55層の雪山。リズとユウは二人で山を進む。
「びえっくし!」
大声でくしゃみするリズ。
「……寒いの?」
「平気よ」
「替えの服とかないの?」
「………ない」
「バカ丸出し……」
「う、うるさいわね!」
「はいこれ」
ユウはヒョイっと何かを放った。
「これは……?」
「ホッカイロ」
「こんなものがこの世界にあるの⁉︎」
「うっ……さぶっ」
「あんたが辛いならいいわよ!」
なんて話しながら進み、クエストのフラグを立てた。で、今度はそのまま山頂へ。
「わあ………!」
山頂はクリスタルで覆われていた。それを見て子供みたいにはしゃぎそうになるリズだが、隣のユウが無表情でボーッとしてるのでなんとか自重。
「リズ、転移結晶の準備しといて」
「えっ?」
「もし、ユウが不測の事態で死んだら構わず逃げて」
「はいはい、分かったわよ……」
とは言ったものの、リズは転移結晶を出さない。テキトーに生返事しただけだった。すると、ドラゴンの鳴き声がした。
「!」
「さて、やりますかっ」
男前にユウは言うと、デッカい斧を取り出した。
「あんた、まさかその武器使うの?」
「なんでっ?」
「いや……似合わなさすぎて逆に似合ってるというか……」
リズが呆れ気味に言った時だ。ユウの目の前にドラゴンが降りてきた。
「リズ、邪魔だから隠れてて」
「はぁ?何言って」
「いいから」
そう言うユウの眼光は確実に幼女のものではなかった。リズは渋々隠れる。すると、ブレスを放ってくるドラゴン。
「ブレスよ!避けて!」
だが、ユウは斧を振り下ろして、ブレスを正面から叩き斬った。
「なっ……⁉︎」
驚くリズを無視してユウは斧で突撃した。ドラゴンの攻撃を、小さい体を利用してヒョイッヒョイッと躱し、クリスタルを踏み台にして、上から遠心力を利用しながらソードスキルを発動し、背中を三回叩き斬った。
「……すごい」
そのまま着地すると、後ろからドラゴンの爪が迫る。だが、お前後ろに目が付いてんの?ってレベルでユウは躱し、アイテムストレージから小さなナイフを取り出して、ドラゴンの首に投げ刺した。
「毒、ナイフ……?」
こりゃもう勝ったな、そう思いつつ、リズはクリスタルから出た。
「リズ!隠れて!」
え?背中に目でも付いてるの?ってレベルでユウが声を出す。だが、
「なによー。もう終わりでしょ?さっさと……」
その瞬間、ドラゴンのロックオンがリズに向いた。そして、ビュウッ!と羽から強風を出すドラゴン。
「へっ……?きゃあっ!」
リズはビュワッと飛ばされ、デッカい穴の上に来た。
「えっ、嘘……」
顔が青ざめるリズ。
「リズッ!」
ユウはアイテムストレージから転移結晶を取り出した。
「転移、リンダース」
言いながらその転移結晶をリズに投げ付けた。
「へっ……?」
それがリズに当たり、リズは転移する。で、ユウがクリスタルの上に着地した時だ。真後ろから再び風がきた。
「二連続で、風……?うそ……」
その風に巻き込まれ、ユウも穴の上へ飛ばされた。
「て、転移結晶……」
アイテムストレージ取り出そうとするが、なんせ飛ばされてる最中だ。手元を狂わせ、落としてしまった。
「……なにこれ、積みゲー……」
そのまま落ちて行った。
「お兄……バイバイ……」