もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第26話

 

 

 

 

「「冗談にもほどがあるでしょ‼︎」」

 

アスナとキリトは声を揃えてユウに怒鳴るが、ユウは何食わぬ顔でクレープを齧る。

 

「おいユウ!聞いてるのか⁉︎」

 

「うん。ごめんね」

 

「あ?お、おおう………」

 

「しかし……ぷふっ、攻略組トッププレイヤーの二人が……悲鳴を上げて……ぷふっ」

 

「やっぱ反省してないだろお前!」

 

なんてやり取りの後、三人はとりあえず座り込んだ。

 

「はぁ……。こんなに走ったの久しぶりだよー」

 

「そうだな……。少し疲れた。休憩しよう」

 

「そうだ。私、お昼作ってきたんだー」

 

「なにっ。て、手作りですか……?」

 

「うん」

 

言いながらアスナはアイテムストレージからヒュッとバスケットを出した。

 

「おお………」

 

「はいっ。キリトくんの分」

 

「あ、ありがとう……」

 

「これは、ユウちゃんの分」

 

「てんきゅー」

 

そのまま三人で食う。

 

「う……うまい……」

 

思わずキリトは声を漏らした。

 

「おまえ、この味、どうやって……」

 

「一年の修行と研鑽の成果よ。アインクラッドで手に入る数百種類の調味料が味覚再生エンジンに与えるパラメータをぜ〜〜んぶ解析してこれを作ったの」

 

「暇人……」

 

「何か言った?ユウちゃん」

 

にっこり笑うアスナ。その瞬間、こいつは鬼妻になるな……と思わずにいられなかったユウだった。

 

「口開けて、キリトくん。こ!、グログワの種とシュブルの葉とカリム水」

 

言われるがまま、口をぽかんと開けるキリト。その口の中に、アスナが何かをピッと弾いた。

 

「……マヨネーズだ!………すごい、完璧だ。お前これ売り出したらすっごく儲かるぞ」

 

「そ、そうかな」

 

「アスナ、ユウも舐めたい」

 

「はいはい。ちょっと待ってね……」

 

なんていうか、「お前ら家族なの?」みたいな雰囲気の三人。すると、そこに向かって鎧をガチャガチャ言わせながら歩いてくる一団が見えた。

 

「おお、キリト、ユウ!しばらくだな」

 

「まだ生きてたか、クライン」

 

「ちゃおっす」

 

「相変わらず愛想のねえ野郎だ。珍しく連れがいるの……か……」

 

荷物を手早く片付けて立ち上がったアスナを見て、クラインは目を丸くした。

 

「あー……っと、ボス戦で顔は合わせてるだろうけど、一応紹介するよ。こいつはギルド風林火山のクライン。で、こっちは血盟騎士団のアスナ」

 

だが、クラインは目を丸くしたまま静止した。

 

「おい、何とか言え。ラグってんのか?」

 

「こっ、こんにちは‼︎くくクラインというものです24歳独身」

 

「クライン、キョドリ方キモい……」

 

「相変わらずキチンと教育されてねぇようだなユウ……」

 

「おい、俺の育て方が悪いみたいな言い方やめてくんない?」

 

なんて緊張感のかけらも無く、それどころかほのぼのした雰囲気が流れた。だが、アスナの鋭い声が響いた。

 

「キリトくん、軍よ!」

 

ハッとして全員は入り口を注視する。言われた通り、軍が歩いてきていた。で、先頭にいた男が「休め」の言うと、残りの11人は倒れるように座り込んだ。で、そいつは風林火山と三人の元へ歩いてきた。

 

「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ。君らはもうこの先を攻略しているのか?」

 

聞かれてキリトは正直に答えた。

 

「……ああ。ボス部屋の手前まではマッピングしてある」

 

「うむ。ではそのマップデータを提供してもらいたい」

 

当然だ、と言わんばかりの口ぶりにクラインが食い付いた。

 

「な……て……提供しろだと⁉︎手前ェ、マッピングする苦労が解って言ってんのか⁉︎」

 

だが、コーバッツは大声を張り上げた。

 

「我々は君ら一般プレイヤーの解放のために戦っている!諸君が協力するのは当然の義務である!」

 

「バカ丸出し」

 

そこで口を挟むユウ。キリトとクラインは「出たよ……」とでも言うように呆れ顔をし、アスナはキリトを責めるようにジト目で睨んだ。

 

「なんだと……?」

 

「まるで自分達が一般プレイヤーでもないような言い方。自分達のプレイヤースキルのなさを防具のせいにして一層の人達から税金を巻き上げてるチンピラの癖によく言う」

 

「なっ……!」

 

「むしろ、今の層の敵だとそんな連中が攻略戦に参加しても足手まといもいいとこ。邪魔だから一層で大人しく膝を抱えてすっこんでて」

 

「き、貴様ァ……」

 

「なんなら、そこにいる11人も含めてユウとやる?多分、1分掛からず全滅出来る」

 

「上等だ。各員、立て!武器を取れ!」

 

コーバッツの声で立ち上がろうとする面々。ユウも麻痺毒のナイフを取り出した。だが、そのユウの頭をガンッとキリトは殴った。

 

「って!」

 

「バカ。煽るな。すまないコーバッツさん。こいつはまだ子供だ。あんたらの言うとおり、マッピングデータは渡すから許してやってくれ」

 

「おにいっ」

 

「いいから。だまってろ」

 

すると、コーバッツはコクリと頷いた。で、マッピングデータを受け取ると、軍はそのまま行った。

 

「こら、ユウ!あの場でお前がボコボコにしたって得はないだろ!」

 

「麻痺毒で黙らせた方がいい。こんな所で無駄死にされるくらいなら」

 

「まだ死ぬと決まったわけじゃないだろ。お前は一々論破しなくていい」

 

なんて言い合ってる中、クラインが心配そうにつぶやいた。

 

「大丈夫なのか……?あの連中………」

 

「いきなりぶっつけでボス戦したりなんてしないと思うけど……」

 

アスナも呟いた。

 

「ほっとけばいい。何もしてないくせに自分達だけが頑張ってるなんて死んじまえばいい」

 

「おいユウ。冗談でもそういうこと言うな。あんな連中でも生きてるんだぞ」

 

「この先のマッピングデータ渡したおにいに言われたくない。このまま行けば、あいつら全滅するのは目に見えてる。見殺しにしたようなもの」

 

「なっ……!ユウッ‼︎」

 

しばらく睨み合う二人。

 

「ち、ちょっと二人とも落ち着いて……」

 

「そうだぜキリト。喧嘩してる場合じゃ……!」

 

その時だ。「うわあぁぁぁ………」と、悲鳴が聞こえた。

 

「!」

 

「クッソォッ‼︎」

 

全員はボス部屋のあった場所に走った。

 

 

 

 

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