二十二層。ユウとキリトとアスナはそこで暮らす事にした。で、今は朝。キリトとユウは二人で同じベッドに寝ている(ユウの独断で)。そんな2人をアスナは早起きしてジッと見ていた。
「………………」
そんなキリトの顔を見ながら、アスナは思った。
「何歳なんだろう……」
戦闘中やユウと一緒にいる時のキリトは兄貴の顔に見える。頼れるお兄ちゃん、といった感じの。だが、こうして寝ているキリトの顔を見ると、幼く見えるのだ。やがて、ぼんやり考えてるうちに、本気で悩んでしまった。よくあるよね、こういうこと。
さらに顔を近づけて、キリトの顔を覗いた時だ。視線を感じた。目だけ動かしてその感じた方向を見ると、ユウの目が開いていた。
「んなっ……あっ………違っ………!」
言い訳も訂正も出てこないままただ声だねを漏らしていると、ユウが先に声を漏らした。
「襲ってるの………?」
「違うわよっ‼︎」
すると、のそーっとキリトが起き上がる。
「ふわあぁぁ……なんだよっ、騒がしいな……」
「あっ、ごめんねキリトくん。起こしちゃった?」
「ていうか、犯しちゃってた」
「ユウちゃん!」
*
目玉焼きと黒パン、サラダにコーヒーの朝食(ユウだけチョコレートパフェ)を終え、アスナは両手をパチンと合わせた。
「さて!今日はどこに遊びに行こっか」
「お前なあ、身も蓋もない言い方するなよ」
「だって毎日が楽しいんだもん」
この三人が暮らすようになってから、しばらく遊んでばかりだ。この前の一件を盾に、ユウがヒースクリフ相手に巧妙に交渉した結果、長期休暇をもらえた次第である。
「ユウちゃんは遊びに行きたいよね?」
「どーでもいい」
「どーでも⁉︎どっちでもじゃなくて⁉︎」
ユウの思いの外冷たい反応にアスナはガビーんとするが、すぐにキリトに向き直る。
「キリトくんは?」
「ああ、それならいいところがあるぞ」
「本当⁉︎どこどこ?」
すると、キリトがマップを呼び出して、指を指す。指したのは少し家から離れたところの森が深くなっている辺り。
「昨日、村で聞いた噂なんだけどな……。出るんだってさ」
「は?」
アスナはきょとんと聞き返す。
「何が?」
「幽霊」
凍りつくアスナとぷふっと笑うユウ。
「なんだよユウ。怖くないのか?」
「そんなの、転移アイテムを知らないプレイヤーが見間違えたか、アストラル系のモンスターってオチ」
「そ、そうだよねユウちゃん!ま、まったくキリトくん!ビックリさせないでよ!」
「………怖いのアスナ?」
「そ、そんなわけないじゃない!」
「おにい、その幽霊やっぱ本物じゃない⁉︎」
「ユウちゃん⁉︎どういう意味⁉︎」
「例えば、恨みを持って死んだプレイヤーがナーヴギアに取り憑いたとか……」
「あ、あれだ。自殺したプレイヤーの霊とかな」
「や、やめてよーーーー!」
アスナが泣きそうになったので二人はとりあえず止まる。が、明らかに楽しんでる表情だ。するとアスナはムッとして2人に言った。
「いいわ、行きましょう。幽霊なんていないってことを証明しに」
「ちょろっ」
「何か言った?ユウちゃん」
「な、なんでもない……」
ニッコリ笑うアスナが怖い。
「じゃあ、決定だな」
そんなわけで、三人は出掛ける準備を始めた。