もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第29話

 

 

再びエギルの店の二階。キリトはユウの前で土下座している。そのキリトの頭をユウが踏んだ。

 

「おにい、どうして怒られてるか、分かる?」

 

「……………」

 

「返事」

 

「えっと……わ、わか………」

 

「まさか、分からないとでも言うつもり?」

 

「早いよ!まだ途中で……」

 

「何勝手にしゃべってるの?」

 

「す、すみません……」

 

グリグリと頭を踏みつけるユウ。キリトは視線だけ上げた。目の前でユウは腕を組んで仁王立ちしている。

…………あ、パンツ見えた。

 

「痛っ!」

 

頭を叩かれるキリト。

 

「今、エロい目してた」

 

「そ、そんなことねーよ!大体妹なんかに欲情なんて……」

 

パンッ!とまた叩かれた。

 

「なんかってどういう意味?」

 

「あ、いや、すいません……」

 

再び頭を下げるキリト。すると、ユウはキリトの上にまたがった。

 

「勝手にしゃべらない」

 

ペチンッペチンッとお尻を叩かれるキリト。

 

「す、すごい絵ね……」

 

アスナがドン引きしながら見ている。もはやキリトのプライドはズタズタだったが、怒ったユウはめちゃくちゃ怖い。逆らったら多分眠れなくなる。

 

「おにい、どうしてこうなってるか分かる?」

 

「申し訳ありません。わたくしの理解力が乏しいせいか分かりません」

 

「おしおきっ」

 

ペチンッ

 

「くっそぉ……なんで、なんでこんなこと……」

 

「しゃべらないっ!」

 

ペチンッ

 

「うぅ………」

 

「この前のことがあったばかりなのに、またユウから離れようとした」

 

「な、なるほど……」

 

「バカっ」

 

ペチンッ

 

「バカッ」

 

ペチンッ

 

「バカズトッ」

 

ペチンッ

 

「その、申し訳ありませんでしたユウさん……」

 

「や」

 

「そ、そんな……」

 

「だから、勝ったらゆるしてあげる」

 

「ゆ、許してくれるのか……」

 

「口答えしないっ」

 

ペチンッ

 

「口答えなのか今の……?」

 

「今のが口答え」

 

ペチンッ

 

「わ、悪かった……。明日は勝ってくるから……ごめんな。ユウ」

 

「うむっ。よろしい。じゃあ、ユウは寝る。だから枕になって」

 

「あ、あぁ」

 

そのままユウはキリトの膝に頭を置いて、二秒で寝息を立てた。

 

「あーあ、いいのーキリトくん?勝ってくるなんて言っちゃって」

 

「問題ないよ。元々勝つつもりだったしな」

 

「そう。ま、頑張ってねー」

 

「ああ」

 

言いながらキリトはユウの頭を撫でた。

 

 

 

 

翌日。闘技場。ユウはアスナと並んで観戦。

 

「なんか、人たくさんいるね……」

 

だが、返事はない。

 

「? ユウちゃん?」

 

「人混み……気分悪い……」

 

「だ、大丈夫?」

 

「うっ……吐きそう……」

 

「落ち着いて!ゲーム世界じゃ吐けないわよ!」

 

結局、家でテレビで見ることになった。そして、デュエルが始まった。その瞬間、キリトが二刀流突撃技、ダブルサーキュラーで突っ込んだ。が、長剣に阻まれ、距離を取られる。すると、ヒースクリフが盾を構えて突撃してきた。キリトは舌打ちしながら躱す。

 

『ぬんっ!』

 

重い気合と共に突きを放つヒースクリフ。両手の剣を交差してガードするキリト。空中で一回転して着地する。

 

「……あの盾も攻撃判定あるんだ」

 

ユウがボソッと呟いた。そのままヒースクリフはキリトに追い討ちをかける。キリトは防戦一方となるが、8連撃をすべて捌くと、ヴォーパル・ストライクを間髪入れずに叩き込んだ。盾に防がれるが、ヒースクリフを吹っ飛ばすほどの威力はあった。

 

『……素晴らしい反応速度だな』

 

『そっちこそ堅すぎるぜ……!』

 

そのまましばらく斬り合いになり、お互いのHPがジワジワと減っていく。

 

「……おにい、速い」

 

「えっ?」

 

「これは、勝てる」

 

「どうして分かるの?」

 

「おにいはこれからドンドン加速していくのに対して、ヒースには若干焦りが見える」

 

「………無表情に見えるけど」

 

「ユウがもう少しで勝てそうだった将棋と同じ時の顔」

 

「そう、なの?」

 

が、ユウはそれ以上説明をしようとしない。テレビでは、キリトがスターバースト・ストヒームを発動。

 

「ぬおっ……‼︎」

 

ヒースクリヌが盾を掲げてガードするも、段々と反応が遅れていく。ユウには抜ける確信があった。おそらく最後の一撃で。だが、その時だ。

 

「っ⁉︎」

 

ガタッとユウが立ち上がる。時間がほんの少し止まった。ような気がした。ただ、ヒースクリフの盾がコマ送りの映像のように瞬間的に移動したように見えた。

 

「どうしたの?ユウちゃん」

 

アスナに聞かれるが、返事はない。ただユウは、画面を見つめていた。テレビでは、スターバースト・ストリームの硬直で止まったキリトに一撃、ヒースクリフが喰らわせ、試合はキリトの負けとなった。

 

 

 

 

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