もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第22話

 

 

 

 

穴の中。ユウのフリークライミングは見事に落下し、今は完全に体育座りで拗ねている。

 

「おにい……どうしよう……」

 

どんなに考えてもユウが上に登り切る手はなかった。壁ジャンプも壁走りも壁が凍ってて滑って動けない。これがだが、自分が生きてる以上は何か復活する手立てがあるはずだ。と、ポジティブに考えようとしてもそれ以外のネガティヴな部分がそれを邪魔する。

 

「へっくちっ」

 

ズズッと鼻水を啜った。寒さもユウを遅い、体力的にも精神的にも呑まれていく。そんな時、ホッカイロの耐久値が切れた。

 

「あうっ……」

 

思わず眼に涙が浮かんだ。何か、何かしないと……。その時、ユウの脳に閃きが浮かんだ。

 

「雪だるま作ろう」

 

壊れた。

 

 

 

 

雪山の山道。キリトは落ち着いて索敵をフル活用する。

 

「………ダメだ。見当たらない」

 

脳裏に一瞬、死という文字が浮かんだ。その瞬間、ガンッと自分の頭を叩く。

 

(バカな事考えるな……!)

 

サチが言うにはユウは死んでいない。なら生きている。希望はあるはずだ。

 

「クソッ……‼︎」

 

「キリトくん!」

 

声がして、振り返るとアスナが立っていた。

 

「アスナ……!」

 

「リズに聞いたんだ。私も手伝うよ!」

 

「……頼む!」

 

そのまま二人は襲い掛かってくるモンスターのみ、狩りながら進む。そして、山頂に出た。

 

「ここが、山頂……!」

 

「探しましょう」

 

 

 

 

ユウが173体目の雪だるま作成に入った時だ。ばたりとユウは倒れた。もう5時間以上経っている。

 

「おにいぃ……」

 

不意にそんな呟きが漏れたが、周りにあるのは雪だるまだけ。

 

「はぁ……」

 

気が付けば、もう真夜中。それでもやまないシステムによる雪。ぶっちゃけ余裕だと思ってたから寝袋も何もない。ホッカイロもさっき切れたので最後だ。その時、着てたコートの耐久値が切れた。

 

「あっ………」

 

切なそうな声を上げる。これで、寒さによりHPが減る。その瞬間、ユウはかじかんで震える手で、アイテムストレージから小さなナイフを取り出した。それを自分の首に持って行く。

 

「サヨナラ、おにい」

 

「何がだ」

 

「えっ?」

 

見上げると、キリトが立っていた。

 

「おにい……おにいっ!」

 

弱々しい力でガバッと抱き着いた。

 

「おにい〜……」

 

「ユウ〜〜〜………」

 

キリトも泣きながら抱き締め返していた。締まらねぇな。

 

「っと、こんなことしてる場合じゃないな。アスナァーッ‼︎引き上げてくれ!」

 

大声を出すキリト。すると、キリトの身体がグンッと浮いた。抱き抱えられてるユウもだ。どうやら、お腹にロープを巻き付けていたようだ。

 

「ルパンかおにいは……」

 

「ははっ。まぁそんな的確なツッコミ出来るならもう大丈夫だな」

 

ユウはギューっとキリトに抱きついている。キリトは微笑みながらユウの頭を撫でた。その時だ。

 

「キリトくん!危ない!」

 

どっかで聞いたことのある声。その後に、どっかで聞いた鳴き声。

 

「「えっ」」

 

声を揃えて上を見上げると、ドラゴンが来ていた。

 

「「ウソオオオオオオオッッッ‼︎‼︎‼︎」」

 

二人は声を揃えて絶叫した。そんな二人の横をドラゴンは横切り、一度真下に着地する。キリトはユウをお姫様抱っこして思いっきり壁を走った。綱を頼りに。すると、下からドラゴンが迫ってきた。

 

「ああああっ!追いかけてきた‼︎」

 

「おにい!足遅い!」

 

「うるせー!お前がいるから走りにくいんだよ!」

 

「来てるきてる!後ろから来てるから!」

 

「そんなん言われても……!アスナ!もっと引き上げて!」

 

「何っ⁉︎聞こえないよ!」

 

「なんでもねぇよ!」

 

すると、キリトの背中に何かが直撃した。ブレスだ。

 

「あっ」

 

そのブレスに身を任せて、二人は上に思いっきり駆け上がった。

 

「きゃっ!」

 

縄を引っ張っていたアスナを弾き飛ばし、二人は空中に舞い上がる。そして、そのまま落下した。

 

「ち、ちょっと……!なんなの?」

 

「おにい!」

 

「大丈夫かユウ⁉︎」

 

そのまま2人が抱き合ってる時だ。穴からドラゴンが出てきて、三人の前に立ちはだかった。だが、三人は武器を取り出す。

 

「ねぇ二人とも。こいつ、やる気みたいよ?」

 

「身の程知らず」

 

「人の妹をこんな目に合わせたお礼をしてなかったな」

 

フルボッコした。

 

 

 

 

リズベット武具店に戻ると、まずユウは本気でリズに謝られた。その後、キリトとまたまた全力で抱き合った。

 

「おっ、そうだ。リズ、はい」

 

ユウはアイテムストレージからクリスタルを取り出した。

 

「ん?これって……」

 

「さっき、92体目の雪だるまを作ってるときに、拾った」

 

「これよ!お目当ての金属!これで、あなたの依頼がこなせるわ!」

 

「さっそく、よろっ」

 

「任せて!」

 

そのままリズは仕事場に向かった。

 

「そういえばユウ、どうして金属なんて取りに行ったんだ?」

 

「待ってて。すぐに分かるから」

 

「?」

 

キリトの頭には「?」が浮かぶ。アスナはニコニコしていた。数分後、ガチャッと扉が開いた。

 

「出来たよ、ユウ。はいこれ」

 

「これは、片手剣?」

 

なんで?って顔をするキリト。

 

「名前はダークリパルサー、だって」

 

「さんきゅー、リズ」

 

で、ユウはキリトに向き直った。

 

「おにい」

 

「ん?」

 

「この前の、喧嘩のお詫び。というか、仲直りの……証?」

 

「いや俺に聞かれても……」

 

「はいっ」

 

ユウはキリトに剣を差し出し、頭を下げた。

 

「ごめんなさいでした」

 

どうしようか迷った後、キリトは微笑んで、剣を取った。

 

「ありがとな、ユウ」

 

「んっ」

 

「実はな、俺も渡したいものがあるんだ」

 

「えっ?」

 

すると、キリトはアイテムストレージから指輪を取り出した。

 

「はい、これ」

 

「これは……?」

 

「考えたら俺たち、結婚してんのに指輪も交換してなかっただろ?」

 

「はぁ?」

 

リズが「今なんつった?」みたいに言ったが、無視された。

 

「だから、指輪。しかも、全ステータスUPだぜ」

 

「おにい……。あっ、でも、そしたらユウも指輪……」

 

「いいよ。ユウにはこれ、もらったからな」

 

言いながらキリトはダークリパルサーを見せる。

 

「おにいっ!」

 

「はははっ、なんだよ」

 

ユウが抱き着き、キリトはそれを受け止める。そんな様子をリズとアスナは見ていた。すると、リズが聞いた。

 

「ねぇ、アスナ。兄妹って、こんなんだっけ?てか兄妹ってなんだっけ?」

 

「知らねっ」

 

 

 

 

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