そんなわけで、三人でお出掛け。他愛もない話をしながら三人は森の奥へ。
「ね、その……噂の場所ってどの辺なの?」
アスナがおそるおそるキリトに訪ねた。
「ええと……あ、そろそろだよ。もうあと何分かで着く」
「ふうん……。ね、具体的には、どんな話だったの?」
「アスナ、精一杯の努力の巻」
「ゆ、ユウちゃん!」
「そうだユウ。代わりに説明してやってくれ」
にやりと悪戯っぽい笑みを浮かべるキリト。
「りょうかい。アスナ、チビらないようにね」
「チビらないわよ!」
と、威勢良く突っ込んだアスナだが、一瞬ゾクッとした。ユウは前髪で目を若干隠し、高いのか低いのかわからない声で語り出した。
「少し前にね、この辺りでプレイヤー数人がここで肝試しをしたんだって」
あくまで淡々と語るユウ。
「その中の一人は森の中にいろいろと仕掛けをしたの。火の玉とか煙玉とかドライアイスを森の中において、それで一人一人順番に回っていったんだけど、最後に回る人の時にはアイテムの耐久値も切れちゃって、ほとんどの仕掛けが消えちゃってたんだけど、森の奥で白い服で髪の長い女の子の影を見掛けたの」
そこで一度言葉を切る。
「一瞬、ビクってしたけど、それも仕掛けなんだなと思ってそのまま引き返したの。それで、肝試しが終わった後にみんなで仕掛けの話とかして盛り上がってたんだけど、その時に最後に回った人が『最後の白い人形は誰だったんだ?』って聞いたの、そしたら全員が『人形って何?』って答えたの。確かに最後に回った人は見たはずなのに、誰も知らないって」
「ひうっ………」
アスナが小さく声を上げた。
「不思議に思いながらもその人は自分のホームに戻った。そしたらね、コンコンってノックが聞こえたんだって。それで、そのノックに応対したら、肝試しの時に見た白い女の子が立っていたの。それで、女の子はこう言ったの」
そこでまた言葉を切るユウ。そして、言った。
「『あなたには、見えているのね?』って……」
「やめてーーーーっ‼︎」
「いやそんなに怖くないだろ」
耳を塞ぐアスナにキリトは冷静に突っ込んだ。
「ま、嘘だけどね」
ユウがアッサリ言うと、アスナはキッと睨む。
「バカ!アホ!マヌケ!」
「歳下に本気でキレるなよ……」
「言っていいことと悪いことがあるでしょ⁉︎」
「いや怪談くらいいいだろ別に……」
なんて話しながら歩いてると、アスナの肩にポンっと手が置かれた。
「何よっ⁉︎」
バッと後ろを振り返ると、白い服の少女が立っていた。
「いっいっいやァァァァァッッッ‼︎‼︎‼︎」
そのままガンダッシュで森の中に突っ込むアスナ。キリトはその少女に言った。
「ユウ、やり過ぎだ」
「てへぺろ(棒読み)」
なんてやってると、だ。
「ィィィャァァアアアアアアアッッッ‼︎‼︎‼︎」
戻ってきた。
「どうしたんだよアスナ」
「あっ……なっ……あっ……なっ……」
ぷるぷる震えた手で指を指すアスナ。その方向をユウとキリトは見た。すると、いた。白い服の髪の長い女の子。
「お、おいおい、マジかよ……」
「ヤッホーっ」
「「コラユウッ‼︎」」
怒る二人を無視してユウはその白い女の子の方へ歩く。すると、その女の子が倒れた。
「! おにい!」
「ああ!」
そのまま二人はその方向に走った。
「ち、ちょっと待ってよー!」
アスナも泣きながら。