もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

33 / 74
第33話

 

 

 

 

「まず、一つだけ確かなのはこうしてウチまで移動させられたからにはNPCじゃないよな」

 

「そう……だね」

 

キリトがベッドにユウを転がして言った。

 

「バカチン!うんこたれ!キリト!」

 

「な、なんだよユウ……つーか俺のプレイヤー名は悪口か」

 

「まだそう決めるのは早い。この子はカーソルがないっ」

 

「いや、それはそうなんだが……。NPCなら接触した時点で何か窓とか出るはずだろ?だけどそれがないってことはプレイヤーで、カーソルがないのはバグってことに……」

 

「バカチン!チンチン!キリト!」

 

「お前今なんて言った?怒らないから言ってごらんなんて言った?」

 

「こんな今までバグらしいバグが見つかってないゲームの中でカーソルがないなんてものがあるはずない。まぁ、NPCじゃないっていうのはユウもそう思うけど……」

 

「じゃあなんなんだよ」

 

「それはこの子に聞けば分かること」

 

「………そうだな。とにかく、目を覚ますまで待とう」

 

だが、その日はその女の子が目を覚ますことはなかった。

 

 

 

 

翌日の朝。アスナがぼんやり眼を覚ますと、女の子が目を覚ましていた。

 

「! き、キリトくん!キリトくんってば!」

 

アスナに叩き起こされ、キリトは目を覚ます。すると、女の子と目が合った。

 

「うおっ!め、目が覚めたの、か?」

 

「た、たぶん……。お名前は?」

 

アスナが女の子に聞く。するとその子は首を傾げながら答えた。

 

「な………まえ………。わた……しの……なまえ……。ゆ……い。ゆい。それが……なまえ……」

 

「ユイちゃんか。いい名前だね。わたしはアスナ。この人はキリトよ」

 

「あ……うな。き……と」

 

「もう一人いるんだけど……まだ寝ちゃってるみたいね。ね、自分がどうなったか、解る?」

 

アスナの問いに、ユイは答えた。

 

「わかん……ない……。なん……にも、わかんない……」

 

困ったように、いやむしろ可哀想な顔で二人はユイを見た。だが、キリトはなんとか笑顔を作って、ユイに言った。

 

「やあ、ユイちゃん。……ユイって、呼んでいい?」

 

こくんと頷くユイ。

 

「そうか、じゃあ、ユイも俺のこと、キリトって呼んでくれ」

 

「き………と」

 

「キリトだよ。き、り、と」

 

「…………きいと」

 

「ちょっと、難しかったかな。何でも言いやすい呼び方でいいよ」

 

すると、ユイは少し考えるように目を閉じた。そして、やがてこう呼んだ。

 

「……パパ」

 

さらに、アスナを見上げて言った。

 

「あうなは……ママ」

 

二人は若干困ったものの、アスナがユイを抱き上げる。

 

「そうだよ……。ママだよ!ユイちゃん!」

 

「ママ!」

 

「誰がママ?」

 

また新しい声がした。見ると、ユウが寝ぼけテイストで起き上がっている。

 

「信じられない……幼女に自分を親と呼ばせて洗脳する……犯罪………」

 

「違うわよ!………ああ、ユイちゃん。この子はユウちゃんだよ」

 

「ユ、ウ………?」

 

しばらく瞬きした後、ユイは言った。

 

「おねえ、ちゃん……」

 

「そう、ユウはお姉ちゃん。ユイ、お手」

 

「妹はペットじゃないわよ!」

 

 

 

 

ユウとユイが遊んでるのを他所に、キリトとアスナはどうするか会議。

 

「とにかく、やっぱ始まりの街の孤児院に預けたほうがいいんじゃないか?」

 

「そうよね……。でも、私……」

 

「アスナ、気持ちはわかるがダメだ。預けたほうがユイのためだ。それに、一層には俺もユウもコネがある」

 

「知り合いがいるの?」

 

「ああ。まぁな。じゃ、行こうぜ」

 

キリトはそう言いながら立ち上がった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。