめやめ。いいから行くわよ」

 

そんなわけで、突入した。

 

 

 

 

「そう……だったのか……お前ら……そこまで、リーダーのことを……」

 

カインズが声を漏らした。ヨルコとカインズから事情を聞いて納得したところだ。

 

「あんたも、だろう?」

 

「え………?」

 

「あんただって、リーダーを憎んでたわけじゃないんだろ?指輪への執着はあっても、彼女への殺意まではなかった、それは本当なんだろ?」

 

「も、もちろんだ、ほんとだ、信じてくれ」

 

と、その時だ。小さなナイフがシュミットに刺さった。

 

「あっ……!」

 

「ワーン、ダウーン」

 

低い声が響いた。木の上だ。見上げると、黒いマントのプレイヤーが三人いた。カーソルの色はオレンジ。

 

「デザインは、まあまあ、だな。オレの、コレクションに、加えて、やろう」

 

「Poh……」

 

「引っくり返せ」

 

言われてジョニーブラックがシュミットをひっくり返した。

 

「Wow……確かに、こいつはでっかい獲物だ。DDAのリーダー様じゃないか」

 

Pohがそう言った。ヨルコもカインズも、当然シュミットも動けなかった。

 

「イッツ・ショウ・タイム、といきたいところだが……どうやって遊んだもんかね」

 

「あれ、あれやろうよヘッド。『殺しあって、生き残った奴だけ助けてやるぜ』ゲーム。まあ、この三人だと、ちょっとハンデつけなきゃっすけど」

 

「ンなこと言って、お前このあいだ結局残った奴も殺したろうがよ」

 

「あ、あーっ!今それ言っちゃゲームにならないっすよヘッドぉ!」

 

と、緊張感のない声がする。ハッキリ言って大ピンチだ。その時だ。主街区の方向から一直線に近付いてくる影。

 

「!」

 

その影は馬に乗っていた。そのまま全員の前に到着すると、馬から落ちて尻餅をついた。

 

「いてっ!」

 

「おにい、馬。下手」

 

「うるせー。ユウがいなきゃ上手く乗れてたよ」

 

で、二人は立ち上がった。

 

「よう、Poh。久しぶりだな。まだその趣味悪い格好してんのか」

 

「……貴様に言われたくねぇな」

 

殺意を放ちながら答えるPoh。その横から、ジョニーブラックが毒ナイフを持って殴りかかった。

 

「余裕かましてんじゃねェぞっ!」

 

だが、そのジョニーブラックの顔面に、ユウの踵が飛ぶ。ギリギリガードするジョニー。するとユウにザザが突きを放つが、その武器をキリトが払った。そのキリトにまた殴りかかるジョニー、応戦しようとするキリトに、それを援護しようとするユウ、払われ、宙に舞い上がった武器をキャッチして、また斬りかかるザザ。だが、指パッチンが聞こえ、全員動きを止めた。

中央に立つのはPohだった。

 

「そこまでだ。ザザ、ジョニー。この二人相手じゃ、いいとこ五分だ」

 

すると、二人は舌打ちしながら武器をしまう。それに合わせてキリトもしまった。だが、

 

「ユウは逃すなんて、言ってない……!」

 

そのまま斧を持って斬りかかろうとする。が、その襟首をキリトが掴んだ。

 

「待て、ユウ。向こうは退くと言ってるんだ。見逃してやれ」

 

「………らじゃ」

 

ユウも武器をしまった。ザザ、ジョニー、Pohは去る。去り際に、言った。

 

「黒の兄妹。貴様らだけは、いつか必ず地面に這わせてやる。大事なお仲間の血の海でゴロゴロ無様に転げさせてやるから、期待しといてくれよ」

 

 

 

 

あの後、アスナがグリムロックを捕らえていて、ようやく事件は終わった。グリムロックはシュミット、カインズ、ヨルコが連行し、今はキリトとアスナ、ユウだけが残っている。

 

「ねぇ、キリトくん」

 

アスナがポツリと言った。

 

「もし君なら、仮に誰かと結婚した後になって、相手の隠れた一面に気付いた時、君ならどう思う?」

 

「えっ。あ、いや……仮にっつーか、俺結婚してるからなぁ……」

 

「……………はっ?」

 

間抜けな声を出すアスナ。

 

「ユウと結婚してんだ。その方が二人で進めていく上では便利だからな」

 

「…………いつから?」

 

「一層」

 

「……………じゃあなに。私は痴話喧嘩に巻き込まれたってこと?」

 

「は?俺とユウは便利だから結婚しただけだぞ」

 

「周りから見たらただのおせっかいな女になってるじゃない!」

 

「………な、何を怒ってんだよ……」

 

「はぁ……なんかもうバカバカしくなって来たわ。帰る」

 

「そ、そうか……?なんか、悪いな……」

 

いつの間にか、ユウは少し離れた所で枝豆をかじっていた。

 

「あ、最後にひとつ」

 

「なんだよ」

 

「なんだかんだでユウちゃん、寂しがり屋なんだから、さっさと仲直りして面倒見てあげなさいよ」

 

「…………」

 

「またね」

 

そのままアスナは去っていった。キリトはどうしようか迷ったものの、歩いてユウの元へ。

 

「ユウ」

 

「なに」

 

で、少し目線を逸らして、気恥ずかしそうに言った。

 

「………その、悪かったな」

 

「!」

 

「謝る、からさ。帰ってきて、くれないか?」

 

「………………」

 

ユウはあくまで無表情だった。こりゃ謝り損かな……と、キリトが思った時だ。

 

「おにい!」

 

ガバッと飛び付いてきた。そのユウの頭を撫でながらキリトは、抱っこして街に戻った。

 

 

 

 

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