もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第27話

 

 

 

ボス部屋に飛び込むと、中はまさに地獄絵図といった感じだった。

 

「おにい、2人いないよ……!」

 

「何してる!早く転移結晶を使え!」

 

だが、男はさっとこちらに顔を向けると、絶望的な表情で言った。

 

「だめだ……!く……クリスタルが使えない!」

 

「なっ………!」

 

つまり、転移アイテム無効化空間なのだ。

 

「なんてこと……!」

 

アスナが悲痛な声を上げる。

 

「何を言うか!我々解放軍に撤退の二文字はあり得ない!戦え‼︎戦うんだ‼︎」

 

コーバッツが声を張り上げた。

 

「バカヤロッ……!」

 

クラインの声も虚しく、コーバッツはボスに剣を突き付けて、叫んだ。

 

「全員……突撃………ッ‼︎」

 

「やめろォーーーーッッ‼︎」

 

キリトが叫ぶが、全員突撃した。その瞬間、ボスの咆哮。ダメージ判定があるらしく、全員の体が吹き飛ばされた。そして、唯一立っている奴、コーバッツに剣が振り下ろされる。

 

「ッッ‼︎」

 

だが、その前にユウが立ち塞がった。斧でガッチリガードしている。

 

「バカッ……!ユウッ!」

 

キリトが声を上げる。

 

「き、貴様は……!」

 

「邪魔。消えて」

 

「なッ、何を‼︎」

 

「お前の下らないプライドのために人を殺さないで」

 

「ッ」

 

そのままユウはボスの攻撃をなやすと、コーバッツを入り口に向かって蹴り飛ばした。そのまますばしっこい体を利用して攻撃を躱しながら、部屋の奥へ進み、逃げ遅れたプレイヤーの元へ。

 

「ユウがタゲを取るから、さっさと逃げて」

 

「す、すまない!」

 

そのままユウはボスとタイマン張るが、勝てるわけもないわけで。HPがどんどん減らされていく。その時だ。

 

「やぁっ!」

 

「あ、アスナ……!」

 

「一人で無茶しないの!」

 

「俺もいるぜ!」

 

クラインもボスと戦い、なんとか三人でボスのタゲを取る。そんなときだ。

 

「三人とも!10秒持ちこたえてくれ‼︎」

 

言われた通り、三人で奮闘するも、ボッコボコにされ、アスナとクラインはHPが黄色になる。

 

「クッ……‼︎」

 

「よっと」

 

ユウが斧を振り回し、ボスを一瞬怯ませた。

 

「いいぞ!」

 

キリトが言うと、三人は下がった。そして、剣を二本構えるキリト。

 

「ウォォォアアアアアッッ‼︎‼︎‼︎」

 

二刀流スキル、スターバーストストリーム。16連撃がすべてボスに叩き込まれた。そして、最後の一撃がボスを貫く。そして、ボスは青い欠片となって爆散した。そのままキリトは倒れ込んだ。

 

 

 

 

「……にい、おにい!」

 

声がして、キリトは目を覚ます。その瞬間、ユウはキリトに飛び付いた。

 

「………ユウ?」

 

「おにいぃ〜……」

 

そのままキューっと抱き締めるユウ。キリトは微笑みながらユウの頭を撫でた。そして、ポーションをクッと飲む。そのキリトにアスナが言った。

 

「生き残った軍の連中の回復は済ませたわ。もう帰って行った」

 

「そうか……」

 

キリトが頷いた。すると、ユウが声を漏らす。

 

「バカにいぃ………」

 

「先に突撃したのはお前だろ。ていうかお前こそバカだろ……」

 

なんて口では言いつつも、キリトは微笑んだままだ。

 

「それはそうと、おめぇなんだよさっきのは!」

 

気分を切り替えようとクラインが言った。

 

「言わなきゃ、ダメか?」

 

「ったりめぇだ!見た事ねぇぞあんなの!」

 

気が付けば、ユウを除く全員がキリトを見ていた。

 

「……エクストラスキルだよ。二刀流」

 

おお……というどよめきがクラインの仲間の間に流れた。

 

「しゅ、出現条件は」

 

「わかってりゃもう公開してる」

 

「ったく、水臭ぇなあキリト。そんなすげぇ裏技だまってるなんてよう」

 

「スキルの出し方が分かってれば隠したりしないさ。でも、さっぱり心当たりがないんだ。……こんなレアスキル持ってるなんて知られたら、しつこく聞かれたり……いろいろあるだろう、その……」

 

「ネットゲーマーは嫉妬深いからな。俺は人間ができてるからともかく、妬みや嫉みはそりゃああるだろうなあ」

 

すると、クラインは立ち上がった。

 

「俺たちはこのまま75層の転移門をアクティベートしていくけど、お前はどうする?」

 

「任せるよ。俺はもうヘトヘトだ」

 

「そうか。気をつけて帰れよ」

 

そのままクラインは仲間に合図し、75層へと足を踏み入れた。

 

「で、私達はどーする?」

 

アスナがキリトに聞いた。

 

「俺はそろそろ帰りたいんだけど……」

 

そう言って視線を落とすキリト。視線の先にはユウがいた。

 

「あの、ユウ?」

 

「おにいのばか」

 

「や、だから先に飛び出したのは……」

 

「おにいが死んだら、どうしようかと思って……ユウは……うえぇ……」

 

「えっ?」

 

「うえぇぇ……うえぇぇぇん………」

 

「ちょっ……ユウッ⁉︎」

 

だが、ユウは泣き止まない。

 

「あー、キリトくんが泣かしたー」

 

「ちょっ、アスナ!そんな馬鹿な!こいつは生まれた時も泣かなかったくらいに泣かない奴なんだぞ!」

 

「知らないわよ。そんなこと。あーあ、しーらない」

 

「そ、そんなっ……!」

 

で、チラッとユウを見るキリト。だが、泣いてしまっていている。

 

「ユウ、その、なんだ……。悪かった」

 

何か悪いことしたか覚えがないがとりあえず謝っとくキリトだった。

 

 

 

 

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