もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第23話

 

 

 

夜。キリトホーム。ベットの中。キリトの胸前で、こじんまりとうずくまって、すぅすぅと寝息を立てるユウ。そんなユウを見ながらキリトは思った。

 

(………最近、ユウがよく甘えてくるようになったなぁ……)

 

一緒に寝ることは毎晩あっても、ここまで甘えてくるのはそうなかった。

 

(やっぱ、まだ年相応というか……そういう歳頃なのかな……いや、年齢的には13か……ていうかこいつ、なんやかんや二年経ってるけどまったく成長がねぇな……。あれ?そういえば保健体育で、子供の成長にはスキンシップが大切とか言ってた気がするんだが……こいつ大丈夫なのか?)

 

チラッとユウに再び視線を戻す。

 

「んっ……おにい……ちゅー……」

 

「はっ⁉︎」

 

すると、ユウは自分の親指を小さく口に付けた。若干、頬を染めつつキリトは焦った。

……………な、なんの夢を見てるんだ……。

 

「と、いうわけなんだが、どう思う?」

 

エギルの店。ラグーラビットを売りに来たついでにその事を話した。ちなみにユウはリズに武器の依頼に向かっている。

 

「いや知らねーよ」

 

すごくどうでもよさそうに答えるエギル。

 

「ていうか、妹との惚気かよ」

 

「いや、最近はなんつーのかな……妹としての一線を超えてるというか……」

 

「いや結婚してる時点で手遅れだと思うが……」

 

「俺は真面目に相談してるんだが……」

 

「お前が真面目にそんな事を俺に相談してるのが一番信じられねぇ。………ていうか、お前はどうしたいんだよ」

 

「どうしたい?」

 

「ああ。迷惑ならやめろって言えばいいだろ。俺だったら、さっさとこの話を切り上げてこのウサギの肉の取引を続けたい」

 

「あ、ああ。そうだったな。先にこっちから済ませるか」

 

「しかし、お前これ自分で食おうとは思わなかったのか?」

 

「料理出来るほどのスキルがないんだよ」

 

「なるほどなぁ……。ユウちゃんは出来ねぇのか?」

 

「出来ると思うか?」

 

「…………悪い」

 

なんて話してると、後ろから肩を突かれた。

 

「キリトくん」

 

振り返ると、アスナが立っていた。

 

「シェフ捕獲」

 

「な……なによ」

 

「そうだ。ついでにちょっと相談したいことがあるんだ」

 

「さっきからなんの話よ。下らないことには巻き込まないでよね?」

 

「いいから。ラグーラビット食わせてやるから」

 

「いいわよ」

 

「変わり身はえーな」

 

すると、アスナは後ろの男に言った。

 

「今日はここから直接セルムブルグに転移するから、護衛はもういいです。お疲れ様」

 

「ア……アスナ様!こんなスラムに足をお運びになるだけに留まらず、素性の知れぬ奴をご自宅に伴うなど、と、とんでも無い事です!」

 

「ともかく、今日はここで帰りなさい。副団長として命令します」

 

そのままキリトを引っ張って、アスナは転移した。

 

「なぁ、大丈夫なのか?」

 

「いいのよ。それよりどうする?どこで調理すればいい?」

 

「俺の家はロクな器具ないし……アスナの家でいいか?」

 

「わかった。じゃあ、ユウちゃんも呼ぶね?」

 

「いいよ呼ばなくて。食う分が減るだろ」

 

「ふぅーん。そういう事いうんだぁ」

 

「な、なんだよ……」

 

「いや、意地悪だなぁって思って」

 

「いいから行こうぜ。腹減った」

 

 

 

 

その頃、ユウ。ぬぼーっとリズの店で天井を眺めていた。

 

「ふぅ……。ユウ、そろそろお店閉めるわよ」

 

「……………」

 

「聞いてるの?」

 

が、返事はない。リズはため息をついてユウの目の前に移動した。

 

「ねぇ、ユ……」

 

そこで、いきなりユウの目が見開いた。

 

「っ⁉︎」

 

「おにいが……ユウの知らないところで……何かしてる……気がするッ‼︎」

 

そのまま走って出て行った。

 

 

 

 

「ふう……食ったな……」

 

「で、相談ってなによ」

 

食べ終わり、アスナがキリトに聞いた。すると、キリトは昨日の夜の話をする。

 

「惚気?」

 

「ちげーよ。大体、妹だぞ?ありえないだろ」

 

「妹ならそんな事で焦らないの」

 

「でもなぁ……その、なに?お前にも分かるだろうけど、あいつ基本は生意気だろ?」

 

「うーん……うん。そだね」

 

「だからこそ、ああやって甘えられると……その、何。…………引くなよ?」

 

「は?」

 

「ああやって甘えられるとだな……。可愛過ぎて、その……ドキッとする」

 

「ないわー」

 

「いやだから引くなよ!妹だって自覚はあるから!なんつーのかな…!そう、ギャップ萌えって奴だよ!」

 

「まぁ、ユウちゃんは可愛いけど……。あなた、兄貴でしょ?」

 

「お、お前だって何日か居候させてやってたんだから分かるだろ?」

 

「分かりません」

 

「むぅ……」

 

「とにかく、別に嫌ってわけじゃないんでしょ?だったら、それくらい許してあげなさい。階層も上がってきて、もういつ死ぬか、分からないんだから……」

 

アスナがつい深刻に言ってしまう。

 

「………そうだな。悪い」

 

「さて、じゃあ相談に乗ってあげたんだから、明日一緒に狩りに付き合いなさい」

 

「はぁ?なんでそうなるんだよ!」

 

「いいの?ラグーラビットのこと、言っちゃうよ?」

 

「ぐっ……!わ、分かったよ」

 

「はい、決定」

 

アスナは微笑むと、キリトにパーティ申請をした。すると、キリトも若干微笑みながらyesのボタンを押した。その時だ。

 

 

「なにしてるの?おにい」

 

 

ビクゥッ‼︎と2人の体が跳ね上がった。ギギギッとギコチナイ動きで振り返ると、ユウが氷の霧氷情で立っていた。

 

「ゆ、ユウ…ちゃん……?」

 

「おにい」

 

「は、はいっ!」

 

天使の羽並に背筋をピーンッとさせるキリト。そんなキリトにユウは笑顔で言った。

 

「大丈夫、怒ってないよおにい」

 

「うえっ……?」

 

「大丈夫、おにいがコソコソ知らない女とラグーラビット食べてたことも、怒ってないよ?」

 

「知らない女って……」

 

「だって、」

 

そこで、口を開けて、八重歯をキラんと輝かせるユウ。

 

「ラグーラビットを食べたおにいを食べれば、ユウもラグーラビットを食べたことになるから」

 

ゾッとする2人を捨て置いて、ユウはバッ!とキリトに飛び掛かった。

 

「待っ……!ユウ!ごめんなさ……ギャアアアアッッ‼︎‼︎」

 

 

 

 

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