ボスッと軽い音を立てて、ユウは穴の中へ落ちた。
「…………」
大の字で雪にめり込んだまま空を見上げる。
「高さ……だいたい、50mくらい……」
これはジャンプじゃ越えられないなと思いつつ、とりあえずユウは雪を払って立ち上がった。
「転移結晶は、無理っぽい……かな。岩をよじ登る、とか?」
そう決めるとユウは、プップッと自分の手に唾を吐いて、壁をよじ登り始めた。
*
リンダース。
「どっどっどっどうしよっ!ゆ、ユウが1人……!」
あからさまに焦ってみせるリズ。だが、自分一人で行っても助けられるかは分からない。どうしようか店で迷っていると、カランコロンと店のドアが開いた。
「あの、剣のオーダー頼みたいんだけど……」
真っ黒な服装をした男はそう言った。
「! ね、ねぇ!」
「うおっ、ど、どうした?」
「お願い!助けて欲しいの!」
リズは事情を説明。
「……つまり、ユウは一人でドラゴン退治を残ったと?」
「そう!だから……!ていうか知り合い?」
「あー大丈夫、あいつあー見えて強いから」
「で、でも……!」
キリトはどうしたものかまよったが、とりあえずこう返すことにした。
「分かったよ。メッセージ飛ばしてみるから」
『お前どこにいんの?』
と、短くストレートな文を送った。だが、
「あれっ」
「ど、どうしたの?」
「メッセージが飛ばせない……なんだよエラーって……」
キリトの表情に焦りが浮かんだ。
「マップ追跡も出来ない……何処にいるんだ?」
「そんなっ……」
すると今度は別の人物にメッセージを飛ばした。
『サチ、生命の脾にユウの文字に変化はあるか?大至急頼む』
で、数分後。返事が返ってきた。
『ないよ。どうかしたの?』
『なら大丈夫だ。心配するな』
とりあえずそれだけ返してキリトはリズに向き直った。
「大丈夫、生きてる。俺が探しに行くから、あんたはここで待っててくれ」
「そ、そんな……!私も行く!」
「ダメだ。また同じことを繰り返すつもりか?」
そう言われると、何も言えなくなるリズだった。
「それに、もしかしたらヒョッコリここに帰ってくるかもしれないからな。じゃ、行ってくる」
キリトはそう言うと、リズの返事を待たずに外に出た。そして、店の前で少し立ち止まる。そして、「はっははっ……」と、乾いた笑いが出た。
「うおおおおおおッッッ‼︎‼︎‼︎ユウゥゥゥゥゥッッッ‼︎‼︎何処だァァァッッッ‼︎‼︎‼︎」
全力疾走で探しに行った。その声が丸聞こえのリズはジト目で扉の向こうを睨みながらつぶやいた。
「……なんかもう台無しだわ」