第39話
桐ヶ谷家。SAOから解放されて二ヶ月が過ぎようとしていた。和人は朝、目が覚めてうっすらとまぶたを開けた。なんか体が重く感じた。
(またか………?)
布団の中をチラッと見ると、柚葉が寝息を立てていた。自分の腹の上で。
「うにゅ……、おにいぃ……」
その寝言に思わず微笑んでしまう和人。
「500円返せぇ……」
「借りてねぇよ!」
思わず突っ込んでしまう和人だった。ていうかむしろ200円貸してた。で、いい加減腹筋が苦しくなってきた和人は柚葉を起こすことにした。
「ほらユズ、いい加減起きろ」
「んにゅ……」
揺すっても声をかけても起きない。
「ユーズー」
「………やー」
和人のお腹に張り付いたまま動かない。和人はため息をついた。仕方ないので、抱っこして立ち上がる。で、欠伸しながら部屋を出た。すると、直葉と出会した。
「あっ……」
「ゆーずーはーちゃーんッ‼︎おっはよーうっ‼︎」
和人が挨拶しようとするのを無視して元気良く挨拶して直葉は柚葉を和人から取り上げて抱き締める。
「〜〜〜ッ⁉︎〜〜〜ッ⁉︎」
手をジタバタさせて抵抗する柚葉だが、あの巨乳に呼吸を封じられ何も出来ない。
「あー今日も可愛いね柚葉ちゃん柚葉ちゃん柚葉ちゃーん!」
毛根から火が出そうな勢いで頭を撫でる直葉。そして、やっとの思いで柚葉はぷはぁっと胸から解放された。が、体育会系の腕力は伊達じゃない。再び胸の谷のナウシカへ。
「おーいスグー。いい加減離してやれよ」
和人が言うとキッ!と直葉は睨み付ける。
「話しかけないで」
「っ」
「柚葉ちゃんを、あんな目に合わせたくせに」
睨む直葉と困った顔をする和人。すると、柚葉はなんとか脱出する。
「ね、ねえ!別にユズはおにいのせいじゃなくて……」
言い訳しようとする柚葉の頭を撫でて和人は止めた。すると、直葉は不機嫌そうにその場から去った。
「おにい……どうして……?ちゃんと言わないと……」
「ユズの言いたいことも分かる。でも、傍から見たら俺は、妹をオンラインゲームの世界に引き込んで、年齢制限を無視してあのデスゲームに参加させたんだ。スグに嫌われるのも当然だ」
「………おにい」
柚葉は思わずしゅんっとする。
「そんな顔するなよ。そんなことより、午後は暇か?出掛けたい所があるんだ」
「? どこに?」
「ちょっと、呼び出されてな」
「ユズも、行っていいの?」
「ああ。あいつも、ユズに会いたいって思ってるかも知れないからな」
「あいつ?エギル?」
「なんで分かるんだよ……ちょっとサプライズにしようとか思ってた俺がバカみたいじゃねぇか……」