もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第42話

 

 

 

 

「うぐっ‼︎」

 

サラマンダーの火炎魔法がとうとうリーファの……あっ、リーファって言っちゃったよ。まぁいいや。リーファの背中を捉えた。そして、そのまま森の中に落下した。それを追いかけるサラマンダー三人。

 

「梃子摺らせてくれるじゃねーの」

 

右端の男がそう言った。そして、中央の男も続く。

 

「悪いがこっちも任務だならな。金とアイテムを置いていけば見逃す」

 

「あと1人は絶対に道連れにするわ。デスペナルティの惜しくない人からかかって来なさい」

 

「諦めろ、もう翅が限界だろう。こっちはまだ飛べるぞ」

 

言われた通りだった。だが、リーファに諦める気はない。

 

「気の強い子だな。仕方ない」

 

リーダーも肩をすくめると、ランスを構え、翅を鳴らして浮き上がった。左右のサラマンダーもだ。その時だ。

 

「ぅぁぁああああぁぁぁあぁあっ‼︎⁉︎‼︎⁉︎」

 

すごい、悲鳴とともに黒い影が落ちてきた。予想外のことに四人の動きが止まる中、能天気な声がした。

 

「うう、いてて……。着陸がミソだなこれは……」

 

緊張感の欠片もない声とともに立ち上がったのは……もうキリトでいいや。キリトだった。

 

「何してるの!早く逃げて‼︎」

 

リーファが声を上げた。が、何食わぬ顔でキリトは言った。

 

「重戦士三人で女の子一人を襲うのはちょっとカッコよくないなぁ」

 

「なんだとテメェ‼︎」

 

そして、リーダー格の男が言った。

 

「一人でノコノコ出てきやがって馬鹿じゃねえのか。望み通りについでに狩ってやるよ!」

 

そのまま突撃してくるサラマンダー。が、そのランスの先端をキリトはガシッと掴み、別のサラマンダーに投げつけた。

 

「わああああ」

 

キリトはそのままリーファを見た。

 

「ええと……あの人たち、斬ってもいいのかな?」

 

「……そりゃいいんじゃないかしら……。少なくとも先方はそのつもりだと思うけど……」

 

「それもそうか。じゃあ失礼して……」

 

キリトは背中の貧相な剣を抜く。その瞬間、突然ズバァン‼︎という衝撃音と共に少年の姿が掻き消えた。そして、サラマンダーの一人が四散、そのまま残り炎が漂う。そのまま二人目も斬り、残りはリーダー格の1人となった。キリトはそのリーダー格の男を見た。

 

「どうする?あんたも戦う?」

 

「いや、勝てないな。 やめておくよ。アイテムを置いていけというなら従う。もうちょっとで魔法スキルが900なんだ。デスペナが惜しい」

 

「正直な人だな。そにらのお姉さん的にはどう?」

 

「あたしもいいわ。今度はきっちり勝つわよサラマンダーさん」

 

「正直、君ともタイマンで勝てる気はしないけどな」

 

それでその場は収まり、リーダー格の男が去ろうとした時だ。そのリーダー格の男が突然四散した。

 

「「なっ⁉︎」」

 

キリトとリーファは声を上げる。その瞬間、キリトはリーファの背後に気配を感じた。

 

「危ない!」

 

「えっ?」

 

ギリギリ、キリトがガードする。

 

「い、いつの間にっ⁉︎」

 

リーファが声を上げる中、キリトはその猫耳の生えた剣の主に聞いた。

 

「おいあんた、どういうつもりだ?せっかく丸く収まったってのに……!」

 

「……夜中に、ギンギンうるさい……木の上で、寝てたのに……全員殺す……」

 

猫耳の生えた少女、というより幼女は眠たげな表情で、しかししっかりとした殺意を見せた。

 

(こいつ、ヤバイ……!)

 

キリトは直感した時だ。

 

「お姉、ちゃん……?」

 

キリトの胸ポケットから声がした。ヒョコッとユイが顔を出した。

 

「あ、こら出てくるなって……お姉ちゃん?」

 

で、キリトはその猫耳の幼女を見た。ユウの面影が確かに残っていた。

 

「ゆ、ユウ!俺だ、キリトだ!解るか?」

 

「おにい……?」

 

そこで、ようやく殺意が止まった。ホッとするキリト。正直、タイマンだとユウに勝てるかは分からない。

 

「お前何やってんだよこんなところで」

 

「領地に着く前にバグって……森の中に落ちてきて、眠くなったから木の上で寝てた」

 

つくづく猫っぽい奴だなと思ってると、ユイがユウに飛び付いた。

 

「お姉ちゃん!」

 

「…………誰?」

 

「私です!ユイです!」

 

「ユイ………?」

 

その瞬間、ユウはそのユイを抱き締めた。

 

「ユイ……ひさしぶり……」

 

「お姉ちゃん……お姉ちゃん……」

 

完全に置いてけぼりになってるリーファだった。

 

 

 

 

「で、あなた達はなんなのよ」

 

リーファが聞くと、キリトが答えた。

 

「えーっと、このユウとは兄妹なんだ」

 

「ふーん、それとなんでスプリガンがこんなところにいるのよ。ケットシーはすぐ近くだけど、スプリガン領はずっと向こうじゃない」

 

「み、道に迷って……」

 

「迷ったぁ⁉︎方向音痴にもほどがあるよー。君変すぎ‼︎」

 

爆笑するリーファ。

 

「まあ、ともかくお礼を言うわ。助けてくれてありがとう。あたしはリーファっていうの」

 

「俺はキリトだ。この子はユイ」

 

「ユウ、よろっ」

 

ピシッと敬礼するユウ。

 

(助けたといえば……最後に逃した人はもう少しで魔法スキルとやらが900だったんだよなぁ……すみませんうちの妹が……)

 

なんてしみじみ心の中で謝っていると、リーファがまた口を開いた。

 

「………ね、この後予定ある?」

 

「ないよ?」

 

「なら助けてくれたお礼に一杯おごるよ」

 

「それは嬉しいな。実は、この世界について教えてくれる人を探してたんだ。特に、あの木のことをね」

 

「世界樹のこと?いいよ。じゃ、ちょっと遠いけど北の方に中立の村があるから、そこまで飛ぶよ」

 

「へ?スイルベーンってとこの方が近いんじゃ……」

 

「そりゃそうだけど……ほんとに何も知らないのねえ。あそこはシルフ領だよ」

 

「何か問題あるの?」

 

「問題っていうか……街の圏内じゃ君はシルフを攻撃できないけど、逆はアリなんだよ」

 

「へえ、なるほどね……。でも、別にみんなが即襲ってくるわけじゃあないんだろう?リーファさんもいるしさ。シルフの国って綺麗そうだから見てみたいなあ」

 

「……リーファでいいわよ。ほんとに変な人。まあそう言うならあたしは構わないけど……命の保証まではできないわよ」

 

で、リーファは軽く飛んだ。飛翔力も回復している。

 

「あれ?リーファは補助コントローラなしで飛べるの?」

 

「あ、まあね」

 

「俺はちょっと前にこいつの使い方を知ったところだからなぁ」

 

キリトは左手を動かす仕草をする。

 

「おにい、なにそれ」

 

「お前、飛んでないのか?」

 

「ずっと木の上で寝てた」

 

呆れて何も言えなくなるキリトだった。

 

「じゃ、二人とも後ろ向いて。コントローラは出さずに」

 

リーファに言われ、従う二人。二人の肩甲骨の少し上を触れる。

 

「今触ってるのわかる?」

 

「うん」

 

「あのね、随意飛行って呼ばれてはいるけど、ほんとにイメージ力だけ飛ぶわけじゃないの。ここんとこから、仮想の骨と筋肉が伸びてると想定して、それを動かすの」

 

その瞬間、ユウが飛んだ。それもトランザム並みの速さで、残像も見えてる気がする。

 

「超ヨユー。なにこれ最高」

 

ユウは上機嫌に飛び回った。そして、未だ飛ぼうとしているキリトの真上で、小馬鹿にしたように口を歪めた。

 

「あんにゃろ……」

 

と、その瞬間リーファはじれったくなったのか、キリトの背中をドンっと押した。その瞬間、垂直に飛び上がるキリト。

 

「うあっ⁉︎」

 

「ゴッフ!」

 

ユウの顎にキリトの頭がクリティカル。

 

「「あっ」」

 

そのまま落下する2人。

 

「お、にい……後で、殺す……」

 

「ゴメッ……まじ俺が悪かった……」

 

死にかけてる2人だった。

 

 

 

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